僕にとっては究極の質問だったのです
こんな経験、したことありますか?
僕には気になっている女の子がいる。
ある日、僕は休み時間に彼女を屋上に呼び出した。告白をするためである。
「わざわざ呼び出して何の用?」
不機嫌そうな彼女がそう言うのを聞きつつ僕は切り出した。
「僕と付き合ってくれませんか。」
言葉を選ぶ余裕のない今、この言い回ししか僕には思いつかなかった。
すると彼女はしばらく困惑していたが、何か思いついたような顔をして口を開いた。
「じゃあ、一つ質問。もしも、今私たちの前に妖精が舞い降りて、『あなた方どちらかのみ、何でも願いを叶えてあげましょう。』と言われたら、どうする?あなたはその"願いを叶えてもらえる権利”を自分で使う?それとも私に譲る?」
突拍子のない質問だが、すぐにそれは僕を試す究極の質問であると察した。この答え次第で、告白の成功が左右される、と。
優しい性格の僕はこう答えた。
「もちろん、譲るよ。」しかしその直後。
彼女の、僕を哀れむような顔を見た途端、僕は地雷を踏んだ気分がした。
「あなたみたいに自分の幸せを願わないような人は、私は嫌いだわ。さよなら。」
彼女はそう僕に言い放ち、その場を去った。僕は彼女に振られたのである。
それから放課後になるまで、僕は心が沈んだ状態だった。答えを誤ったことによるモヤモヤで頭がいっぱいになり、授業どころではなくなったので、保健室で休むことにした。
そうして帰る時間になったのだが、僕は偶然彼女が友達グループと教室に残り、話をしているのを聞いてしまった。先ほどの僕の告白についてだった。
「それでさー、告白の返事だけど、最初から断る気満々だったんだよね私。でも、そのまま断るんじゃ面白くないから、私彼に質問した訳。まあ、どっちを答えても結果は同じなんだけど。」
「何それ超酷くなーい?」
なんだそれは。究極の質問だったと思っていたのは、僕の思い違いだったのか・・・。
さすがに動揺を隠せない僕が、教室のドアのところでたたずむのを彼女が発見した。
「あ、もしかして聞いてた?やばっ。」
焦る彼女はそう呟いていたが、僕は彼女にこう言った。
「余計な手間を煩わせて、悪かったね。またね。」
そう言い残して走り去って行く僕は、それはもう涙が止まらない様子だったらしい。
少年、強く生きろよ。