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70 デュラハンの頭

 「小畑、デュラハンの倒し方わかるか。俺、ちょっとその辺よく知らなくて」

「言っとくけどデュラハンは強い。はっきりした倒し方が分かるわけじゃないけど」

 今度はしっかりと、自分の足で立ち上がった小畑はまっすぐデュラハンを見つめて騎士の姿になった。

「おい、大丈夫か。さっきまでフラフラしてたのに」

「大丈夫だよ、このぐらい。でも、悟もちょっと加勢してくれ」

「わかった。どうしたらいい?」

 騎士姿の小畑はまっすぐデュラハンめがけて槍を構えた。

「俺が正面突破する。おまえ、あの頭を狙うことできるか」

「オッケー。頭を落とせばいいんだな」

「うん、頼む」

 小畑はそれだけ口にすると自分より大きい真っ黒な騎士に向かって突進していった。

 ええと、首を落とす。どうやってやるんだ。

 さっきから大きくなったり小さくなったり空を飛べたりしている。デュラハンをよく見ると右手で槍を持ち左手に自分の首をボールのように抱えている。あれを何とかしてたたき落とすことができれば。

「絨毯!」

 俺が呼ぶと絨毯はちゃんと現れてくれた。どのぐらいの大きさになって攻撃するのがいいだろう。まずは小畑と並んで飛んで頭のある左側を狙ってみた。

 ガキン! 

 小畑とデュラハンの槍が激突して火花が飛ぶ。今だ、頭を。

 デュラハンが小畑に気を取られているうちに頭をたたき落とす作戦だったのだが、さすが小畑が強いというだけのことはある。がしっと小畑の槍を振り払ったデュラハンは返す勢いで俺の方に槍を突き出してきた。とっさに絨毯のスピードを上げてかわしたが、武器がないのはまずい。

 何を使おう。頭をたたき落とすのに半月刀は使いにくそうだ。ええと、何か棒状のものがいいような気がする。

 俺はあんまり戦闘ものに詳しくないので、棒状、というと孫悟空の如意棒ぐらいしか思いつかなかった。でも、この如意棒で孫悟空は結構強かったんだから意外といけるかも。 

 ぱっと右手に真っ赤な棒が現れた。両端には金の飾りがある。中国っぽいなあ。

 小畑はまだデュラハンと槍を戦わせて頑張っているが、残念ながらデュラハンの方が圧倒的に強そうだ。無理もない。小畑はまだ騎士になって数ヶ月、デュラハンは中世の頃からモンスターなんだから。キャリアの差なのかどうかわからないけど。

 小畑はじりじりと壁際に追いつめられてきている。

「小畑、負けると思うな! 魔法には限界がないんだ。もうだめだって思ったら負けだ!」

 おっさんじゃないけど、スポーツトレーナーのようなことを言ってるな。

「おう!」

 結構勇ましい声が帰ってきた。なんだか、小畑も以前とは変わった。簡単に諦めたり自分では何にも考えない奴じゃなくなった。それが俺をまた奮い立たせた。

 絨毯を飛ばしてデュラハンの左側をしつこく狙う。今度は伸び縮み自在の如意棒で少し離れたところから首を狙ってみた。しかし、デュラハンは恐るべき反射神経で、小畑と戦っていた槍をすぐ俺の方に突き出してくる。赤い如意棒はすぐにガキン、とはじかれた。

 どうしたらいいんだろう。

 小畑も頑張っていた。壁際に追いつめられそうになったが、うまくかわして戦うスペースを取り戻し、上手に馬を駆ってまた槍で攻撃している。

 大きさを変えてみたらどうだろう。頭を落とすんだから大きくなったら不利な気がする。小さくなって抱えている腕の真上から狙ってみたら。

 すっと、ついでに透明になってみた。小畑、俺が逃げたとは思わないでくれ、ここにいるから。

「ふはははは」

 地の底から地響きが鳴るようにデュラハンが笑った。

「逃げたな、おまえの仲間は。おまえも逃げてはどうだ。それとも頭からおまえ自身の生き血をたっぷりと浴びたいか」

「黙って戦え!」

 きっぱりと小畑が怒鳴りつけた。がんばってくれ、小畑。消えた、と見えてることはデュラハンからは俺が見えないということだ。

 小さくなった俺は、自分から見て車ほど巨大になったデュラハンの頭の真上に飛んできた。ここを攻撃する。


――――――――――――――――――


読んでくださってありがとうございます。

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