幼なじみ
守と陵は廊下を歩いていた。
「……何でお前は今日に限って遅刻してないんだよ。」
「あっはっはっ！珍しいこともあるもんだな～。俺が早く来て お前が遅刻とは。」
「竜巻でもくるんじゃないのか、まったく……。」
そんな憎まれ口を叩きながら守と陵は次の授業が行われる理科室へとたどり着いた。しかし、ドアを開けようとして中から聞こえる異様な音に気づいた。
「……おい、今日あいつも来てるのか。」
「あぁ、そういえば出席取った時にざわついてたなぁ。その事かもな。」
「聞いてなかったのかよ！」
「だって、眠かったんだもん！」
「ほんとに今日は何が降ってくるのやら……。先が思いやられるぞ。」
先に紹介するとこの先にいるのは斎藤華乃。守と陵の幼なじみで成績優秀、スポーツ万能。さらに、容姿端麗という完璧な少女である。その性格を除けば……。彼女は大の実験好きで、気になったことは確かめないと気が済まない。よっていつもは学校に来ず、家で研究していることが多いのだが……。
「入るぞ華乃。」
守と陵が理科室に入ると他の生徒が怯えている中、美少女がはんだごてを使って回路を組んでいるという謎の状況が出来上がっていた。
守は華乃の前まで行き、作っている回路を容赦なく投げ捨てた。
「あぁ！私のサンディーが！」
「回路に名前をつけるな！」
「あっ！ひさびさ～、守～、陵～」
「よぉ！華乃久しぶりだな！」
「何で馴染んでるんだ。それより他のやつらに何したんだ。」
「あぁ、それならこの新作の『ジョセフ』の機能を……。」
と出してきたのは両手が両足に、両足が両手についた見るからに不気味なロボット。それを見た瞬間守は華乃の頭にチョップした。
「いった～。何すんのよ～！」
「早くそれをしまえ。それは怖がられるに決まってるだろ。」
華乃はぶつぶつ言いながらもそれもしまった。
ようやく授業が開始されると、さっきまでの奇行が嘘のように華乃は授業に集中している。
(こうやってると、可愛いんだけどな……。)
そんなことを思っていると、突然放送が入った！
