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ぼくの詩集

円環

作者: 桜井あんじ

やっぱりね

前から怪しいと思ってたんだよ


やっぱりね

何かいかにも秘密がありそうだもん


ぐるぐるするものって


存在を肯定するのは存在そのもの

その存在を肯定するのも やはりその存在そのもの

その存在を……

ほらね ぐるぐるだ


矛盾などしていない なぜなら 

人は本来 矛盾した存在だから

だから矛盾することは 何ら矛盾していない

なぜなら……

ほら やっぱり ぐるぐるだ


ぐるぐるする その論理は ぐるぐる

始まりも終わりもなく ぐるぐるなのだ

円環なのだ

つまり

善も悪も 美も醜も 生も死も 愛も憎しみも

全ては円環だったのだ

全ては ぐるぐると ひとつなのだ

ああぼくは ぼくは!


はじめは おわりで

おわりは はじめ

きのうは今日で 今日は明日 とおい明日は遠いきのう

過去すら未来で 未来は過去へ

古きものは 新しく

新しきは 古くなる

嘘は真実に 真実は嘘に

最も眩い光は真の闇


だから 良いのだ

これで 良いのだ

計算が 合っているのだ

すべて 欠けているものなど ないのだ

すべては完璧で あの白銀に輝く満月のように 完全なのです

あなたも ぼくも もはや 円環の上に 完璧なのです


ああ ぼくらは皆 円環の上に つながっていた

だからちゃんと届くのです ぼくの想いも

円環の上をめぐり めぐるのです

きっと いつかは 届くのです


だからあなたの あれもこれも 大丈夫

すべてはまあるく 輪になっていて 

ぐるぐるで

つながっているのです

あるべきところへ 流れてゆくのです

だから 大丈夫だからね


ああ よかった よかった

良かったね

世界は そうだったんだね そういうことだったんだね

無駄に思えた あれもこれも 

そういうわけだったんだね

理不尽におもえた あれやこれやも

ちゃんと そうなっていたんだね


ああ あなたは

まるでわけわかんない という顔をして

かわいそうなひとを見るように ぼくをながめていますが

むりも ありません

ぼくはあなたに じょうずに説明できないのが

とても くやしい

ぼくがもっと 語れたら

あなたに わかってもらえるように 語れたら

きっとあなたも

ああ そうだったのねと

にこにこと 笑ってくれるのでしょうに


だけど とりあえず 


今夜は きみとぼくとで ささやかな お祝いをしましょう

シャンパンあけて 踊りましょう

月明かりの下

どうぞぼくといっしょになって 輪になって ぐるぐる 踊ってください

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