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第5話

「先生、的に当たりません」


「だから言っただろ、片手じゃ無理だって。まずは両手でしっかりと当てることを練習しろよ」


「かっこよく片手でバンバン撃ちたかったんです。諦めて言われた通りやります」


「まぁ、気持ちはわかる。が、最初は誰だって下手くそだ。一から教えるからしっかり学べ」


「はい」


銃の訓練場。

カウボーイハットを被ったおっさんに教わっている。

高レベルのNPCらしく、俺の上位職業とのこと。

俺もいつかこのおっさんくらい銃を上手く扱えるようになりたい。


「いいか?まず、利き手でしっかりと握る。そして、逆手で反対側から押さえる」


言われた通りに銃を持つ。

善し悪しがわからず雑に決めたけど、持ちやすさを優先したのは正解だったようだ。


「よしよし、次だ。的に対してまっすぐに構える。あー、真ん中を狙わなくていいぞ。まずは的に当てる練習だ」


「どこら辺を狙えばいいですか?」


「腕力が無い奴は大抵反動に負ける。その結果、狙っていた位置よりも上に当たる。どれくらい上かは反動の大きさと腕力次第だ。だから、狙うのはやや下あたりを狙え」


「なるほど・・・、さっき外したのはそういうことか・・・」


的の真ん中よりもやや下を狙う。

若干だけど手が震える。

緊張・・・とは違うな。

呼吸するたび、手が若干だけど動いてしまう。


「お?気付いたな。そう、呼吸してるとどうしても手がブレる。だから、撃つ直前に息を止めるんだ。戦闘中はもっと動いている中で当てなきゃいけないんだが、今は当てる練習だから気にするな」


まずは、的に当てること。

それだけに集中して、息を止める。

そして、撃つ。

今回は的に当たった・・・が、やや下を狙ったのに真ん中よりも上の位置に命中している。


「おー、当てることはできたけど結構上にずれたな。まぁでも気にする必要はないな。今のでどれくらい反動がきて、どうやって押さえればいいかなんとなく掴めただろ?」


「んー・・・何回か撃てばいけそうかなーくらいには掴めました」


「よしよし、なら問題ない。銃使いが戦う距離はここから的くらいだ。だから、この距離から色々と撃ってみるといい。どういう撃ち方をすればどれくらい反動があるのか。そして、それを押さえてきちんと命中させるにはどうすればいいのか。これをじっくり練習するんだ」


「片手で撃ってもいいですか?」


「別にいいが、まずは両手でしっかりと当てれるようになるのが先だな」


「了解、いろんな体勢で試してみます」


そう言って、銃を構える。

立った状態で、じっくりと構えたまま撃つ。

命中、はずれ、はずれ、命中、命中、命中、命中、命中。

次は的に当てるだけじゃなく、真ん中に当たるように狙う。

はずれ、はずれ、はずれ、命中、はずれ、はずれ、命中、命中。

3/8で真ん中に当たる。

後半4発は5割だからまぁ、上手くなってると言えるだろう。

けど、こんなんじゃまともに戦えない。

動きながら動いている敵に当てる必要がある。

この程度は全弾命中できないとな・・・。


30分くらい撃ち続けただろうか。

ようやく、狙った場所にほぼ外さないで当てれるようになった。

片手撃ちも多分外さないだろうくらいに上達した。


「ふむ・・・、お前さんはあれだな。センスないな」


「・・・・・・言い返せない自分が悔しい」


「はっはっはっはっ、まぁそんなに悔しがるな。さて、銃使いの戦い方を教えるぞ?」


「お願いします」


「まず、銃使いの戦い方は2種類に分かれる。1つは火力メイン、もう1つはサポートメインだ」


「それは戦い方で分かれるんですか?」


「いや、使う弾で分かれる。お前さんは錬金術師を持ってるから作れるが、属性弾っつーものが存在する。まぁ、そのまんまで、弾が爆発したり、高圧力の水が飛び出たりだ。相手の属性に合わせて臨機応変に使う弾を選択する必要がある」


「爆発する弾・・・なかなかに面白そうですね」


「だろ?んで、サポートのほうはあれだ、状態異常になる弾を撃つんだ。毒にしたり麻痺にしたり、眠らしたり、俺は作れないが着弾地点から木が生えてくるのもあるらしいぞ」


「木・・・え?木が生える?ウソでしょ」


「あるんだよ。相手の魔力や生命力を吸って成長する木や草、花なんかを相手に撃ちこむ弾だ」


「はー・・・怖いな」


なんか昔のゲームで頭に花生えてる赤とか青とかのいたな・・・。

あなたに一生付いて行きます?

絶対に嫌だ。


「通常の弾なんぞ大して役にたたん。相手に合わせて属性弾を選択したり、特殊弾を選択するんだ。銃使いに求められるのは、弾の選択力と命中率の2つ」


「銃単体の火力はいらないんですか?」


「いらないとは言わん・・・が、俺は個人的にはいらないと思う。そうだな・・・、銃の攻撃力が200と50のものがあるとするだろ?火が弱点の敵に攻撃する場合、200の方で通常弾撃つよりも50の方で属性弾撃った方がダメージは大きいんだよ」


「・・・えっ?4倍あるのにひっくり返るんですか?」


「ああ、っつっても敵がどれくらい火に弱いかも関係あるけどな。もちろん、200の方で属性弾撃てばもっと強いぞ」


予想以上に弾の選択が重要だった。

しばらくはこの銃を使いつつ、命中率を上げることと弾を作ることに専念するか。


「あれ?通常弾はいらない子になるんですか?」


「いや?弾の温存だったり、牽制目的で撃ったりと、使い道はある。ダメージ目的で撃つ弾じゃないってだけだ」


「牽制及び温存の通常弾、ダメージ目的の属性弾、サポート目的の特殊弾、それをいかに状況に合わせて選択し、当てれるかが銃使いの強さ・・・で、大丈夫ですか?」


「おう、それであってる。詳しい弾の作り方は知ってる奴に聞くか、図書館で調べろ」


「図書館か・・・あ、図書館に全部載ってる本があるんですか?」


「全部・・・じゃないな。基本的なのはあるけど、個人が作り出したオリジナルのはない」


「え?あ、オリジナル弾とか作れるんですか?」


「お前さんみたいに錬金術師を持ってる奴なら誰でもできるぞ。成功するかどうかは別としてな」


自分で自分専用のオリジナル弾を作る。

なかなかに面白いことができそうだ。

センスないから何も面白い弾を思いつかないけどきっと多分何か作れるだろう。


「さて、これで訓練の半分が終了だ。銃の扱い方、銃使いの戦い方を教えたが・・・、ここまででなんか質問があるか?それとももう少し銃の練習するか?」


「んー・・・いえ、特に思いつかないので質問はないです。それに、弾作りが気になって集中力が落ちてると思うので練習は終わりで」


「はっはっはっはっ、こっちから見てもわかるくらいそわそわしてるからなお前さんは。んじゃ、後半部分はスキルについてだ」


「お?待ってました」


「っつっても、まずは共通スキルからだな。基本のステップ、ジャンプ、ブーストの3つを教える。それが出来るようになったら、銃使い専用スキルを3つ教えて今日は終わりだ」


「合計6個か・・・結構多く教えてもらえるんですね」


「全体から見たら物凄く少ないけどな。さて、最初はステップだ。通常のステップとスキルのステップの違いは、魔力の消費があるか、無いかと、移動量だ」


「スキルを使えば消費があるものの、遠くに移動できるのか」


「あとはあれだ、人によっては移動速度も差が出る。瞬発力がない奴だとスキル使った方が早く移動できる」


「・・・それちょっと悲しいですね」


「鍛錬が足りないっつーことだ。ジャンプも同じだな、高さに違いがあるくらいだ」


「なるほど・・・バスケやってる人とかなら必要なさそうですね」


「ない・・・とは言えないけど、そこまで必要って言えるわけでもないな」


通常の動作をスキル補正を掛けることにより、伸ばすってことか。

これは使い分けをきちんと考えないとやばいな。

無駄な消費は避けなきゃいけないし、かと言って使わずに被弾は論外だ。

速度や距離にどれくらい差があるか確認しないとな。


「最後だ。ブーストは自分の能力を高める・・・が、他のスキルや魔法が使えなくなる」


「どれくらい使えなくなるんですか?あと、ブーストの効果時間も」


「ブーストの効果時間は約5分だな。で、使えない時間は約8分。まぁ、効果時間の1.5倍くらいだと思えばいいだろう。あ、この8分はあれだぞ?効果時間の5分と被ってるからな?」


つまり、ブーストの効果が切れてから約3分は使えないってことか。

3分・・・カップラーメンが作れる時間。

ただ待つなら楽だけど戦闘中の3分はやばいな。

多分だけど・・・使いこなせない。


「さて、簡単な説明はこれで終わりだ。今から一通りやって見せるから、見て覚えろ」


「え?そんなので使えるようになるんですか?」


「あん?今俺がスキルについて教えただろ?言葉で教えて、実際にやって見せる。これ以外でスキルを学ぼうとするなら書物買って読むしかないぞ」


「おぉ・・・意外と簡単なんですね」


「使えるようになるのは簡単だな。使いこなせるかどうかは知らん。じゃあ、ステップからだ」


その後、順番にスキルを見せてもらった。

動き自体はスキルを使った時と大して差がなかった。

これならいけるなと、甘い考えを持った。

ステップでこけました。

予想以上に早く、遠くに跳んだため、着地が上手く出来なかったのが原因だ。

痛い、身体以上に心が痛い。

俺ってここまで運動神経なかったっけ・・・?




一部誤字修正


通常の弾なんぞ対して役にたたん。→通常の弾なんぞ大して役にたたん。

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