第3話 近づいていく距離
お待たせしました。
予定通り、今週中にあげることができました。
第3話です。
今回は、海斗視点でいきます!
二人の休みの日の内容も少し書いて見ました。
どうぞ。
一週間が過ぎ土曜日。今日は学校はお休み。海斗はいつものように目が覚めるとリビングの方に向かった。リビングに向かうとテーブルには一枚のメモ紙とラップで包まれた今日の朝ごはんのおかずがあった。ちなみにメニューは、ウインナーにサラダ、スクランブルエッグだった。
メモ紙には、
「出張です。 月曜日の夕方くらいには帰ります」
と書かれていた。
海斗の両親は、小学校の時に交通事故で亡くなっている。それからは叔母と二人暮らしで叔母さんが出張の時は大体一人だ。
「叔母さん…」
海斗は、おかずを電子レンジで温めリビングのテーブルで一人朝ごはんを食べた。
美雨は、いつものように大広間のテーブルで朝食を食べながら執事の浅倉に今日のスケジュールを確認していました。
「以上が今日のスケジュールとなっております。美雨お嬢様」
「わかりました」
美雨の家、桜葉家は桜葉財閥という大手企業を経営しており色んな企業と関わりを持っている。休日は、関係企業との会議や打ち合わせに参加しなければならない。財閥の社長であるお父様、その後を継がなければならないからだ。
美雨は、朝食を食べ終わると浅倉にリムジンに乗せてもらい企業との会議や打ち合わせに向かった。
朝ごはんを食べ終わった海斗は、バスケットボールクラブに向かった。場所は市内の体育館だ。電車で向かうこと10分、到着し俺は、コーチに挨拶をした。
「おはようございます」
「おはよう! 海斗君。」
海斗は、ある出来事がきっかけで去年の夏にバスケ部を退部した。それからは、市内のクラブでバスケをやっている。
「そうだ。海斗君ってバスケやってたんでしょ。部活は入らないの 」
「部活は…もうやってないです」
海斗は、コーチにそう返事した後、更衣室で着替えてに向かった。海斗のいるバスケットボールクラブは、ほとんどが大人。高校生は海斗一人だけだ。「よろしくお願いします」と挨拶した後、練習が始まった。
次の日の放課後、海斗は委員会の後、桜葉さんと偶然廊下で出会い今日は海斗も桜葉さんも玄関に向かい帰る途中だったので今日は一緒に帰ることにした。
「海斗さんってお休みの日は、何をしてらっしゃるんですか? 」
「俺か? 休みの日は、市のバスケットボールクラブでバスケやってるよ」
「海斗さん…その」
美雨が何か言いたそうにしているように見え海斗は、「どうしたの? 」と聞いた。
だが美雨は、
「うんうん。何でもない」
と答えた。
「そうだ! 海斗さん。今度の土曜日、空いてますか? 」
「空いてるけど…なんで? 」
「実は、ちょっと行きたい美術展があるのですがこの街に慣れてなくてもし海斗さんで良かったら一緒に行きたいと思ったのですが…」
「いいよ。一緒に行こう」
海斗は、今週末の土曜日に美雨と一緒に出かけることになった。
週末の土曜日、海斗と美雨は学校の校門の前で待ち合わせた。
「遅いなぁ…。桜葉さん」
案の定、海斗は少し早く来すぎてしまった。待ち合わせは、8時半。まだ8時だ。俺は、上は、青いデニムのジャケットに中に白いTシャツ、下はジーンズに今時の若者風に黒のショルダーバッグを肩に背負って待っていた。
10分くらい経ってからだった。
「海斗さん。早いですね」
美雨が駆け足でやってきた。美雨は、ピンクの手提げバッグに下はフリフリのついたスカート、上は可愛いおしゃれなブラウスを着て現れた。とても可愛く美雨は目が釘付けになりそうだった。
「桜葉さん。じゃあ、行こうか」
「うん」
二人は、学校から駅前まで歩いた。美雨の行きたい美術展覧会が行われている体育館は、電車に乗って駅から徒歩10分くらいの所にあるらしい。
歩いてようやく二人は、体育館の中に入った。だが入り口に受付の人もいないし受付らしき人影もいない。海斗は、違和感を感じた。
「桜葉さん、本当にここであってるの? 何か隠してるでしょ? 」
「いいえ。とにかくついて来てください」
この時点で美雨が何かを隠していると俺は、確信した。
(ガチャ…)
そして美雨が体育館の扉を開けた。
体育館の中から見覚えのある景色が飛び込んできた。ドリブルをしてバスケットボールが床に叩きつけられる音、掛け声、見覚えのある男子達…。間違いなく桜ヶ丘高校のバスケットボール部の部員達だった。
「あ、来た来た。おーい、桜葉さん、海斗! 」
俺たち二人に気づいた春人が声をかけてき俺たちのもとにやってきた。その他の部員達も練習をやめ俺達のもとにやってきた。
「ごめんなさい、海斗さん。春人さんには黙っていてと言われて…」
ごめん‼︎ と両手を合わせて頭を下げる美雨。
「久しぶりに来たんだしさ、その、ちょっとやってかない? ほら」
春人はそう言いボールを海斗に投げそのボールを海斗はキャッチした。
バスケットコート内に入りゴールから少し離れた場所に立った海斗は、ボールをゴールに向かってシュートした。投げたボールは、ゴールのパネルに当たりネットの中に入った。
「相変わらずやるじゃん。なぁ、これから試合やるんだ。やってかないか? 監督と顧問の山岸先生には話してあるからさ」
「でも、俺、ジャージとか持ってきてないけど…」
それに辞めた奴が部活に混ざるのは…。
「大丈夫、俺の貸すからさ」
「うん。わかった」
せっかくの春人の誘いを断るのは悪いと思った海斗は、春人からジャージを借りて更衣室で着替えた。
それからコートに入り練習試合が始まった。相手のチームと向かい合って挨拶をする。海斗は、今まで市のバスケットボールクラブでの練習試合に混ざったりしていたがその時とは、違った緊張感が走った。 顧問の先生がホイッスルを吹き試合が始まった。
練習試合が終わり結果は、海斗達のチームの勝ちだ。部活が終わって片付けの最中、春人は他の部員にある提案をした。
「なぁ、この後、空いてる人達でメシ行かない? 」
「いいね! じゃああそこ行くか! 」
「桜葉さんもどう? 」
海斗は、もしよかったらと思い桜葉さんも誘った。すると美雨は、皆さんとご飯ですか? と言った。
部活が終わった後、美雨は朝倉に事情を話して海斗達と一緒にご飯を食べに行くことになった。場所は、海斗達がたまに部活の帰りに寄る小洒落た雰囲気の学生食堂だった。全員でカレーを注文して1年生達も数人いて椅子に席に座り料理を待ってる間、海斗は、1年生部員達といろいろおしゃべりしていた。
海斗は、なんとなく久しぶりに春人に誘われて今日は、ご飯を食べに行くことにした。座って待ってる間、1年生部員達といろいろ話した。
「海斗先輩。俺、去年の夏の大会観てました。先輩の3Pシュートすごかったです! 今度教えてください! 」
「えー。俺じゃなくて春人に教えてもらったら? 俺、部員じゃないし」
「春人先輩と海斗先輩って同じ中学でバスケ部だったんですよね? 」
「うん」
「中学の時、海斗すごいバスケ上手くて俺達の代で全国行ったことだってあるんだぜ」
隣から春人が喋り出した。少し経ってから頼んでいたカレーライスが全員来て皆、食べ始めた。
それからは、部員達といろいろおしゃべりしながらカレーを食べながらいろんな話をした。
夜18時頃、海斗は、美雨と一緒に駅までの道をを歩いていた。
「あー。なんか春人達と一緒にメシ食ったの久しぶりだなぁ。ありがとう、桜葉さん」
「はい。実は前にいた姫ヶ丘女子はお嬢様学校で学校帰りに友達と寄り道したりすることがなかったので今日みたく部活の帰りや学校の帰りに友達と寄り道するっていうことに私、少し憧れてました」
「へぇ、そうだったんだ」
確かにお嬢様が寄り道するってイメージあまりないからなぁ…。
「俺さ春人達と久しぶりにバスケやってバスケ初めてやった時の気持ち思い出せたよ」
「海斗さん…」
「俺、部活戻ることにする。今の1年生達見てたら負けられなくなってきちゃったし」
「春人さんが言ってましたよ。『コーチと監督が待ってる』って」
駅に着くと目の前に黒いリムジンが止まっており運転席から年老いた40代くらいのタキシードを着た男性が出てきた。
「お嬢様、お迎えにあがりました」
「朝倉、わざわざ迎えに来なくてもよかったのに…」
「そんな訳にはいきません。お嬢様のGPSがこちらにあり夜遅くお嬢様に何かがあってはいけないので。そちらの方は? 」
「クラスメートの海斗さん」
「こ、こんにちは。桜葉さんのクラスメートで七瀬 海斗といいます」
海斗は、ぺこりと頭を下げて挨拶をする。タキシードを着た人を初めて見た為、俺はびっくりしていた。
「初めまして。わたくし、執事の朝倉と申します。お嬢様がお世話になっております」
「いえ…そんな。俺…帰りますね。じゃあ桜葉さん、おやすみなさい。またね」
「はい、さよなら。海斗さん」
その日の夜、寝る前、海斗は美雨とのことを朝倉に話していました。
「それで今日の試合の終盤に海斗さんがゴールから離れた場所からシュートを決めて、すごいカッコよかったんです! すごい鳥肌たっちゃって」
「よほど楽しかったのですね、お嬢様。さっきから七瀬様のお話ばかり」
「ごめんなさい」
美雨は、海斗とのことがあまりにも楽しく気がつくとその話ばかりしていることに気づいた。
「いえ。お嬢様の楽しそうな顔を久しぶりに見たような気がしたので」
「とても楽しかったので。」
「私、もう寝ますね。おやすみなさい。朝倉」
「はい、お嬢様」
朝倉が部屋を出た後、美雨はベッドの上でごろごろしていました。ふと海斗の顔を思い浮かべていた。
(海斗さん、優しいしかっこよかったなぁ…)
海斗さんのことを考えれば考えるほど美雨は胸がドキドキして頭から海斗のことが離れなかった。美雨の頰は気づけば赤く染まってしまいこの日から美雨は、海斗に恋をしてしまっていた。
今日は、ここまでです。
上手く描けたでしょうか?
描けたなら嬉しいです!
では、また。