第七話 話し合い②
師匠は黙って手紙に目を通していく。
手紙には少女がドワーフ族のメイと言う名前である事。
ドワーフの集落にある迷宮と対話し契約する巫女という役職を担っていた事。徘徊していた暴れ迷宮の一団に襲われ呪いを掛けられた事。呪いの影響によって巫女の力を失った事。それでも迷宮に関わりたいと思い剪定士を志しており師匠として導いて欲しいといった内容が書かれていた。
読み終わると手紙を丁寧に閉じ少女の方を見る。
「大体分かった。」
「…。」
「でも、大丈夫なのか?」
「剪定士になるという事は、魔力のほぼ全てを失うという事でもあるんだぞ。」
「今後巫女としての力が復活したとしても魔力が無ければ巫女としての役割を全うする事は難しい。それでも本当に剪定士になりたいと思うのか?」
「はい、大丈夫です。」
「迷宮に関わりたいのであれば探索者になると言う方法もある。探索者じゃダメなのか?」
「はい。」
「迷宮を傷つけたい訳じゃないんです。巫女としての立場を離れても迷宮と共に生きていきたい。それが私の思いです。」
「そうか。」
「俺個人としては嬢ちゃんを弟子にしてもかまわないと思う。でも、仲間を傷つけたのは正直どうなんだ?婆さんが言ってた呪いだったか?あいつはそういう物に罹ってなかった。状況から見て多分嬢ちゃん…、いやメイさんと呼んだ方がいいか?」
「メイと呼んでもらえれば構いません。」
「そうか分かった。で、今回の事については何か意見はあるか?」
少女はあの時の起きた事を説明した。
「急に上から迷宮の枝が降ってきて暴れ迷宮が襲ってきたのかと勘違いし、近づく足音に追撃でも来たのかと考え自己防衛の為につい魔法を発動してしまいました。」
「お弟子さんを傷つけてしまい誠に申し訳ありませんでした。」
説明を受けた師匠は渋い顔をした。
「分かった。」
「あいつの責任も結構大きいようだしな。」
師匠は頭を掻きながら椅子から立ち上がり少女に向かって手を伸ばそうとしたが何かに気が付いたのか手を引っ込めた。
「おっと、失礼。」
手を服で拭った後、改めて師匠は少女に向けて手を伸ばす。
「これからよろしくな。」
「はい、よろしくお願いします!!」