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おまけガーデン。  作者: さんまぐ
アートの女神イロドリ。
7/19

アートと千歳によるエクサイトへの介入。

お風呂事件の翌日、私は初めて生でジルツァークを見た。神の世界に現れたジルツァークは明らかに不機嫌で荒れていた。

ゆっさゆさとけしからん胸を揺らしながら露出の高い服で怒気と色気を振りまきながら歩くジルツァークは地球の神様に挨拶にするとさっさとエクサイトに帰って行った。


「今のジルツァークだよね?なんだったの?」

「久し振りに神の世界に来たから挨拶と言っていた。元気にやっているから心配はいらないそうだ」

孫を見るような目で地球の神様が嬉しそうに言う。


「へえ、久し振りって何かあったの?」

「それは千歳達の方が詳しいだろう?」

そう言われて聞いていくとアートの介入が上手くいってジェイド達の長期滞在が避けられなくなった為にエクサイトと外の時間の流れを1日が1日から10日で1日に切り替える為に外に出てきていた。

東さん達なら中から操作も出来るがジルツァークはできないらしく外に出たからついでに挨拶をしたらしい。

律儀な奴だ。


「変な所で律儀よね。人間臭いと言うか、まあそう言う神なんだけど…」

「律儀なのは千歳もだろう?母の為に10年も我慢をしたのだからな」

地球の神様は昨晩の事をもう知っていた。


「ぐっ…なんで知っているのよ。それにその発言はセクハラよ」

「褒めたのだが、難しいな…」



さて、話を戻すとこの話で困るのはアートだ。

1日を10日にされてしまったのだから単純計算で144分、2時間24分に1度夜がくる。


律儀に毎日エクサイトに赴くのは荷が重い。

アートの力の源は東さんとジョマだが祝福したのは私の神の力なので得て不得手も似てしまったので同時進行は苦手だ。

一瞬年齢制御で私が6歳になってアートの代理をする事も考えたが誰の為にもならない。


「王様!来て!」

私は慌てて王様を呼ぶ。


「見ていたよ。どうするんだい?」

「私の中に場所を作るからそこにアートを呼ぶ。

でもあの子は同時進行が苦手だから王様が補助と言うか骨組みになってあげて。

王様の身体にアートをかぶせるイメージで、幼稚園が終わるまでエクサイトに行かせるよ」


「いいね。よし、僕はチトセの中で待とう」

消えた王様が私の中に入ってきたのがわかる。


私はアートを見るとタイミングよく外遊びの時間だったのでトイレに行くように言う。


「どうしたの千歳?」

「アート、事態が変わったよ。

ジルツァークがエクサイトの時間軸を変えてきた。

こっちの1日が向こうの10日にされたよ」


「ええぇぇぇ?アートはまだ幼稚園だよ?」

「うん。だから幼稚園に居たままで気持ちを私の中に飛ばしなさい。同時進行だよ」


「アートはそれ苦手…」

「エクサイトを救うんでしょ!やり切りなさい!」

私は甘やかさないように厳しめに言う。


「そんなぁ、千歳もキヨおじちゃんみたいに出来ないって言ったらやってくれないの?」

「やってあげないわよ。大丈夫、少しでいいからこっちに気持ちを回しなさい」


「ぅうぅ…」

そう言いながらもアートは何とか意識を向けてくると「あ」と言う。

よし…気づいたな。


「王様が居たでしょ?王様は同時進行が得意だから王様にアートを載せる感じでアートの考え通りに王様も動くからやり切りなさい」

「うん。ありがとう千歳、頑張るよ!」


「後は大事な時しか行けないってジェイド達に言うのよ」

「そうするよ!」


アートは王様と打ち合わせをした。

フェイクを織り混ぜながらこの先の予定や聖剣が実は聖剣なんかではない話をする。

聖剣と言われてもただメガネの創った上層界の土壌が豊かなだけで、まあ土壌神さんとやらから買い取った本物らしいので採れる鉄なんかがジルツァークの人間界とまったく違う。

まあジルツァークの土も粘り気は凄いのでそこは上層界の剣よりも折れにくい剣が出来上がる。


多分ドフお爺さんに聖剣を見せたら「ざっけんなよ。何が聖剣だよ?こんなナマクラでよぉ?待ってろよジジイが千倍は凄えのこしらえてやっからよ」と言いそうだ。

その前に人間界の剣を見たら憤死してしまうかもしれない。


ワタブシ達には悪いがドフお爺さんなら新たなる聖剣伝説を創る事も可能だ。

何年経っても朽ちない剣、折れない剣とかのキャッチフレーズでも誇大広告にならない。


後は昨日、私達が胸の話で盛り上がっている間に黒さん達はジルツァークがタカドラを殺すだろうと言う考えに至っていた。


私もそう思う。

唯一神ジルツァークとして全ての役割や流れを決めた中で新たなる神は邪魔だ。

現にタカドラはアートの介入があったとは言え神通力で加護外しを実現した。

神化を果たしてエクサイトの外に出て真実を知る事も邪魔だろう。

そうなれば命の重さを理解できない子供みたいなジルツァークは平気でタカドラを殺す。


アートはその話もしてタカドラを助ける為に努力する話をする。

よし、ここまでは何とかなった。


だがアートの同時進行ってどうするかなぁ…。



**********



時空お姉さんの所でお茶をしながらアートの同時進行について相談をする。


「時間軸を変えられるとキツいよね。まあ魔王が居て良かったね」

「うん。私も苦手だから訓練しようかな。同時進行の神様っているの?」

香りのいいハーブティーを飲みながら時空お姉さんに質問をする。


「あのね、千歳も魔王も半神半人なだけでそこら辺の神々よりやれる事も多いし強いんだから十分でしょ?」

呆れ口調の時空お姉さんが私の顔を見て「ふぅ」と言う。


「そうかな?」

「そうよ。私だって時空の力で無理矢理同時進行は出来るけど千歳達みたいな自分を複数用意してなんてやれないわよ」


「そう…なんだ。私達は東さんの同時進行を見ていてそれしか知らないし皆普通にやれるものだと思っていたよ」

「まったく…、まあさっきの話になればマルチタスクの神、同時作業の神は居るけど会わないほうがいいと思うよ」

時空お姉さんは斜め後ろの方を見ながら言う。きっと同時作業の神はそっちに住んでいるのだろう。


「へ?なんで?ムカつくの?」

「誤解のないように言うと悪い奴でも嫌な奴でも無いよ。

ただ千歳の言い方だと同時進行をしていたいのが本能だから話を聞いてないように見えて気分が悪いのよ。

アイツは真剣に取り組むし相手もするんだけど書類を書きながら、他の人の話を聞きながら、とにかく同時に何個もの事をしていないと気が済まないのよ」


私は少しだけイメージをしたが嫌だ。


「あー、やめとくよ」

「でしょ?」

そう言って私達は笑い合う。



アートに関してはエクサイトの1週間に1度と言う感じでジェイドの夢には行き、今は関係ないフラン達には当分行けない挨拶をさせた。


それよりも今の問題はタカドラだ。

幼稚園が終わって戦神の家に集まった時の議題にする。


ちなみに今日のおやつは「ひりょうず」と言うがんもどきでとても美味しい。

このお魚おやつはうちのお父さんが聞いたら欲しがる奴なので複製しておいた。


「そんなに美味しかったカーイ?」

お魚さんが嬉しそうに聞いてくる。


「うん。うちのお父さんの好きな味だよ」

「良かったゼーッ!どんどんお魚フレンドを増やして行こうゼーッ!皆はどのお魚が好きダーイ!?」

話変わっちゃうって。


「ほら、話戻すよ」

時空お姉さんが今日は仕切ってくれるので私は「ごめんね時空お姉さん」とだけ言う。


「で、あのもうすぐ神化する唯一竜が殺されないようにするんだよね?どうするの?」

「僕なら隠匿神からアートに隠匿のやり方を教えて貰いたいかな」


「私?」

「うん。この前、アートが怯えないようにメガネに隠匿の力で怪我を隠匿したよね?

あれを応用してタカドラが大怪我をする風に周りの連中に見せたいんだ」


「隠匿のお姉ちゃん、アートにも出来るかな?」

アートが不安げに質問をする。


「う…、そもそも私も試した事ない…」

「大丈夫だろ?変に細分化するから不安になるんだよ。タカドラの無事を隠匿すると思って考えてよ」

黒さんに言われた隠匿神さんはブツブツと考えると「出来る気がする」と言ってお茶を淹れに戦神が席を立った時に「皆、試させて」と隠匿神さんが言い出す。



「NOぉぉぉ!!?」

「キヨおじちゃんダメだよ!」

「王様!やめなさいよ!」


戦神が慌てて戻ってくるとそこには血まみれのお魚さんと光の剣で威嚇する王様。

それを止める私とアート。


「ツワモノ!?どうしたと言うのだ!やめるのだ!」

戦神は慌てて王様の所まで駆け寄る。


「戦神、どう見えてる?」と隠匿神さんが聞くと戦神は「は?何を平然としておる。友情神が血まみれではないか!」と怒り出す。


ふむ。

成功だね。


「隠匿神さん。成功だね」

「うん。魔王から視覚神を騙す方法を聞いておいて良かったよ。それと隠匿の力を混ぜたら上手くいったよ」

そう言って隠匿神さんが力を解除すると王様もお魚さんも着席をしたままでわざと仲良く握手をしている。


「なに?」

「ごめんね戦神。隠匿神さんに偽装の力を考えて貰っていたんだよ」


「だがまだこれからだね」

「ああ、私達は力の発動前から居たから何も変化は感じなかったんだ」


「とりあえずタカドラには防壁を覚えてもらわなきゃ」

「でもそんなの無理でしょ?アートも使えないのよ?」


「大丈夫だよ。さっきチトセがやった方法でアートも覚えてタカドラも覚えれば良いんだよ」

「王様?」


王様は私を無視してアートを見る。


「アート、さっきの感覚はわかるよね?

まだ僕と一つになって色々練習をしよう。僕がアートに教えてあげるから、覚えたらそのままタカドラに教えるんだよ」

「いいの?」

アートがそんな教え方をしても良いのかと不安になったのだろう。


「仕方ないからね。でも皆には何も言わずにアートは隠匿の力に関しても教えてくれる神が見つからないとかにして時間を稼ごう。

そろそろエクサイトは夜だね。

チトセ、またさっきの空間を作ってよ」

なんか王様主導で話が進むのが気にくわないが間違っていないのでまた空間を作って王様の上にアートを被せる。


今日のタカドラはジルツァークに殺されると言う死期を予感しているので顔が暗い。

半分王様のアートはタカドラに会うと防壁の張り方と今後はジルツァークを騙すために隠匿と隠匿を応用した偽装を覚えてもらう話をしていた。

そんな中、タカドラが自身の出自を聞きたがる。


正直王様が居てくれて良かった。

アートは王様から映像化の方法をリアルタイムに聞きアレコレある事ない事を混ぜながらタカドラに説明をしている。

同時通訳みたいな感じだ。

そして王様はリィちゃんか地球の神様からメガネの情報を貰っていたのだろう。

それを使っている。

何度見てもメガネは腹立たしい。


…それにしてもまあ今日は運が良かった。

これがアート1人だとここまでのアドリブは出来ない。

ただ、この場に居ない創出神テッドの名前まで出して私がタカドラに絶望しないようにアートに言ったことになっている話になっていた。


王様?やりすぎって言葉知らないの?

後で一言言おうと思った。



**********



この3日間、アートはイロドリとして頑張り尽くしていた。

幸い土日にかかっていたので幼稚園との同時進行は無かったがそれでも赤ん坊のミルクやオムツのように休みなく動くのは6歳の子供には辛かったと思う。


私はついついアートの好きなご飯を作って差し入れに行ったしお魚さんもお魚パーティー出来るくらいに魚を差し入れる。

とにかくエクサイトを離れたタイミングでアートには無理矢理にでも休息を取らせた。


余談だが戦神はタコ焼きを作り続けていて絵本で見るような十五夜のお団子みたいに積み上げられたたこ焼きに笑ってしまった。


神通力を得て500歳を生きたタカドラの理解力はなかなかのもので早々に防壁と隠匿と偽装の力をモノにしていたが本番でやり切れるかが心配だったのでギリギリまで練習をさせたかった。

これはアートも王様も他の皆も同じで何とか時間を捻出していたがやはりあまり0と1の間で無限時間を使いすぎると違和感が出てジルツァークに気付かれると言う時空お姉さんの意見で程ほどの練習時間しか手に入っていない。


この頃にはテッド達も「何が出来るかわからないが母さん達がヤキモキしているから来た」と言って様々な意見をくれたりアートを励ましたりしてくれる。


ちなみにテッドとお魚さんの仲は悪くない。

お魚さんのあのノリを「そうか」「ありがとう」「これは食べたことがないから楽しみだ」「とても美味しいな」「これは好みではない」と素直に口にするテッドは相性が良い感じだ。

まありぃちゃんが気にして「テッド、貰いすぎなんだよ!」と注意してテッドがお魚さんに「すまない、迷惑だったか?」と聞いて「NO!沢山食べてくれヨー!」と言う流れが出来上がっている。


そんな時にアートがポツリと漏らした。

「リュウさんの顔が暗くて心配なんだよね」

確かに死期を悟り、死を持ってくるジルツァークが傍に居ると言う実感があれば暗くもなる。そして本人は倒すのではなくぶっつけ本番の大芝居を打たねばならないのだ。

エクサイトの為にもタカドラの為にも助けてあげなければと思う。




こちらでは3日目に入る辺り、エクサイトでは3週目だったが、ジェイド達はジルツァークを抑えきれなくなっていて危うく予定より早く出立しそうになっていた。

そして意地を焼いたジルツァークが残り2人の五将軍を強化して送り込んできた。

形振りは構っていない。

とりあえず気の向くままに暴れたい。ジルツァークはそう言う顔をしていた。

それはまるで仲間外れにされた子供がいじけて玩具を壊すようなそんな感じだった。


だがエルフの街で1ヶ月の修行の甲斐があってミリオンが剣才のソシオを圧倒したしジェイドも妹の仇である剛力のサシュを撃破していた。


ジェイドは気絶した夢の中で聖棍に残された妹エルムの妄執に自身の復讐も受け取って貰いたいと言われると肉体の限界を超えてサシュを撃破していた。

その後でタカドラがジェイド達の加護を阻害する事でジェイド達の足止めに成功した。


今はリアルタイムでテーブルにタカドラやエクサイトの映像を出している。

まあ無茶な事をしている。

時空神のお姉さんの力とりぃちゃんの力の合わせ技で時の流れはうやむやにしつつ映像を途切れさせないようにりぃちゃんが映像化してくれる。


ジェイドはジルツァークに妹のエルムに会えたと言っていたがライブラリ参照をしないジルツァークには理解不能な話だ。

ジルツァークが面白くない表情をしている。

申し訳なさと神としての不甲斐なさを感じている顔だ。


「アート、ジェイドに妹さんに会った事を知ってると言ってきてあげなよ。後は加護を外したのはタカドラだけど怒るなって言ってね」

「うん」


ジェイドは夢でなかった事が知れてうれしかっただろう。

その為か帰ってきたアートが死者の間に興味を持ち始めた。


「私は場所しか知らないよ。行ったことないもん」

「そうだな。あまり行く場所ではない」

戦神が私に話を合わせてくれる。


「ええぇぇぇ、千歳は行かないの?戦神?何で行っちゃダメなの?エルム達とお話ししてみたかったのに」

「そう言うな、いかない方が良い場所もある」

「会うなら生きている人とだけにしなさい」

万一生き返らせてと願われたらと考えると私は近寄ろうなんて気にならない。


「ええぇぇぇ」

珍しくアートが食い下がるので、諦めた顔のりぃちゃんが「ちぃちゃん、場所を教えて?」と言うのでエクサイトにある死者の間を見せる。

死者の間と言うのは東さんの命名なだけで多分死後の世界でもあの世でも良いんだろう。


「ありがとうちぃちゃん。アート、リリオが見せてあげるからそれで我慢だよ」

「はーい」


りぃちゃんがアートに死者の間を伝達で見せる。

私はやはり過保護なのだろう。

心配になって一緒になって見る。


「あ!エルムとカナリー!後はグリア王とお妃様!」

「アート!?」

アートの奴、りぃちゃんの力を逆手に取って勝手に同時進行をした。

多分本人は無意識だが伝達で見せて貰いつつ座標を見定めて同時進行をして遠距離で意識を向けたんだ。



**********



「バカアート!ダメでしょ!」

私が慌てて勝手に死者の間を見ていたアートを止めるとアートは不服そうに「ええぇぇぇ、でもエルムが困っていたよ?可哀想だよ」と言う。


やりやがった。

これがあるから見せたくなかったんだ。

東さんとジョマ、その教えを受け継ぐ私もだが死者の蘇生、命に関して神として過度にかかわってはいけないと思っている。

アートが蘇生をしたいと言うのは本当に止めなければならない。


ガーデンの話で言えば王様は奥さんのフィルさんを何回も生き返らせているがそれは神や半神半人としてではない。1人の人間として人の手で起こせる奇跡を併用しそれなりの対価を支払った結果の蘇生だ。

王様はアーティファクト「時のタマゴ」を授かった事で自身の魂を支払っての時間跳躍を可能にした。

その為に一度は死にかけた。

そして性格も変わってしまった。

それだけの事をして手に入る蘇生。


うちのツネノリにしてもそうだ。

最愛の奥さん、まだ付き合う前だったがメリシアさんを失った時、皆で力を合わせて新たに肉体を用意して蘇生に導いた。


私は事が大きくなる前にアートを諦めさせることにする。

「アート、生き返りたいとか言われたら困るから行っちゃダメなの」

「違うよ!千歳も見てよ!」

アートが慌てて反論をしてくる。


「ええぇぇぇ、ったく…」

私は渋々死者の間を見る。


死者の間ではエルムがグリア王に掛け合っている感じだ。


「何とかならないかなぁ?」

「無理を言うのではない」

グリア王は困った顔でエルムを注意する。


「だって兄さんにも悪いしあのままじゃ可哀想だよ?」

「エルム様、落ち着いてください」

カナリーは一緒に葬って貰ったからかエルム達と行動を共にしている。


「カナリーさんの言う通りです。落ち着きなさいエルム」

お妃さまもエルムを落ち着かせようとしている。

確かに生き返りたいとは話が違う気がする。


「聖棍に残ったもう1人の私は自分で残りカスって言ってたし、このまま1人で消えちゃうって可哀想だよ」

「だが我々は死んだ身。どうする事も叶わないだろう?」


「そうよ、諦めなさい。もう1人のエルムも消える自覚もあったでしょう?」

「ううぅ…可哀想だよ」


「エルム様、お気持ちはよく分かりますが私達は死んだ身です。出来る事は神様に祈るくらいです」

そう言ってカナリーは膝をつくと上を向いて祈りを始める。

偶然目が合う格好になって私はビクっとしてしまう。


「天の神様、もし私達を見ておられましたらどうかさまよい消えてしまうエルム様の御心をお助けください」


間の悪い。

これもそれもバカアートのせいだ。

確かに方法がないわけではない。

偶然だがジェイドには通り道も出来ていた。



仕方ない。

やるか…。


私も甘いなぁ。

見ないようにしているがきっと皆ニヤニヤで私を見ている。


「神如き力…意識を死者の間へ飛ばす。服装は万一に備えて女神の衣装」

万一と言うのはカナリーの能力が未知数過ぎて怖いから、今の目が合ったのも彼女の直感かも知れない。

考えようによっては聖女の10年は修行に近いのかも知れない。

そうして人を超えた存在になる。


そう言えばカナリーは自分の母親を探さないのかな?

もう何年も会ってないから気にならないのか、まあ仕方ないか、今はジェイド達の方が心配だし、そもそもメガネの作った死者の間が無駄に広すぎる。

端から端まで探すのも大変だ。


そんな事を思いながら私は声を出す。

「エルム」

「へ?声?」


「聞こえますねエルム?エルム・グレアス・グリア、聞こえたなら返事をしなさい」

「はい!聞こえます!」


辺りをキョロキョロと見るエルム。

こういう時は女神口調に限る。演出とハッタリだ。


「カナリーの声が聞こえて現れました。あなたの願いは地上に残してきたもう1人のあなたを救いたい。そうですね?」

「はい!あのまま亜人達への恨みを持ったまま消えていくなんて可哀想です!迎えに行ってあげたいのです!」


力強く願うエルムの声。

それだけでわかる。心がキチンと育っている。

無才オブ無才の覗きの神が作った命、偶然のバグで心を持てたテッドとは違う。

ジルツァークには確かに才能があるのがよくわかる。


カナリーはまた膝をついて私の方を向いて感謝の祈りを捧げている。

私は見られたくないのでカナリーの後ろに現れたのにそれすら感じ取っている。

ひょっとして見えてないかな?


「あなたなら可能です」

「え?」


「迎えに行ってあげなさい。ジェイドが聖棍を握った時に行くのです」

「それはどうして?今じゃダメなんですか!?」

エルムが不思議そうに聞き返してくる。

恐らく聖棍のエルムが消えてしまわないか心配なのだ。


「…その話の前に一つ約束をしてください」

「約束ですか?」


「そうです。今この会話は仮にジェイドの夢に行けた時や他の神が現れた時にしてはなりません」

「わかりました!」

エルムがハキハキと返事をする。

正直こんなに心が育つ人間を産み出せるジルツァークなら世界がより良いものになる。

それなのに今は何も気づかないなんて皆可哀想だ。


「よろしい。ジェイドか見えますか?」

「はい。お風呂に入ってます」

ジェイドは傷を癒す為に薬湯に漬かっている。


「ジェイドがグリアのメイドから受け取った物は知っていますか?」

「ばあや?兄さんの為に御守りを用意してくれました」


「そう。あのメイドはジェイドに御守りを渡しました。その時の会話は聞いていましたか?

何個渡していましたか?」

「会話は聞いていました5個です」


「よろしい。

それでは御守りに意識を向けなさい。

黄色の御守りから何か感じますか?」

「え?あ!カナリーさんの気配がします!」


「そうです。

あのメイドはあなた達を想って強い想いで御守りを作ってくれた。

それが通り道になります。

あなたを想った御守りは何色ですか?」

「明るい緑色です。そこに迎えば良いんですね!?」


「理論上はそう。

だからもう1人のあなたが宿る聖棍が近くにないとダメです。

可能ならジェイドの身体を伝いなさい。だから手に持つ必要があるのです。

後は何回もいけると思わないでください。

成仏や生まれ変わりに悪影響をもたらします」

「はい!神様ありがとうございます!」


もう良いだろう。

私は意識を戻す。


「千歳〜!!ありがとう!!」

アートがニコニコで抱きついてくる。


「バカアート、仕事増やすんじゃないわよ」

「ふふふ、だから言ったろ?チトセはアートが居なかったら我先にエクサイトに飛び込んで行くって」

「まったく、でも良い仕事だったねさすがはチトセだよ」


「やはりチィトはこうでなくてはな」

「ちぃちゃん、お疲れ様」


「女神口調も上手になったな千歳」

「本当、神化してこっちに住む?」


「それはどうも」

呆れながら周りを見るとお魚さんもナースお姉さん達も皆嬉しそうに私を見てくるので照れてしまう。


「アート、次はアンタだよ。タカドラを迎えに行くんだよ」

「うん!」



**********



遂に来た緊張の瞬間。

タカドラによるジルツァークへの揺さぶり。

挑発とも言うがジェイド達の前でジルツァークの化けの皮を剥がす事に意味がある。


「アート、練習をしたからって言ってもタカドラに何があってもおかしくないからね。

ジルツァークの攻撃を受けて死んだ風に周りを誤魔化した瞬間に神の世界に引き上げるよ」

「うん!」


「王様?黒さん?」

「大丈夫さ僕達はミスをしない」

「そうだよ。まあアートはまだしもチトセは心配だなぁ」

王様にはムラサキさん「紫水晶の盾」で張ったみたいな皮一枚の薄さなのに何事も通さない絶対防御を万一ジルツァークがタカドラの防壁を破る緊急時に張ってもらう。


「はぁ?マジムカつく。でも今はまあいいや。しくじらないでよ。ナースお姉さん!先輩お姉さん!」

「大丈夫、私と先輩なら問題ない。タカドラは殺させないわよ。先輩は傷で私が賦活力でいいですよね?」

「ええ、逆でもいいわよ」


「ありがとう!隠匿神さん!」

「全員の力がジルツァークにバレないように隠すから任せて」

隠匿神さんには身バレ防止に力を使ってもらう。


「時空お姉さん!」

「任せなさい!時空神の面目躍如よ!」

今エクサイトは神の世界と1日の速度が違いすぎる。

今の状況で神の世界から介入を行うのは誰かしらしくじる可能性もあるからこの一瞬だけは時間介入を頼んだ。


「ヘイ!お魚で応援してるゼーッ!」

「タカドラに美味しいお魚を食べさせてあげてお魚好きにしちゃいなさいよ!」

「OK!」


まあ戦力外だがなんか居ると一体感が増すと言うか、お魚さんは立派な友情神なのかも知れない。


「ふむ、私はたこ焼きでも焼き続けるかな」

「では私は材料を複製するか」

この場面ではあまり役に立たない戦神と複製神さんは呑気にたこ焼き当番になっている。


「ちぃちゃん!こっちは準備OKだよ!テッド!今回はちょっと無理するから溢れ続ける力を貰い続けてよね!」

「任された」

りぃちゃんが皆の目になる。

ここまですれば完璧だ。


「りぃちゃん、半神半人で大変だけどよろしくね」

「ちぃちゃんだって同じでしょ?まあ任せとけって!」

今回で心配なのはりぃちゃんが神化してしまわないかだ。


「リリオ?チトセ?僕達は?」

「僕達も半神半人だよ?」


「規格外は知らない」

「お2人は問題無しですよ」

「「酷くない?」」

王様と黒さん?私が平気なんだから平気に決まっている。


タカドラには隠匿の力で擬装をして貰って死んでもらう。

神の死体は残らないからその設定を守ってタカドラには霧散をしてもらう。

だがいくら練習をしていてもぶっつけ本番なのだから備える必要がある。


王様と黒さんは防壁

私とアートがタカドラを神の世界に瞬間移動をさせる。

ナースお姉さんと先輩お姉さんは万一タカドラが怪我をしたら回復してもらう。

隠匿神さんには徹底的な証拠の隠匿。

そして時空お姉さんには時間軸の部分的で瞬間的な同期。

そしてりぃちゃんは皆に看破の力と伝達の力でリアルタイムのエクサイトを見せてくれる。半神半人で時間軸の違うエクサイトを相手に戦神の家からそこまでをやるのは厳しいのでそこはテッドが溢れる力を貰い受けてくれている。

ドリームメンバーだ。

これだけ集まれば問題なんてない。


まあ遠くから視線を感じるしトキタマ君がアートの肩で「僕も仲間ですー」と遠くの誰かさんに見せつけているので覗かれているのはバレバレだ。

視線の主は地球の神様とジョマと東さんだろう。混ざりたいんだろうけど、まあ親が出てくんなって奴だ。

それに下手をすればあの3人が手出ししたらドリームメンバー以上の結果をいとも簡単に出しやがるので却下だ。


「千歳」

「なに?心配?」

アートが不安げな顔をするのでわざと言う。


「う…ち…違うよ!」

「だよね。もうすぐタカドラに会えるから楽しみかな?」


「そうだよ!リュウさん大きいから背中に乗せてもらうんだよ!」

「…ところでタカドラってジルツァークにバレないように何処に住まわすんだろう、やっぱここかな?」


「なに!?あの巨体を我が家で養うのか?掃除の邪魔になるし食事はタコ焼きをいくつ作れば足りるのだ…」

「戦神?あんた気をつけないと家事炊事とかタコ焼きの神になっちゃうわよ」

何で先に戦いの事を考えないで掃除と食事を思いつくんだ?オカンの神にでもなるのか?



**********



「ちぃちゃん、談笑はそこまでだよ。いくらちぃちゃんが余裕でもアートは大変だからね」

「おっと」


そう言って映像を見るとタカドラがジルツァークを挑発していた。

干渉値や人間界の土壌が痩せ細っている点を指摘しつつ「本物」と言うジルツァークが嫌う言葉を使う。

そして取り乱したジルツァークにタカドラが「私は神通力で見たぞ?お前の正体をな!お前はジルツァークでありジルツァークではない!そしてお前は繁栄と平和の女神なんかではない!」と言い放つ。


「ちっ違……何を見…いえ…、タカドラ!あなた狂ったのね!?」

そう言ってジルツァークはタカドラに襲い掛かった。

神通力でジルツァークの正体を見たと思ったジルツァークが慌てる。


タカドラはジルツァークの攻撃を防壁で防ぐ。

「リュウさん!」

「大丈夫、タカドラは無傷だよ」

タカドラの防壁は半神半人に近い状況でも十分な強度だ。

まあ、こう言ってはアレだがジルツァークが並の神だから防げている。

私達なら瞬殺が可能な強度だ。


「皆、そろそろだ。備えるんだ」

王様の声に合わせて皆が集中したのがわかる。


ジルツァークの力ではタカドラの防壁が破れない。そんな中ジルツァークが隠し球を出してきた。

女神の加護で自由を奪ったミリオンとセレストに攻撃を命じる。

突然の事で驚くミリオンとセレストは意思に関係なくタカドラを攻撃する。


ジルツァークは事の全てをモビトゥーイのせいにして皆の為に暴走したタカドラを止めると言う。

だがあの顔と殺気では皆に言葉は届かないだろう。


「ふ…。都合の悪い事は全部モビトゥーイか?便利な話だな。

皆の者!見たか!これがジルツァークの加護の正体だ!加護を授けた勇者を意のままに操る!勇者とは名ばかりのジルツァークの駒だ!!」


「これは緊急措置。干渉値を多く使うからなるべくならやりたくなかった事。でもタカドラが狂って暴走してしまったのなら私が止めなきゃいけないんだよ。ごめんねミリオン、ごめんねセレスト!皆の為に今だけは許して!!」


何か劇を見ているような気持ちになる。

主演演出脚本が全てジルツァークの劇だ。


だがタカドラはそれも受け止める。

そんなタカドラの前にジルツァークが歩み寄る。

このタイミングだ。


「アート!行くよ!神如き力!」

「わかったよ千歳!神の力!」

私の髪は赤に染まりアートも力を使っているのがわかる。


「アート!タカドラにその攻撃で死ぬように伝えるんだ!」

「うん!」

アートがタカドラに心で語りかける。

流石に普段ならジルツァークにも気付かれるが今は隠匿神さんがそれをさせない。



「凄いね。完全に神化していないのにここまで出来るなんて思わなかったよ。タカドラは狂ってしまったんだね。その自覚もないよね?自分は正常だと思っているよね?

エクサイトの為に私がタカドラを止めるよ。

大丈夫、エクサイトは私が守るから。皆を幸せにする。私は繁栄と平和の女神ジルツァークだもん」

そう言ったジルツァークは光る拳でタカドラの眉間を殴る。


防壁はまだ張れたがタカドラはアートの指示のまま攻撃を喰らう風に見せる。

実際には防壁で受け止めながら偽装の力を使う。


「がぁぁぁぁぁっ!!?狂っているのはお前だジルツァーク!いや、モビトゥーイ!!女神の存在が世界を滅ぼす!皆の者!目の前の女神こそが…」

「私の皆を惑わせないで!!!」

タカドラに最後まで話させないようにジルツァークが攻撃を重ねる。


「今だ!チトセ!アート!」

「神如き力!転移!」

「神の力!転移!」

アートも十分に力を使えている。

正直私1人でやれるが今回はアートの話なのだ。

アートがメインで私は補助。

アート1人で無理があれば力の源になった私が力を使う。


「ちぃちゃん!タカドラの偽装が甘いよ!」

「りぃちゃん、マジで!?くそっ!王様と黒さん!タカドラの分まで擬装をして!隠匿神さんはフォローお願い!!」


「任せるんだ!」

「時空神!時の流れを合わせて!」

「全部隠すよ」

「了解!エクサイトの1000分の1秒に介入!」


王様と黒さんの偽装で再度断末魔の声を上げてタカドラの身体が霧散した風に見せる。


気付く人間も神もいない。


「へぇ…タカドラは死ぬと散るんだ。知らなかったよ」

笑いながら地面に降り立つジルツァークは清々しい顔で微笑んでいた。


その後エクサイトはジェイドが困惑する皆をまとめ上げてジルツァークを立ててその場を収めてしまう。

今はそれでいい。それよりも戦神の家に現れた巨体が問題だ。



「アート」

「うん」


アートはニコニコと身体を縮めて丸くなっているタカドラの前まで行って「リュウさん」と声をかける。


「イロドリ様?」

タカドラは恐る恐る目を開ける。


「こんにちはリュウさん。神の世界へようこそ!」



**********



戦神の家に現れたタカドラはその巨体を丸めながらアートを見た。


「イロドリ様?」

「あ、服と髪の色が違うからわからないよね、ごめんね!」

アートはそう言うと七五三の着物姿になって髪色を私と同じ赤にする。


紛らわしいので私は逆に黒に戻す。


「ここが天界なのですか?」

「そうだよ。今は戦神のお家。ジルツァークにバレると困るからリュウさんはこのままこの家に居てね!」

まあ、多分だがジルツァークは時の流れを戻しにもう一度必ず神の世界にやってくると思う。

そうなると神の世界にタカドラがうろつくのはまずい。


「ふむ、仕方ない。ようこそだタカドラ」

そう言って暗い顔の戦神が前に出る。


アートが不思議そうに「どうしたの戦神?」と聞く。


「どうしただと?家具が滅茶苦茶じゃないか!」

「あ、確かに」


「NOぉぉぉっ!俺のお魚さん達が!?」

押しつぶされた家具と一緒に用意していた魚たちがぐちゃぐちゃになってしまったお魚さんが悲鳴を上げる。


「…確かにこのままだとどうにもならないわね」

「お庭に出すわけにもいかないしね」

そう言っているとそこに地球の神様がやってくる。


「よく来た、新たなる神」

地球の神様は威厳を出しながらタカドラの前まで来る。

初めて会った日はこんな感じだったよなぁと感慨深く観てしまう。


「あなたは?」

「私は神々を取りまとめる存在だ。タカドラよ、よく神として生まれてきてくれた」

へぇ、新しい神にはそんな挨拶をするんだ。


「地球のおじちゃんはちゃんとリュウさんの事とかも知っているから安心してね」

「はい」


「とりあえず生まれたてで悪いが身体操作を教えるから身体を八回りくらい小さくするのだ」

そう言われて力の使い方を教わったタカドラは身体をセントバーナードくらいまで縮める。


「どうでしょうか?」

「ふむ。悪くない。戦神よ、これなら問題あるまい?」

戦神は安心した顔で「はい」と答える。


「千歳と時空神、方法は任せる。戦神の家と魚神の魚を元に戻してやるのだ」

「NOぉぉぉ!俺は友情神!」

皆お魚さんの話はスルーだ。


今回は時空お姉さんが家具の時間を戻す事で家具を壊れる前に直してくれた。

私はお魚さん達を元に戻す。



そんな中、不服そうなのがアートだ。

「どうしたの?」

「リュウさんとお外に行けないと思ってなかったの。リュウさんの背中に乗せて貰って空を飛んでみたかったのに小さくなっちゃったし」


「あはは、完全解決まで我慢しなさい」

「むぅ」


「イロドリ様、身体は小さくなりましたがイロドリ様なら別に乗せられますが?」

「え!いいの!?」


アートは嬉しそうにタカドラに乗ると「リュウさん重くない?」と聞いている。

タカドラも嬉しそうに「全然重くありません。ご安心ください」と言って少しだけ浮く。

タカドラは神の力で飛ぶ訳ではなく羽ばたくので部屋中に埃が舞う。


「わ、アート!ダメだよ!」

「え?」

アートが慌てて皆を見ると舞った埃で顔をしかめている。


「わ!?リュウさん、ありがとう!降りて!」

「え?もう良いのですか?」


降りたアートとタカドラはニコニコしている。

こっちは埃まみれだし戦神は「ふむ、タカドラが居ると掃除が捗るな」とか言っている。

アンタ本当に戦神じゃなくなるわよ。


まあ、いいや。今はアートだ。

「アート、まずやることがあるでしょ?言ってご覧」

「え?ジェイド達にリュウさんの無事を知らせる事」


「そう、後は?まだあるでしょ?」

「え?何?」


「私達はタカドラを知っているけどタカドラは私達を知らないの。アートがキチンと紹介するの」

「あ、そっか…。千歳、ジェイドが寝るのはどのくらい先かな?」


「今見てないの?まったく…こっちで後40分くらいだよ」

「えへへ、ありがとう。リュウさんごめんね。頑張って覚えてね」

アートに言われるとタカドラは嬉しそうに「はい」と言う。

何と言うんだろう?主従関係のような感じがする。


「まず私の名前はアートって言うの。ジルツァークにバレた時の為にイロドリって名前にしてました」

そう言ってアートは黒髪に幼稚園の制服に戻る。


「神の世界だとこの格好、髪の毛の色はお姉ちゃんの千歳を真似たの。だから黒髪が本当の姿だよ」


「アート様と言うのですね?」

「様はいらないよぉ」


「いえ、私にはイロドリ様は偉大な女神様です」

「あ、イロドリになってる」


「あ」

「いいよ。リュウさんの好きに呼んでね。次ね、私のお姉ちゃん」

そう言うとアートが私を紹介する。


「姉?ですか?ですがお2人は同じ風に見えて違うような…」

そう感じることが出来る辺りタカドラはなかなか優秀だな。



**********



アートに紹介された私を見て不思議がるタカドラ。

アートは私を姉と呼んだ。

でも私とアートは姉妹ではない。なのに纏っている神の気配は同質だ。

それをタカドラが不思議がる。

気付けた感性は素晴らしい。


「うん。私とアートに血の繋がりはないよ。私は半分人間で半分神様の中途半端な存在。半神半人なの。でも私の神の力をアートに貰ってもらったからそっくりなのよ」

「そう言う事ですか。お姉様、よろしくお願いします」


「そう言うのいらないよ。私は千歳。別の世界では調停神チィトもしています」

「わかりました」



「リュウさん、次がこのお家の人、戦神ね」

「よろしくお願いします」

「数日間だがともに暮らす身だ、よろしく頼む」



「次が時空お姉ちゃん。さっきは時の流れの違うエクサイトと神の世界を完璧に同調させてくれたんだよ」

「よろしくねタカドラ。万一ジルツァークが世界を放棄してもいいように色々教えるから鍛えようね」

「はい。よろしくお願いします」



「次がナースお姉ちゃんと先輩お姉ちゃん。怪我を治すのが得意な神様だよ」

「はじめましてタカドラ。どこか怪我をしていたら遠慮なく言ってね」

「エクサイトは回復の力が甘い世界だから教えるから覚えて帰りなさい」

「はい。ありがとうございます」



「次は、複製のおじちゃん。同じ物を増やすのが得意な神様だよ」

「今回は役立って居ないが何かあれば協力は惜しまないよ」

「ありがとうございます。何かあればよろしくお願いします」



「次が隠匿のお姉ちゃん。リュウさんが使った隠匿と偽装の元を作ってくれた人だよ」

「よろしくね」

「あなたのおかげでこうしてここに居ます。ありがとうございます」



「こっちはキヨおじちゃんと黒キヨおじちゃん」

「やあタカドラ。僕達も半神半人さ、よろしくね」

「それでさっきは最後の偽装が甘かったからね後でもう一度復習しようね」

「え?あ…はい」



「それでこっちは前に話した創出神のテッドと奥さんで看破神のリリオだよ」

「何か力になれることがあれば言ってくれ。タカドラの出自については皆から聞いた。

お互い産みの親がロクデナシだとしても気にする事はない」

「そうだよ。大事なのは今だからね!腐ったりメガネに復讐とか考えないで今を大事に生きてね!」


「あなたが創出神…。会えて良かった。イロドリ様からお聞きして是非ともお会いしたいと思っていました。奥様もお優しいお言葉、ありがとうございます」



アートがお魚さん以外の皆を紹介した。

お魚さんは今か今かとソワソワしている。

アートはそれがわかっているからかニヤニヤしている。

イタズラを思いついた時の顔だ。



「おしまーい」

「NOぉぉぉ!!」


「冗談だよぉ。リュウさん、こっちはお魚の神様」

「俺は友情神!」


「じゃあお魚をリュウさんに食べてもらうの無しね」

「NOぉぉぉ!!」


「じゃあ、お魚さんでいいよね?」

「…OKだゼーッ…。ヘイ!リュウさん!俺のお魚で元気になってくれヨー!!」

「…はぁ?はい。ありがとうございます」



その後アートはタカドラを連れてジェイド達の夢に行って無事を伝えた。

ヘルケヴィーオとワタブシは一安心と言った顔で喜んでいた。


アートはこの先と今まで話していなかった話をジェイドにした。

ジルツァークの目的と正体。

仮にジルツァークと戦闘状況になった時には神の防壁を破る攻撃が必要な事。

明日からの少ない時間で防壁破りを覚える必要がある事。

亜人とジルツァークの命が一方的に繋がっていること、そして亜人達がジェイド達を揺さぶる道具、脅迫材料として利用される事。

ジェイドは驚きながらも今日の事があったからだろう、話の全てを受け入れて更に万一に備えた用意がしたいと言われた。

それは間違って居ないし願っても居ない。


「ジルが加護を使って勇者を支配できる事が分かった以上セレストとミリオンが敵対する可能性がある。イロドリ、俺に眠りの力は使えないか?」

眠らせて加護を退けるのは良い手段だと思う。

そしてジェイドは話を続ける。


「その状況に陥った時、夢の中でセレストとミリオンにも防壁破りを教えてくれないか?

後は今日のジルを見て居て思った。万一説得が難航したときにはイロドリとタカドラにもジルの説得を頼めないだろうか?」


私達はリアルタイムでアートにその条件で問題無いと教えるとアートはそのままをジェイドに伝える。



**********



夜にジルツァークが天界に現れた。

私は帰宅していてそれをりぃちゃん→黒さん→王様のリレー形式で連絡をくれたので慌てて神の世界を見る。

ちなみにりぃちゃんは家から、王様と黒さんは同時進行をしている。


来訪を見越していた地球の神様はジルツァークを迎える。

「嫌な事が終わったから世界の時間軸を元に戻しにきただけ。この前も言ったけど元気だから気にしないでね」

「ああ、わかった。だが何か困った事があれば力になろう」


「平気だって、あ!一つあったわ。地球の神様はエクサイトを見れたわよね?」

「可能だ」


「余計な意見はいらないけどエクサイトに風を吹かせたり水を循環する方法を今度教えてよ」

「構わない。何かあったのか?」


「ううん。そろそろやってみたくなったのよ」

「そうか。いつでも来るが良い」


「ありがとう。またね」と言ってジルツァークはエクサイトに帰っていく。

りぃちゃんの力で見ていたタカドラが「あんなジルツァークは初めて見た」と驚いた声を出す。


「タカドラ、僕達の見立てが正しければ5日から6日でジェイド達は真相にたどり着くはずだ。それまでに知る事、やる事が君には山積みだ。かなり厳しいがやり切るんだ」

「はい、ですがお言葉ですが亜人界で亜人の街や村を潰すのであればその日数で行くのには無理があります」


「へぇ、僕達の考えに異を唱えるんだ」

「え?その…」


「ツワモノ、黒魔王よタカドラを威圧するな」

「…そうだね。タカドラ、簡単な話だろ。夢の中でジルツァークの目的を話した以上、ジェイドは街や村は無視して進むだろ?それならその日数さ」


「ですがそれでは最後にかなりの数の亜人が攻め込んでします。ジェイドもその事くらいは」

「そうさ、だからジェイドは君の考える以上の事をするだろう」

「君はとりあえず自分のことをやろうか?」


「戦神、明日アートやチトセがくるまでここは0と1の間にするよ」

「うむ…わかった」


「0と1?」

「一瞬で永遠。無限時間の提供さ。とりあえずジェイド達に加護を与えられるようになろうか?」

王様と黒さんは同時進行で神の世界に住み着いている感じだ。

まあズルいと言うか凄いのはお風呂とか食事とかが煩わしい時にはそれぞれガーデンにいるもう1人の自分にやってもらうし睡眠もそっち任せにしている。

私には無理だ。


とは言え王様と黒さんに目をつけられてタカドラもご愁傷様。

私はとりあえず疲れたから寝るよ…と言っても眠るのは身体で意識はアートが夢の中でジェイドに魔法を授ける訓練とかをナースお姉さん達と見守るんだけどね。



夢の中でジェイドにはヘルケヴィーオが待たせた眠りの魔法やハイジャンプの魔法、転移の魔法の練習をさせる。

アートは講師にヘルケヴィーオを呼ぶ。

ヘルケヴィーオから魔法を教えて貰ったジェイドにとってこの訓練は順調で、ある程度するとヘルケヴィーオは帰して防壁破り…私達流に言うなら神殺しの力を教える。

基礎概念はこの前メガネを爆破した時にアートには説明してあるからアートも問題なくジェイドに伝えられる。


「どうだイロドリ?」

「うん。防壁で作った壁もいい感じで壊せるね!」

今はアートが私から教わった防壁で作った壁を用意してジェイドに破壊させている。


「そうか、良かった。だがこう…壁だとやる気にならない。何か良いものはないか?」

そう言ったジェイドは悪ノリして等身大のセレスト人形をアートに作らせると練習用に用意した棍棒で頭をかち割って喜ぶ。

ここでもわかるがジェイドってセレストが好きだよなー。


「よし!やる気が出る!」

「あはは…良かったねジェイド。少し休憩しようか?」


そう言って休憩中にジェイドはアートに「セレストとミリオンがジルに疑問を抱いてしまっている。だがこのまま押し通すしかないと思っている」と胸中を告白する。


「ジェイド…」

「イロドリがそんな顔をする事はない。さあ練習を再開しよう。そう言えばタカドラはどうしている?」


「リュウさん?今頑張ってるよ。リュウさんにはジルツァークと同等の加護を準備してもらってその他にも時間制御とかジルツァークがやれる事を覚えてもらっているよ」

「昨日イロドリが言っていたジルがエクサイトを捨てると脅迫をした時のためにだな?」


「うん」

「タカドラにも悪い事をしているな。だが俺は俺でジルに全てを聞いてみようと思っている」


「それでいいよ」

「了解だ。問題は明日以降だな」


ジェイドはアートから亜人界で起きる事、亜人達がジルツァークの巨大な人質だと聞いている。

その事だろう…。


「ジェイド…」

「大丈夫だ俺には考えがある」


…あまり考えたくないな。

きっとジェイドは決断をするだろう。

それも勝利の為に厳しい決断を…。


その後もジェイドは時間の許す限り訓練をしていた。

一つ思い出した私はアートに私からと言わずに明日朝起きて準備が済んだら聖棍エルを数分構えて欲しいと伝えて貰った。

ジェイドは何のことか分からずにいたが「わかった」と言ってくれた。


翌朝、ジェイドは頼んだ通りキャンプを片付けると聖棍を構える。

「どうしたんだジェイド?」

「いや、今日から亜人界だからな。気合を入れていた」

ジェイドはセレスト達が怪しまないようにそれらしい事を言ってくれる。


「そうか、僕もやるかな」

「じゃあ私もやるかしら?」

3人の勇者がどこか楽しげに武器を構える。

とても美しい一幕だ。


その瞬間、ジェイドの御守りを使って死者の間のエルムが現れるとジェイドの身体を伝って聖棍に眠るエルムの妄執を起こす。


「ほら、起きて!迎えに来たよ」

「え?」

突然目の前にもう1人の自分が居て驚く妄執のエルム。


「私のことはわかるよね?」

「うん…本体だよね」


「そうだよ。ほらこのまま消えちゃうなんて言わないで向こうに行こうよ!お父さんもお母さんも待っているよ」

「私も行っていいの?」


「当たり前だよ。4年もひとりぼっちにしてごめんね」

「ううん。迎えに来てくれてありがとう」

妄執のエルムは感極まって泣いている。


「さあ、一つになろう?」

「うん」


こうしてエルムの身体は光って一つに戻る。

「ありがとう神様」

エルムはそう言って死者の間に帰っていく。

まあ感謝が苦手な私でも気分は悪くないかもね。



**********



ジェイド達の亜人界侵攻が始まった。

亜人界侵攻の救われるポイントはジルツァークの行動が日の出から日の入りまでと言うこと。

アートは幼稚園、私は出勤と業務があるので、問題が起きてりぃちゃんや王様から連絡が来ない場合、午前中はエクサイトを見ずに過ごす。

午後、アートの幼稚園が終わるタイミングで戦神の家に集合をしてライブラリ参照をしてから日没まではリアルタイムで見届ける。

タカドラはアートのいない時間帯は全て神に向けての修行をしている。

ちなみにだがタカドラはまだ神化していない。


午後、遂に亜人会に足を踏み入れたジェイドは危惧していた通りの行動に出た。

先日のジルツァークとタカドラの戦いで力の衝突から亜人界には亀裂が走っていて、たまたま亀裂に飲まれた村があったが村に入ろうとするセレスト達を静止してミリオンに大魔法アトミック・ショックウェイブを発動させて村を消滅させた。


何も知らないセレストとミリオンは耐えられるがジェイドは耐えられないだろう。

現に私は来ない助けを待つ亜人の姿を神の力で見た。

亜人界も上層界に比べれば何もかも弱く脆い。

いくら亜人の身体が頑丈でも瓦礫に埋れれば身動きが取れなくなる。


ジェイドはそれを考えてしまった。

4年もの時間を復讐に費やして亜人の事、亜人の性質、亜人の考えを考えていた事に対するある種の弊害。今も苦しみ死んでいく亜人の気持ちを考えていた。

私はジェイドの個人ライブラリでその心境を見てしまった。



アートは個人ライブラリを見ていないがジェイドの決定を見て泣いてしまった。

「ジェイドが可哀想だよ」

「でもこれが正解だ。仮に歓迎ムードの亜人達を見てもジェイドは悩み苦しむ」

「崩壊した村で助けを求める亜人を見ても同じだよ」


王様と黒さんに言われて納得はできないが諦めるアート。

それを心配そうに慰めるタカドラ。


そして日が暮れた後で街が出てくる。

街明かりは暖かな光を放っていて亜人の暮らしがよくわかる。

そこには確かな暮らしがある。

ジェイドや多くの人間が思い込んでいた文明なんかロクにない原始的な暮らし、粗野で粗暴な姿を思い浮かべてしまう人間達からしたら想像も出来ない亜人達の暮らし。

ジルツァークが命令しなければそれなりに人間らしい生活を営む亜人達。

違いはジルツァークの命令に絶対服従な事と命がジルツァークと直結している事だ。


更には防人の街で4年間ジェイドを拷問し続けた獄長の妻と娘がここに居る。

ジェイドはその事は知らないが仮に獄長の娘がフランのようにジェイドに懐けばジェイドは立ち上がれなくなる。

それどころか顔や目を見たセレスト達も立ち上がれなくなるだろう。


恐らくジルツァークはそれを期待して今日は姿を現していない。

他にやることもある様子だが、ジェイド達が自分抜きでこの状況に直面をして悩む事を待っていたのだろう。


その事からジェイドは再びミリオンにアトミック・ショックウェイブを使うように頼む。

その顔は必死で悲痛。


だがそれに気付かなかったセレストはミリオンにばかり任せた事に声を荒げるし、ミリオンはかつてジルツァークからアトミック・ショックウェイブの乱発に対して「残念♪まだまだだねミリオンは、ジェイドに芸がないって言われると思うよー」と言われてことからジェイドはバリエーション豊かに亜人を殺すと思っていたのにアトミック・ショックウェイブを連発するように言った事に驚きを隠せなかった。


街が消滅した後でジェイドはストレスの限界で吐いてしまいそのまま倒れ込んだ。


「ジェイド!」

アートが映像に向かって心配そうに声をかける。

アートはもう涙目涙声で映像を見ている。


「イロドリ様…」

「リュウさん」


アートを支えようとするタカドラに感謝をしてしまう。

私が不在でもタカドラが居れば何とかなる。


「アート、ジェイドの夢に行ってあげなさい」

私はアートの為にもジェイドの為にも何かをしたかった。


「まだ早くない?」

アートは心配だったのだろう。

だが今の私には関係のない問題だ。


「倒れたから夢の世界には行けるわよ。ジルツァークにバレないように私が力を使うから行きなさい」

私は髪を染め上げて力を使う。


「ジルツァークなんかに悟らせない。私の隠匿でアートを守るよ」

「千歳…、怒ってる?」

アートが恐る恐る聞いてくる。

きっと怖い顔をしているのだろう。


「アート、チトセはジェイド達を助けてあげたいんだけど何もできないのが悔しいんだよ」

「仕方ないから力を使わせてあげてよ」

王様と黒さんがアートを説得してくれる。

うん、今は他の人が説得したほうがいい。


「うん。わかったよ。行ってくるね。何かあったら教えてね」

そう言ってアートはジェイドの夢に旅立つ。


「お姉様、ありがとうございます」

「構わない。タカドラはジルツァーク抜きでもエクサイトを導けるように強くなって」

タカドラは「御意」と言って映像を見る。映像は夢の世界になっていた。



アートはジェイドと会った。

ジェイドはこんな時にもセレストやミリオンを優先して考えているし亜人殺しの罪は自分にあると言う。


「タカドラ、この件でジェイドに罪はある?」

「いえ…、必要な事です。罪ではありません」


「ありがとう。アート、タカドラからも罪はないって言われているから安心するように伝えてあげなさい」

「ありがとう千歳」

アートは自然に同時進行に近い形で心の声で会話をするようになっていた。

子供の吸収力、成長速度とは恐ろしいものだ。


そのまま話をしてジェイドはかつてワイトも同じだったかと聞いてきた。

その通りだと答えると少しだけ悲しげで救われた顔をした後でワイトと自分のようにアトミック・ショックウェイブで亜人の顔を見ずに済んでいたらいいなと思っていた。

そして殺した亜人の数を知りたがる。

アートは黙っていたかったのだが渋々伝えていた。


会話の後で防壁破りと魔法の訓練を進めていた。

結果は上々。この分なら何の問題もないだろう。



「チトセ、このペースなら後2日だ。君も耐えるんだ。もしも感化の心配があるなら僕が変わる」

「王様ありがとう。大丈夫だよ」

王様はこう言うときに優しい。

私も素直に感謝を告げる。


「チトセは強くなったね」

「黒さん?」


「もうアートはチトセの娘みたいだ。チトセならいいお母さんになれるよ。だから僕達はチトセとビリンの子を楽しみに待つよ」

「早いよ。私なんてまだまだだしそれにコピーガーデンまでお爺ちゃんお婆ちゃんだとお婆ちゃんが11人になっちゃうよ」

照れながら答える。

11人のお婆ちゃんなんて孫はどうしていいかわからなくなる。


「賑やかでいいじゃないか」

「戦神?」


「あの丈夫なら千歳を幸せにできる。心のままに生きるが良い」

「うん。ありがとう」

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