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名もない脇役

作者: 君影

瀕死の重傷を負って駆け巡ったのは、走馬灯じゃなくて前世の記憶。

そして、私はこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だったことを知る。

けど、あの乙女ゲームの世界に私のようなキャラはいなかった。

私は名もない脇役…

そもそも、私の知るその世界には存在すらしなかった


それが、私、森の魔女である


それは遠い昔、私は地球という星の日本という国で、女子高生をしていた。

十人並みの容姿、運動は人並み、勉強は少し人よりできるぐらい。

友人は多くもなく少なくもない、世の中に掃いて捨てる程いるだろう普通の高校生だった。


そんな私の隠れた趣味は、乙女向けのゲームで好きなカップリングを楽しむこと。

まぁ、学校では言わなかったけど・・・

何故かって?

趣味が共通の友人がいればいいけど、私の周りにはいなかったし、

ドン引きされて、いじめの対象とかになったら困るでしょう?

こっちの世界に人を引きこんで仲間を増やす趣味もないし、

私が楽しければ、それで良かったのよ。


まぁ、そんな感じで無難に生きていた私の人生は唐突に終わりを告げた。

階段から落ちて頭を打って死ぬとかいう、普通じゃない間抜けな終幕。


そして、気がついたとき、私は次代の森の魔女として、地獄のような修行の日々を送っていた。

前世を思い出したのは、修行中に瀕死の重傷を負った時だった。


あぁ、今度こそ駄目だと思った瞬間、走馬灯のように駆け巡ったのは、

今世の人生じゃなく、前世の記憶だったのである。


まぁ、前世が直近なのか、実はもっと前なのかは知るすべはないが…


だが、前世の記憶を取り戻して、私は驚愕した。


私が今生きているのは、前世でプレイしたことのある乙女向けゲームの世界だったのである。


しかし、私が知る世界に、私のような名前のキャラクターは存在しなかったし、

森の魔女とかいうキャラは存在しなかった。


これは一体どういうことなのだろうか…


乙女向けゲームのおおよそのストーリーは、次の通りだったはず…


世界に穢れが広がり、魔獣たちが力を増して、世界が混沌としたとき、

異世界から召喚された聖女が、穢れを祓い世界を救う。


異世界から召喚される聖女が主人公で、

その過程で、召喚された国の王子、騎士、魔術師等々と恋に落ちるという、

乙女向けゲームとしては、お約束の展開が売りのゲームだった。


ちなみに、ノーマルエンドでは、真面目に穢れを祓って、元の世界に返り、

バッドエンドでは、穢れを祓えずに、お払い箱にされた上、

元の世界に返れず、別世界に飛ばされるという悲惨な目に合う。

勝手に召喚しといてそれはないと思うが、ゲームの世界だしまぁいいか。


ゲームの人気は、確か、微妙でファンディスクもでなければ、続編もでなかった。

私も目当てのキャラだけ攻略したら、後は棚に飾ったままにしてたっけな。


ん、まてよ、あのゲーム達って、私が死んだ後…

い、いや考えまい…前世の話だし、うぅ…恥ずかしいかも…


こっほん、話を戻すが、私がこの世界がゲームの世界だと気付いたのは、

ゲーム内で語られた世界観、地理、国名等々が一致していたからだ。

だが、ゲームの舞台の国は隣国だし、そもそも、ゲーム内で聖女が召喚されたのは、今から100年後のはずである。


現時点で、穢れは確かに広がってきてはいるが、まだ、そこまで深刻ではない。

確か、ゲーム内の歴史では、聖女召喚の10年前から急激に穢れが広まったとかだったような…


ということは、穢れが広まるのは、今から90年後ということになる。


うーん、まぁ、ゲームの舞台が100年後なら、ゲーム内に私が存在しないのも納得な気がする。

前世を思い出した時点で、瀕死の状態だったしね。


え、生きてるじゃないかって?

そこは、ほら、死にかけといえども今世では、天才的頭脳と超人的な魔力を持って生まれた宿命か、

ギリギリ生き延びました。えぇ、ぎりぎり・・・


「本当に、あのときは危なかったな。もう少しで魔獣の餌になるとこだったし…」


前世を思い出したその時、私は修行の一環で魔獣と戦い、

なんとか目的の魔獣は倒したものの、深手を負った。


そして、血の匂いに釣られてきた魔獣に喰われそうになっていたのである。

しみじみと当時のことを思い出していると、唐突に背後から声がした。


「…俺が手出ししてなければ、お前、魔獣の血肉になってただろう?」


振り返ると、そこには高そうな魔宝石の付いた杖にローブをまとった魔術師が立っていた。

何だろう、イケメンなんだけど、この人の顔見ると何となくイラッとする。


「けど、貴方を召喚したのは私でしょう?」


「召喚に応じて、助けたのは俺だ。」


そう、魔獣に喰われそうになった私は、最後の魔力を振り絞って、魔獣に勝てそうな者を召喚した。

それが、ムカつくことにこの人なのである。


そして、この人こそが、私にこの世界がゲームの世界であることを確信させた。


でてくるのだ、このイケメン魔術師は、100年後を舞台にした乙女ゲームの世界にサブキャラとして…


クールで俺様なイケメン魔術師のくせに、攻略対象じゃないサブキャラとして出てくる、乙女の敵なのである。


ゲームをプレイしたユーザから、攻略対象にして!!という熱烈な嘆願があったほどの人気キャラである。


逆にいうと、こいつが攻略対象じゃないから、ゲームがあまり売れなかったという説もある。

実は隠しキャラじゃないかと、淡い期待を抱いて突入した乙女達が玉砕し、

ブログや掲示板でそれを知った様子見の乙女達が買い控えたからというのが定説だ。(本当かどうかは知らないけど…)


まぁ、私はこの人にはそんなに興味なかったし、タイプでもないし、そこそこ値下がっていたところを買って、とりあえず2周して、後はネタバレ読んで放置したのだけど…


まさか、ピンチに召喚したらそんな奴が出てくるなんて思わないじゃない?


もちろん、助けて貰った後は、お礼も言ったし、その他にお礼もしたのに、

未だにこうして訪ねてきては絡んでくる。


あぁ、時系列でいうと、


ゲームの舞台110年前:修行中に瀕死で、イケメン俺様魔術師召喚

105年前 :森の魔女 襲名

100年前 :今現在


という感じなので、よろしく。


自分で召喚しておいて何だけど、そんな奴に助けられるなんて、なんとなくムカつく。

今も昔も、俺様はタイプじゃないし。


「あぁ、はいはい、その節はありがとうございました。」


「心が籠ってない」


いや、私にどうしろと?

あぁ、いや前に、どうして欲しいか聞いた気がするから止めとこう…

無理難題ふっかけられるし…


「あぁ、はいはい、森の魔女特性傷薬あげるから、お引き取り下さい。」


「命の恩人に対する態度じゃない。傷薬は貰っておくが…」


って、貰うんかい!


「とりあえず、帰ってくれない? 貴方が頻繁に家に出入りすると変な噂が広まって困るのよね」


「変な噂?」


「新しい森の魔女が若い燕を囲ってるとか、愛人と密会してるとか」


この人、性格は兎も角、顔がいいから、家に出入りしているのを見た近所の村の住人とか、

薬を買いにくるお客に私の恋人か何かだと思われているらしい。


「何か問題でも?」


「外聞が悪いわ!!森の魔女は、薬を売って生計を立てているのよ。お客が来なくなったらどうしてくれるのよ」


「なんだ、そんなことか。そうなったら、俺が養ってやると言っているだろう?俺の家で暮らせばいい。」


「結構よ。第一、森の魔女は森を離れてはいけないのよ。」


森の魔女は、森の守護者として、森から長く離れてはいけない。

森を離れる為には、森の魔女の役目を誰かに継がせるしかない。


「そんなもの、早く誰かに後を継がせればいいだろう?」


「って、こないだ継いだばっかりだから!!」


「先代の森の魔女はまだ生きているだろう?もう一回押しつけたらいいじゃないか。」


「ははは、師匠が何のために私を鍛え上げて、森の魔女を継がせたとおもっているのかしら?」


師匠は、自分が森の魔女の役目から逃れるために、私に地獄のような修行をさせて、5年前、見事に私を森の魔女に仕立て上げた。

今は、念願かなって世界中を飛び回っている。まぁ、時々、謎の土産と共に帰ってくるんだけどね。


「…っち、それもそうか。」


「分かったら、お引き取りを。そして、森の魔女の薬に要がないなら来ないでいただける?」


「相変わらずだな、お前は。まぁ、今日のところは帰るが、また来る」


そう言って、俺様イケメン魔術師は去って行った。


「って、このやり取り、1か月前にもしたじゃないの! いい加減、諦めてってばーーーーーーーー!!!」


ちなみに、何を諦めるかというと、

何をトチ狂ったのか、俺様イケメン魔術師は、私に惚れたから嫁に来いと、来るまで諦めないそうだ。


…まさか、俺様イケメン魔術師が攻略できないのって、100年後もこのやり取りを続けているからとか!?

はっ、まさか、100年の間に無理やり嫁にされてるとか!?


「まさか、だよね…ははは、100年も経てば人の気も変わるだろうし」


そして、私は100年の間に思い知ることになる。

俺様は人の話を聞かないということを…



転生したらゲームの世界だったけど、ゲームには出て来ない人物だったという謎の設定が書きたくなったので、書いてみました。

そして、ゲームでは人気はあったけど興味ない上に、タイプじゃないサブキャラ(非攻略対象)に惚れられる。


俺様イケメン魔術師は、ゲームの主人公以外の人に一途にべた惚れなため、絶対に落ちない。

が、相手に、中々想いは通じない。永遠の片思い。


なんで、乙女向けゲームにこんなサブキャラがいるのかは不明。。。

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