しがない期間工②
10月1日(火)
疲れた。
休み明けは特に身体が動かない。競走馬だって休養明け初戦は走らない。それと一緒だ。
恐ろしいほど長く感じる仕事を終えて寮に帰って来たが、これまた恐ろしいほど早く工場に戻ることになる。そして、これまで約半年間やってきた事と同じ作業を明日から…というか今夜からも繰り返すのだ。
あぁ…本当に嫌だ…。
金を稼ぐ為、仕方ない事だが金があったところで幸せにはなれないことはもうわかっている。
数年前、世の中金だ金だとギャンブルに狂った。
人生終了のお知らせと思いきや、
パチンコ→競馬→FXのサクセスストーリーを思い描きそれに勝利した。
三千万円という金。…見る人が見ればそれほどでもないかもしれないが、当時の(今でもであるが)俺にとっては紛れもなく大金だった。
人生ボロいねもう金は無くならない。
仕事を辞めて遊びまくった。酒、女、ギャンブル。
で、金が無くなりここにいるのだ。人生ほぼ終了である。借金がないので。
…と言っても遊んでた時もそんなに楽しくなかったような気がする。
当時を忘れているだけか?
金が無くなった事もそれほどショックではなかった。
俺はおかしいのか?
…とまぁそういうことで、そりゃ欲しいのは欲しいが、金だけあってもダメなんだと思うようになった。
やっぱ生き甲斐だよ生き甲斐。俺は一体何の為に生きているのか…。
これじゃ御飯食べる為に生きてる様なもんじゃないか?何それ?
こんな事を考えながら寮の薄い布団に入り今日の夜勤に備える。