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おまけガーデン。  作者: さんまぐ
アートの女神イロドリ。
16/19

ひとりの女神として。

出社をして神の世界に行く準備をしていると社長がやって来て「急に休みにしちゃってごめんね」と謝ってきた。

話を聞くと急に社員さんの顔が疲れている風に感じてリフレッシュ休暇にしようと思い立った社長さんは偶然お客様との約束が無かった月曜日と火曜日を休みにしてしまったと言う。


まあお客様との約束に関しては東さんと地球の神様が手を回して向こうからキャンセルを入れるように手を回してくれたわけだし社長にしてもジョマが休みたくなるように暗示をかけていた。



「いえ、ありがとうございます」と感謝を告げると「千歳さんは数日会っていないだけなのに急に大人になりましたね」と少し普段と違う口調で言ってきた。


「え?」

普段通りなんだけどなぁ…。


「なんかいつでも結婚してもおかしくないし子供を授かってもおかしく…ってこれは今の世の中はセクハラかな?」

社長が人の良い笑顔で頭に手を回して照れ臭そうにする。


「いえ、社長と私の仲ですから平気です。ありがとうございます」

「また皆が疲れてる風に見えたら休みにするからこれからも皆で頑張ろうね!」

そう言って社長が去って行く。



「東さん?」

「なんだい?」

東さんは今日もニコニコと優しい笑顔だ。


「私、そんなに変わったかな?」

「そうだね。変わったと言うかストレスからは解放された顔かな?」


「えぇ?そうかな?」

「アートの為に僕たちを止めてくれた時から凄くスッキリとした顔をしているよ」


「そっか。確かにスッキリしてるよ」

「良かったね千歳。もうすぐお母さんかな?」


「ええぇぇぇ?早いよ」

「そう?おっと常継の顔が怖いからそろそろ行こうか?」


VR装置に腰かけながらジト目で睨んでくるお父さんを見ないように東さんと私は神の世界に移動をする。

東さんは同時進行で私はダミーの身体を端末に寝かせてきた。


「東さん、タカドラの方は?」

「無事に成功したよ」


「じゃあ後はジェイド達だね」

「うん。エクサイトの大地は変質を見届けたいから今は時間制御しているからね」


「そうなんだ」

「ちょうど良かったよ。カナリーとエルムの定着も済ませてしまえるしね」


私と東さんが広場で話していると「おはよう」と言ってジルツァークがやってくる。

「おはようジルツァーク」

「おはよう」


私達が挨拶をしているとアートはジョマと手を繋いでやってきた。

「おはようアート、ちゃんと寝た?」

「うん。寝たよ」

「おはようございます千歳様」


「じゃあ移動しよう」

東さん主導で私達はアートの中に行く。


アートの中でカナリーとエルムは眠っている。

ジョマが時を止める時に眠らせたのだろう。


「私が起こすからその瞬間アートとジルツァークは力を使うのよ?千歳様、申し訳ありませんがアートのフォローをお願いします」

ジョマがアートから手を離してカナリーとエルムの前に行く。


「わたかったよママ」

「やるわ」

「おっけー。東さん、ジルツァークのフォローは私?」


東さんは含みのある笑いをしながら私を見て「千歳がやれるかい?」と聞いてくる。

もう最初からそのつもりでいたな。


「まあやりましょう!」と私が言うと驚いたジルツァークが「やるの?」と聞いてくる。


「ジルツァーク、アートのお姉ちゃんの千歳はなんだかんだで助けてくれるんだよぉ〜」

ジルツァークは変な顔をして「わけわかんない」と言って私を見る。

私は「人間だもん仕方ないでしょ?」と言って笑う。



「アート、千歳の後に着いておいで。行くよ!神如き力!重くて固くてそれでいて壊れない殻をイメージしなさい!」

「うん!見えるよ!」

アートはちゃんと後ろにくっ付いてくる。

まあ、産まれてからずっと一緒に居た経験だと思う。

問題は次のジルツァークだ。


「よし、ジルツァークはイメージ出来る?」

「殻なら何となくわかるわよ」

そう言いながらジルツァークがイメージしている力を見る。

悪くはない。


「いいよ。そのまま頑張って。出力が甘いよ、ムラがあるから一定の力を意識しなさい」

「もう、私が女神で千歳は人間なのに!」


アートの力もジルツァークの方も何とか安定した。

早くにケリをつけた方が良い。


「ジョマ!お願い!」

「はい。2人の時の流れを動かすわ」

ジョマが手を動かすとカナリーとエルムの時が流れたのがわかる。


「アート、神の目で見なさい。カナリーの身体と魂がズレてるよね?」

「うん」


「殻で覆ってあげなさい」

「やってみる」

アートが手を出して用意した力をカナリーに向ける。

今のうちにジルツァークだ。


「ジルツァークもエルムが見える?」

「薄い部分から漏れてる感じ?」


「そうだよ。覆ってあげて」

「わかった」


アートもジルツァークも無事にやり遂げた。

弱火でコトコトではないがあの力の使い方は慣れないとキツいんだよね。


「2人ともお疲れ様。ジョマ、何日くらいで定着するかな?」

「外で2日、今のエクサイトで4日ですね」

ジョマがカナリーとエルムを見て教えてくれる。

私の見立ても大体一緒だ。


「東さん、タカドラのやった地表は何日くらいかかる?」

「大体同じさ」


「じゃあ後は…少しカナリー達と話をした後は装飾神にお願いしましょう」


「千歳?」

「なんかテンポが早いんだけど」

アートとジルツァークが驚いた顔で私を見るとジョマが「ふふふ。博愛の女神の本領発揮よ」と言って喜ぶし、東さんも「そうだね。このハイテンポが千歳さ」と言って嬉しそうに笑う。



**********



「カナリー、エルム。起きなさい」

私はさっさと2人を起こす。


「はい?」

「あれ?」


「この前、装飾神ジィマ…彼女から説明は受けたわね?」

「術後の経過が良くないって聞きました」

「それで処置をするから眠るように言われて寝ていました」


「そうね。今起きていると言う事はどう言うことか理解できるわね?」

「処置をしてくださったのですか?」


「ええ、カナリーの事はイロドリ、もうアートって名前がバレているのよね?そしてエルムはジルツァークがやってくれたわ」

「アート様ありがとうございます」

「ジルツァーク様もありがとうございます」

カナリーとエルムはアートとジルツァークの方を向いて深々と頭を下げて感謝をする。

アートとジルツァークは感謝をされ慣れていないから照れている。


私は落ち着いたカナリーとエルムを見て話し始める。

2人は真剣な顔で私を見る。


「これからの話をするわ。これは守って貰いたいの。いいかしら?」

「…はい…」

「なんでしょうか?」


そう言って私はいくつかの事を守らせた。

私の存在、東さんの存在、ジョマの存在はエクサイトの人間…生きている者達に言わない事。

私達を知っている者は数名居るがエクサイトで私達の話を基本的にしない事。

アートの名前は出さずにイロドリで統一する事。

万一困った事態に陥った日が来ても女神ジルツァークと竜神タカドラを頼れても私達には何も求めない事。

そんな事を守らせた。


「何故かは伺えますか?」

カナリーが困り顔で聞いてくる。


「私達はお節介で手を出しただけでお礼もいらないのよ。その代わり次のお節介はないと思って欲しいの。エクサイトの神はジルツァークとタカドラなのよ。2人を崇めて幸せに導いて貰いなさい」

そう言ったらカナリーは納得して頷いてくれる。


「私からもいいですか?」と言って今度はエルムが私の前に来たので「何?なにかあるのエルム?」と聞く。


「あの、お名前は?」

「チィトで構わないわ」


「チィト様、もう1人…妄執の私を助ける方法を教えてくださったのはチィト様ですよね?」

「…」

…まあ、声は変えていないからバレると言えばバレるが「そうですよ」と言う必要は無い。


「約束したから言っちゃいけないとは思ったけどイロドリ様もお姉様だと言っていたし、赤い髪がイロドリ様に似てたからそうじゃないかと思ったんです」

「…そうよ。私があの時口出しをしたわ」

ここまで来ると隠す事もない。認めてしまおう。


「ありがとうございます。お礼を言いたかったから言えて良かったです!」

「あなたキチンとお礼を言っていたじゃない」

ちゃんと聖棍に残った妄執のエルムを回収したエルムは「ありがとう神様」と言っていた。


「あ…迎えに行ったのを見守っていてくれたんですか!?ありがとうございます!」

「あ…」

失言だったかな?

このやり取りで東さんとジョマ、アートが嬉しそうにしている。

ジルツァークは何の話か分かっていない。


「でも本当なら兄さんにもキチンと皆さんの事を伝えてお礼を言わせたいのに」

「いらないわよ。後は蘇生の終わりまでここで4日過ごしてもらうから大人しくしなさいね」


「はい!」と言ってエルムは頭を下げる。



私はジョマに向かってチィトとして話をする。


「ジィマ、装飾をお願い」

「ええ、わかったわチィト、何をすればいいの?」

ジョマも私が「ジィマ」とサード用の呼び名で呼んだので意図を汲んでくれる。


「イィト、ジェイドは生きると誓ったのよね?」

「ああ、彼は誓ってくれたよ」

東さん達とジェイドの会話は追っていたのでわざと再確認をする。


「ジィマ、2人の蘇生が終わるタイミングでジェイドをグリアに導いて。

イロドリ、あなたはジェイドと会う約束をそこで果たしなさい。

ジィマ、劇的な出会いをお願いね」


そう言うと嬉しそうなジョマが紅潮した顔になって「チィトの考えに従います!」と嬉しそうに言う。


今度はジルツァークを見て「ジルツァーク、そこまではジィマに従って貰う」と言うとジルツァークも話し方の違う私に合わせてくれて「わかったわ」と言う。

流石は演技派女神、アドリブに強くて助かる。


「後はイィトに教わってここに部屋と家具、食器を創造して食事も上層界のものを差し入れてあげなさい。イィト、ジルツァークの補助をお願いしていいかしら?」

「やるよチィト」

東さんもキチンと私に合わせてくれるのでありがたい。


「ち…チィトは何をするの?」

「私はイロドリとけじめつけに行くの。イロドリ、ついてきなさい」

唯一アドリブの効かなかったアートがチィトではなく一瞬千歳と呼びそうになっていた。

とりあえずこれでお膳立ては出来た。

私はアートにけじめをつけさせに行く事にする。



**********



千歳とアートは死者の間の手前まできた。

「ち…」

「千歳で平気だよアート」

千歳と呼ぶべきかチィトと呼ぶべきか迷ったアートに千歳が声をかける。


「千歳、さっきは驚いたよ。あれが女神をしている時の千歳なんだね」

アートは初めて見た女神チィトに驚いていた。


「あはは、驚く事ないよ。さあけじめだよ」

「けじめって何するの?」

アートは千歳からけじめとは聞いていたが何をするかは聞いていない。

気になって何をするのかを聞いている。


「グリア王達に謝りたいでしょ?」

「あ…、うん」

アートはエルムの姿を見てからずっと気にしていた。


「なんでわかったの?」

「千歳もだからだよ。私も取りこぼした人に謝りたいもん」

千歳は困り顔で微笑む。


「千歳もなの?じゃあ!」

アートはあれだけの力を出せる千歳と自分ならグリア王達を助けられると思った。

だが千歳の返事は「ダメだよアート」と言うものだった。

そして顔は怒っている時の怖いものではなく困った顔で優しい言い方だった。

そう言われたアートは「…え…あ…うん」としか返せない。


「だから千歳は死者の間が苦手なんだよ。力だけで言えばできるよ。でもやっちゃダメ。この世界はジルツァークとタカドラの世界。私達が手を出すのはやっぱり良くない事なんだよ。アートの言いたいこともわかるよ。でも人を助ける良いことだって言いたいんだよね?でもね、小さくまとめずに話をもっとシンプルにしてしまえば「世界への手出し」なんだよ」

千歳は長い言葉を一気に言う。

言いくるめたいとかそう言う気持ちはない。

単純に思いの丈を伝えたら長くなっていた。


「…」

「難しいかな?今は理解できなくてもそう言う言葉を知ってね。それにもしもグリア王にはこの臣下…部下も必要なんですって頭を下げられたら断れる?」

困り顔の千歳が続けるとアートは何も言えずに困ってしまう。

言い返せない事は肯定している事になる。

それを知っている千歳は話を進める。


「生き返らせられるグリア王と断る部下の人達の違いって何?無いよね?それで助かる人や助からない人ができる事を千歳は嫌なんだよ」

それを運と捉える事を人間の千歳は知っている。

知っているが目の前に神が現れて自分が助かって他の人が助からないのもその逆も嫌だ。


「…それはアートも一緒だよ」

アートはやっと返事をする。


「うん。だからね。東さんからも蘇生はカナリーとエルムだけと言われたんだよ。後は辛いけど我慢しよう。そして蘇生の可能性を知ってしまったグリア王とお妃様にはごめんなさいをしよう」

「…うん…」

返事はしたが悲しくて悔しくてもどかしくて泣いてしまうアート。


「ほら、泣かないの。ここではアートは女神イロドリでしょ?」

「千歳は女神チィトの時には泣かないの?」

泣きながらアートが千歳に聞く。


「うん。そう決めてるよ。無理な時もあるけど決めてる」

「そっか、頑張る」

アートが目を擦ると千歳が優しくハンカチを出して「ほら、やってあげるよ」と言って顔を拭いてあげる。


「ハンカチ…」

「え?」


「千歳はどこから出したの?」

「創造するときもあるし、家から呼び出すときもあるよ」


「…今度創造教えて」

「いいけどアートの好きなマジカルアイドル変身セットを出しちゃダメなんだよ?」


「え!?」

「東さんとジョマも出さないで買ってくれるでしょ?」

アートは聞きながら自分の父母が欲しい玩具を創らないで買ってくれることを思い出した。

きっと父母のルールでは欲しい玩具とかを創ることは駄目なのだろう。


「あ…そっか…」

「ほら、ガッカリしないの。マジカルアイドルよりアンタは十分にマジカルだよ」

そのまま千歳はアートと手を繋いでゆっくりとグリア王達の元に歩く。


千歳は今さっきのやり取りもグリア王に見せていた。

それは卑怯かも知れないが、神が万能では無い事、神も葛藤している事を見て貰うために見せていた。



**********



後数分でグリア王の元にたどり着くところまできた。

なので千歳が歩きながら「ほらアート、ここからはチィトとイロドリだよ」と声をかける。

「うん」と答えるアートだったが千歳から「はいだよ」と言われる。


「はい」

「さあイロドリ、グリア王とお妃様にご挨拶を」


「はい。こんにちはグリア王、お妃様」

「女神様、本日は如何なさいましたか?」

「娘のエルムやカナリーはジェイドに会えましたか?」

ここで固まってしまったアートの代わりに千歳が前に出る。


「こんにちは。私は女神チィト」

「そのお声は聖棍に残った娘を助けてくださった女神様ですね。はじめまして。娘をお助けいただいてありがとうございます」

「どうされましたか?」

実は同時進行で挨拶は済んでいたがアートの為にはじめましてと言う事になっている。


「カナリーとエルムは処置が終わって蘇生の完了までエクサイトの時間で4日と言ったところですよ」

「生き返ると言うのはそんなに時間がかかるものなのですね」

「私共はどうしても昔子供達に読み聞かせた絵本の事があって一瞬の事かと思っていました」


「ええ、神によっても千差万別あります。司る力によって蘇生方法すら様々なんですよ。他の神には一瞬の事でもこの女神イロドリやジルツァークの執り行った方法は時間のかかるものを選んだ。

でも凄く丁寧な方法で、ここでの経験も持って帰れる素晴らしい方法です」

千歳は説明をしながら「時のタマゴ」で強制的に時を跳んだ場合を思い出していた。

蘇生は一つの応用に過ぎないが一瞬で執り行われる。

使用者と使用者が望んだ相手は世界に誤認…混乱させる事で記憶や経験などを持って時を戻せるがそれ以外の人間は自身が死んだ事も行った行動も知らないままに蘇生をする。


「そんな方法だったのですね。ありがとうございます女神様」

グリア王達がアートに向かって土下座で感謝を伝える。


アートはドン引きだが千歳はそれを許さない。

「女神なんだからクールに応えなさい」

そう、心の声で言われて「ええぇぇぇっ!?」と返す。


「いいの。気にしないで」と頑張ってアートが返事をする。


「それで、本日はどのような用事で?」

「…謝りに来たの。ごめんなさい」


「イロドリ様?」

「もし生き返れると思っていたらもうできない事を言いたかったの。

力が足りないとかじゃなくてパパとママにもうしてはいけないと言われたの」

アートは怯えていた。

誹謗中傷を覚悟していた。

自分には父母が居て、エルムの涙を見てしまったのに助けられない事を怒られると思っていた。


「いいんですよ女神様」

「私達はエルムとカナリーが生き返ってくれてジェイドの横に居てくれるだけで十分です」

「え…?」

グリア王達がアートに向かって優しく微笑む。

女神だと思っていてもやはり見た目が幼い子供なので優しく微笑んでしまう。


「神様がくださった奇跡にもっと欲しい等と誰が言えましょう?」

「それに王が居れば国は残る訳ではありません。私達のグリアは終わってこれからはジェイド達が生きる世界です。わざわざ生き返って何になりましょう?」


「本当?」

「はい」

「それに他の世界の神様がジェイドを助けてくださっただけでも感謝しかありません」

その言葉を聞いてアートは緊張の解けた顔をしてホッとする。


アートの顔を見て千歳も安心をすると「良かったですねイロドリ。さあ帰りますよ」と言う。


「はい!」

「それでは」

千歳はそう言ってアートの手を引いて瞬間移動をした。


だが消えたのはアートだけで千歳はその場に残っていた。

アートの為に苦手な同時進行をしていた。


「ごめんなさいグリア王様、お妃様」

「いえ、先程のお話の件ですか?」


「ええ、先にあの子の苦悩を見せてごめんなさい」

「いえ、それこそ先程の言葉に嘘偽りはありません。神の奇跡に感謝をしてもそれ以上を願いません」


「ありがとう」

「ただ一点、伺えるのならエクサイトは良くなりますか?」


「ええ、ジルツァークも自身を取り戻し、新たに竜神タカドラも生まれた。

人間界の土地は上層界のものになりました。食事も栄養価が上がります。タカドラはエクサイトの命が神になった存在でジルツァークは人に寄り添える神。

間違いなくエクサイトは良くなりますよ」

「ありがとうございます」


「はい。それに神の世界には様々な神が居てジルツァークとタカドラを助けてくれます」

千歳は安心して欲しい気持ちから優しく微笑む。


「ありがとうございます女神チィト様」

「いえ、それでは」


そう言って千歳は「あー、やっぱり同時進行は苦手だなぁ。疲れる」と言いながら神の世界に瞬間移動をする。

神の世界では皆がアートの労をねぎらっていて千歳もそこで微笑んでいる。

神の世界に出た瞬間に同時進行を解いて同化しようと思っていたのだが出現位置は全く別の場所だった。



**********



「え?ここ…」

そこはファーストガーデンに東京太郎が作った黄昏の空と名付けたマジックアワーを切り取った場所。


「千歳」

「え?何やってんのよ?」

目の前に居たのは地球の神だった。

黄昏の空は空中だが地球の神の力で千歳は浮遊していた。


「ご苦労だった。すまんな」

「いいわよ別に。最後はやりたくてやったしね」

千歳は気にしないでと謙遜をする。


「それでもだ。アートを導き、ジルツァークを助け、今も後処理をして人間の心をケアしていた。グリア王達は不満を口にしないがやはり心のどこかで期待していた。それを見抜いてフォローした行動は見事だ」

「見抜いたって言うか人間なら皆期待するからよ」


「だが神々にはそれが欠落している。そしてキヨロス達のように神化の過程で人間性を損なう者もいる。だからこそ千歳の存在は唯一無二、ありがたいのだ」

「そりゃどうも」

千歳は警戒していた。

お礼だけでここに呼ばれることがない事を理解している。

だが呼ばれたと言う事は別の話がある。


それを察した地球の神は「やはり神化は嫌か?」と聞く。


「またそれ?」

「神化して私の後継者になって神を取りまとめる神として神の世界を導いてはくれぬか?」

突然のとんでもない提案に千歳は「はぁぁ?」と声を大にして驚く。


「いや、千歳の母、伊加利千明からも天田照宛に万一千歳が神化した時は千明自身も神化させて欲しいと頼まれていてな」

天田照と言うのは地球の神が地球で生活をする時に使っている名前で千歳達と仕事上の付き合いもしている。


「はぁ!?なんで!?地球の神様とお母さんのどこに接点あるのよ!?」

「天田照の名刺にメールアドレスを作っておいたらそこにメールが届いた。千歳が神化を拒む理由が家族の事なら問題無いのだ」


「…お母さん…何考えてるのよ?」

驚きつつ呆れる千歳の前にジョマが現れる。


「あらあら、千明様ってば地球の神様にも頼んでいたのね?」

「ジョマ?ん?にも?」


「ええ、私にもお願いって言ってましたよ」

「嘘ぉぉぉ…」


…何で母は二重構えをしているんだ?

そう思った時に東も現れる。


「ああ、僕にも言っていたよ」

「東さん!?」


千歳は突然知った事実に驚いてしまっている。

まさか父だけではなく母まで神化に対して根回しをしていたとは…、そして父は若い神に頼んだが母は重鎮に頼んでいた。


「何それ?お父さんはテッドに頼んでいて、お母さんは東さんとジョマと地球の神様で、ビリンさんは誰かに頼まれていて?きっとルルお母さんやツネノリもだよね?」

「そうだね」

「これで千歳様は寂しくありませんね」

「気付いているとは思うがキヨロスや義理の母になる6人もその日に備えて昨日は神界に顔を出したからな」


なんと言う事だろう。

千歳の知らないところで着々と家族や仲間達は神とのコネクションを形成し、千歳が神化をしてしまった時自身も神化をさせてくれと約束を…確約を得ていた。


だがここで千歳が1つ気になった。

「ん?6…?3じゃないの?」

「甘いよ千歳」

「千歳様?コピーガーデンを救われた女神の名前を仰ってください」

東とジョマが嬉しそうに微笑む。


ここで察した千歳が一縷の望みにかけて「…え?嘘だよね?」と言うのだが食い気味に「仰ってください」と言われてしまう。


「…うぅ…もしかして私?調停神チィト?」

「そうです。だから皆千歳様に報いたいと千歳様が神化をされたらコピーガーデンの仲間達は皆神になる覚悟を決めていますよ」


「誰が認めたの?」

「誰だと思います?」

ジョマがニコニコと千歳に質問をする。


「…黒さん」

「はい。後は?」


「テッド」

「まだ居ますよね?」


「りぃちゃん」

「はい。後1人ですよ」


「え!?誰?」

「少し考えればわかるけどね。一つずつ片付けて行きなよ」

東もニコニコしている。


「…黒さんは奥さん達と子供達だよね?」

「後はリーク達一家だよ」


「嘘!?」

「本当さ。皆ちとせとも仲良しだよね?

仲良くなったしリークは千歳を知っていただろ?そこからマリーとマナとマリナ、ナックもだよ。リークがキチンと黒いキヨロスを呼んで頭を下げて頼んだのはサマになっていたよ」


「ええぇぇぇ…」

「ふふ。テッドとリリオに頼んだのは?」


「それこそノースとウエストと二の村だよね?」

「後はテツイもだよ」


「そっか、じゃあ後は誰が誰を頼ったんだろ?」

「本当にわからないのかい?」

東がキョトンとした顔で千歳に聞く。


「うん。後は誰だろ?」

「ふふ、身近過ぎてわからないのね」


「身近?あ…うちだ」

「はい。正解です。でも誰に頼んだかわかりますか?」


「居たよ、最も身近なのが1人…。常泰経由かな?」

「ふふ、正解です」


ここで千歳が1つ気になったので質問をする事にした。

「ジョマ達って何でタカドラにはヤキモチ妬くのに常泰には何も言わないの?」

「え?何でって申し訳ありませんがあんな小さな子と何かある訳無いからですよ」


ジョマがカラカラと笑う。

そう言えばタカドラは500歳。

千歳はそういう事かと納得をした。


「まあ常泰経由と言っても常泰は何も知らないさ。アートが遊びに行って常泰が遊び疲れて寝てしまった時に向こうのルル達がアートに万一の時は神化させて欲しいと頼んだんだよ」


「うわ…、アートは二つ返事しそう」

「正解だよ」

千歳は追体験するまでもなく目にものが浮かぶ。真剣に頼む母達と父達、そして兄と義姉。

二つ返事で「本当!いいよ!!」と言うアート。


このやり取りを見ていた地球の神が口を開く。

「ふむ。これで千歳が神化をしても問題なくなった訳だな」

「大アリよ!バカじゃ無いの!?皆はなったらって言ったんだからならなきゃいいのよ!なるもんですか!もう、折角の景色が台無し!とりあえずエクサイトの事はジョマにお願いしたから私帰るよ」

千歳はそう言うと同時進行をしている神の世界の千歳を回収して帰宅をした。



**********



カナリーとエルムは無事に蘇生した。

現状、エクサイトのジェイドは聖女の監視塔を後にしていてレドアに到着していた。


ジルツァークはジョマに色々と教わっていてようやく神の領域に足を踏み入れる。

「ここでライブラリ検索もできるわ。世界に起きた事は設定値を変える事も出来るけど基本全て記録される」

説明を受けてライブラリを見れたジルツァークはまた神として一つやれる事が増えたと喜び、その姿を見たジョマも嬉しく思う。


「はい。今日はここまでね」

ジョマに言われて神の世界に帰ると治癒神達はお茶の用意をしてくれていてジョマとジルツァークは一緒にお茶をした。


「今日は何をしたの?」

「エクサイトの神の領域に行ってきたの」


「あ、気持ち悪かった?」

「気持ち悪い?」

「千歳が気持ち悪いって言っていたのよ」

治癒神と時空神がジルツァークに千歳からまた聞きしていた事を聞いてみる。


「え?何で?」

「あ…気付いてない」

隠匿神はジルツァークが気持ち悪い点に気付いていない事に気付く。

確かに「神の領域とはこういうモノです」と言われてしまうと信じてしまう。


「ジョマ、何処かの神の領域を見せられないかな?」

「うふふ。じゃあコピーガーデンの神の領域にしましょう」

ジョマが手をかざすと落ち着いた雰囲気の神の領域が映像で出てくる。

それは荘厳な図書館、その司書達が使う部屋と言った感じだ。


「あ、エクサイトの神の領域と違う。なんで?」

「ふふふ、ジルツァーク、今から追加で課題よ。ここからライブラリを参照しなさい。エクサイトは完全記録になっているから見れるわよ」


「ジルツァークが悩んでる間に私達にもエクサイトの神の領域を見せてよ」

「はい。ジルツァーク、課題が増えたわよ」

「鬼!」


結局ヒーヒー言いながらジルツァークは遠距離で今現在の神の領域の映像化に成功した。

「うわ」

「キモい」

「無いわー」

「千歳の言う通りだね」

時空神達が聞いていたよりも悪趣味な神の領域にドン引きをする。

一応言うが決して調度品に問題がある訳ではない。

ただ、明らかに性的な接触を意識している部屋が気持ち悪いのだ。

メガネがジルツァークを思って調度品を揃えていると言う事が気持ち悪い。


そしてようやくライブラリを見れたジルツァークも「メガネ…」と呆れと怒りをあらわにする。


「見たのねジルツァーク。皆さんにも見れるようにライブラリを映像化しなさい」

そう言われたがジルツァークは試行錯誤をして見たが映像化は出来なかった。


「まだ無理」

「ふふ、精進を怠らないでね。今回は代わりに出してあげます」

そう言ってジョマが出した映像を見た女神達はメガネの行動にドン引きしていた。


「うわ…」

「ベッドを置く?」

「しかも完全記録ってさ…」

「ここでプライベートな姿になるジルツァークを隠し撮りしたかったって事だよね?」

そう、メガネがジルツァークに神の領域の正しい使い方を説明をせずに「ここで寝泊まりが出来ます」と言えばゆったりとした二人掛けのソファでジルツァークがうたた寝をする姿や万一着替えなどを行えばそれを見ることが出来るのだ。


「ええぇぇぇ…プライベート…気持ち悪いわよ…」

ジルツァークは視覚神とガラス部屋に入れられた経験でその手の話にかなりの嫌悪感を抱くようになっていた。


「ふふ、じゃあ次の課題よジルツァーク。次回はあの家具を取り除いてジルツァーク好みの家具を起きなさい」

ジルツァークは沢山の課題を次々に出されて顔と口では嫌そうにするが心では嫌がらずに立ち向かおうとしている。

ジョマもそれがわかっているので次々に課題を出す。

ジョマの中ではいまのジルツァークはカラカラに乾燥したスポンジで新しい情報、知識、体験と言う水をギリギリまで吸収させてあげたいと思っていた。


「うん。装飾神は教えてくれる?」

「ええ、勿論よ」

ジョマが嬉しそうに返事をする。

ジルツァークも内心ジョマが拒否しないとわかっていて聞いている。

一種の師弟関係みたいなものが生まれていた。


「ジルツァーク、メガネみたいな男が嫌ならその服装を変えてみれば?」

「うん、性的な目で見られなくなるよ?」

「ええぇぇぇ、可愛いから気に入っているのに」

ジルツァークがヒラヒラとして露出の激しい服を手に取ってイヤイヤと首を振る。


「自己防衛も必要なのよ?」

「うん。千歳なんて男が寄り付かなくなる御守り作ったんだよ」


「そうなの?」

ジルツァークは千歳を沢山知りたいと思っているので千歳の名前が出ると面白いように反応をする。


そんな話をしているとタカドラがやってきた。

タカドラは顔をニコニコとさせながら口はモゴモゴと動いていて何かを食べていた。


「タカドラ、こっちよ」

ジョマに呼ばれたタカドラが近づいて挨拶をする。


「お呼びでしょうか?」

「ええ、タカドラに仕事を頼みたいの?タカドラにしか頼めない事だからよろしく頼むわ」


「はい」

タカドラはアートの母であるジョマの決定に素直に従う。


「装飾神?タカドラに何を頼むの?」

「ふふ、カナリーとエルムをいつまでもアートの中に住まわせるのもおかしいでしょ?エルフの街でジェイドとの再会の日まで過ごしてもらうのよ」


「そういう事でしたか。かしこまりました」

タカドラもカナリーとエルムの事は気になっていたので嬉しそうに返事をする。


「ねぇ、口をモゴモゴさせて何を食べていたの?」

「あ…いや…」

時空神の質問に顔を赤くして照れるタカドラ。


「サバ?」

「はい。お姉様がご不在なので魚の神様が焼きサバならすぐに作れるから食べてくれと言ってくださいました」

事前にジョマからタカドラが神の世界に来ると聞いていた友情神は朝一番で漁に出た時に鯖を余分に確保していた。


「良かったね」

「はい。ありがたい…」


「あ、違うよ。友情神の話。また友達も自分が捕まえた魚のファンも増えてくれて良かったねと思ってさ。アイツも昔は面倒くさくてやな奴だったのに千歳に出会えて変われたんだよ」

「そうだったのですか…」

タカドラからすれば想像もつかない話だが、ここでも千歳のおかげという言葉は出てくるし、そのおかげで鯖を食べさせてもらえると思うとやはり感謝しかない。



**********


一通り話したところでタカドラがジルツァークを見てため息をつく。


「何タカドラ?」

「私は今土壌を良くしている」


「うん、創造神にも教えてもらったよ」

「亜人界のあった場所で色々と行っていてな」


「うん。ありがとう。今は生き物の生き残りがほとんど居ないから好きに出来るよね?」

「そうではない」


「は?何のこと?」と聞くジルツァークにタカドラが困った顔で「アトミック・ショックウェイブやポイズン・ウォールだ」と言う。

このやり取りでジョマ達は毒性の話だと理解をした。


「ジルツァークよ、魔法を作る際に後の事を考えてくれぬか?」

「えぇ、毒とか周囲を蒸発させる力とか格好良くない?」


ジルツァークの感性では蒸発、溶解、毒性等が格好いいらしい。時空神なんかはこのやり取りを聞いて「子供かよ!」と突っ込んでしまっているとそこに視覚神の処遇の事で訪れたキヨロス2人が通りかかる。


「やあ皆、こんにちは」

「少し聞こえていたけどエクサイトの話?」


「あら王様達、今日は来れたんですね」

「でもまだ丸腰で落ち着かないよ」

「僕はようやく「究極の腕輪」と「意志の針」だけは返されたよ」

完全に丸腰なのがキヨロスで「究極の腕輪」と「意思の針」を返して貰えたのが黒いキヨロスだった。


ジルツァークは目を輝かせて「こんにちは!」と挨拶をするとキヨロス達は「やあ元気そうだね。勉強?うまく行ってそうで良かったよ」「本当、こうして皆と居れば悪い事はないからね」と言って微笑む。

ジルツァークは目をキラキラさせて頬を染める。


ちなみに千歳からは「私の為にも見て見ぬ振りしてね!」と特大の釘を刺されているので時空神たちは何も言わない。


そして話はタカドラがジルツァークに毒性のある攻撃を止めるように言っている続きになった。

「へぇ、あれはなかなかの攻撃だよね」

「あの技、魔法だっけ?…防いでみたいな。全力で放ってよ」


「え?あの…怪我をしてしまいませんか?」

ジルツァークはアセアセとする。


「ふふ、僕達が怪我?ジルツァークは面白い事を言うね」

「怪我は治癒神が治してくれるよだから頼めるよね?」

「…ええぇぇぇ、良いですけど千歳に一言断ってくださいよ?」


「ジョマが良いって言ってくれるさ」

「ねぇジョマ?」

「ふふ、保留にします」


ジョマがまさかの保留と言う返答をしてくると思わなかったキヨロス達は「ええぇぇぇ」と驚いているとトキタマが飛んできて「お父さん、黒さん、地球の神様が待ってますよ?早くきてください」と言う。


「あ、そっか」

「じゃあまたね」

キヨロス達は小走りで去っていく。


「ジルツァークよ。過ぎた力は禍を呼びかねない。考えてくれ」

タカドラがしみじみと言うと「うん。わかった」と言っていた。


「ふふふ。そうね。ジルツァーク、タカドラ。一応だけど千歳様が決めたルールに追加よ」と言ってジョマが説明を始めた。


タカドラは初めから聞いた所でジョマが「今の王様達、黒い王様は昔神化して復讐神になったの。だからエクサイトで話が出たとしたら「復讐神」と呼びなさい」と言う。


「後は皆と仲が良くなった話とかする必要も無いし千歳様の事とかは凶悪とか凶暴とか乱暴って事にしなさい」

「何で?」


「ジェイド達がお礼をしたいからと呼びたがった時に断る理由が必要だからよ」

「そっか…。わかったよ装飾神」


「あの、そう言えばお姉様は?」

「千歳様?調停神チィトのお仕事よ」


彼女が神を務めるサードガーデンはイベントで百鬼夜行が行われていた。

日没から日の出まで人食い鬼などの鬼や悪魔の魔物が世界中を練り歩いて通り道にある村や街を襲う。

プレイヤーと呼ばれる冒険者達やスタッフ達が一丸となって町や村の防衛をしたり、手薄になった魔物の住む霊峰なんかに冒険に行ったりする。


「ジョマは同時進行で来てるの?」

「いえ、家の事もしていますけど百鬼夜行には同時進行していません私の仕事は明け方です。京太郎が深夜。千歳様は今です」


そう言われている今、千歳はサードにある神を祀る神殿で一日中でもないが僧侶たちから百鬼夜行の被害を聞いて、もてなされて、勤務態度の良い者を評価したりしている。


「うぅ…、元々の百鬼夜行にこんなの無かったのに…」

僧侶の目を盗んで呟くと心の声でジョマと東が話しかけてくる。


「ふふ、サードを放ってエクサイトに入れ込んだ罰です」

「嫌なら苦手と言わずに同時進行をしてキチンと会議に出席するんだね」


「お父さんとお母さんは?」

「常継は「たまには給料分働け」って言っていたよ」

「千明様は「頑張りなさい」でした」


「嘘ぉぉぉ」


このやり取りを映像で皆に見せたジョマが楽しそうに笑う。

「とまあこんな感じですね。この後は演出で巨大な鬼の攻撃から街を守って疲弊した女神チィトは撤退するので土日はお休みになるわ。だから、ジェイドを呼ぶのは土日にぶつかるようにするわ」


「わかった」

「はい」


これで解散になってジルツァークとタカドラはカナリーとエルムをエルフの街に連れて行く。

ヘルタヴォーグの館で世話になる事にして、街に出たり人との交流は極力避けられる事になった。


「まだ公に出来ないから外には出せないそうだ。済まないな」

「いえ、お世話になります」

「私達、エクサイトに戻ってきたんですね!」

泣いて喜ぶエルムを見てジルツァークは嬉しい気持ちになった。


「多分、土曜日か日曜日に呼ぶから」

「はい!」

「ありがとうございますジルツァーク様!」


カナリーとエルムは事態を知るワタゲシやワタブシ、ヘルケヴィーオにハルカコーヴェと言う一部の面々に出会って親睦を深めていく。

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