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彼らの転生先は被験者だった  作者: 轟号剛


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救出

[この男を助けるなら早い方がいい。

 先ほどの奴らの話を聞く限り、一時間後に戻ってくる。

 どうせそこでバレるんだ、今助けるぞ]


【アインよ、点検口の四隅に付けられているネジを回すためのドライバーは作れるかの?】


パスとライが同時にアインに指示を出すと、アインはネジの穴に触れて形を確かめながら掌から鉄を生み出していく。


鉄は液体のようにグニャグニャと動きながら形を整えていきドライバーの形を作る事に成功したようだ。


{はぁはぁはぁ、、

 できたわ、、}


アインはドライバーを作るとすぐに点検口の四隅にあるネジを外していく。


やはり、鉄を生み出すと体力を使うようで疲労が溜まってきており、息が荒くなってきている。


ネジを全て取り終わると点検口を外しそのまま男のいるベッドの横へと降り立つ。


「あっ、あなたは、、?」


男は突然上から現れたアインの姿を見て驚いている様子だった。


{アタシはこの施設から抜け出そうとしているの。

 そこであなたを見かけたから助けてあげるってわけ」


アインは男に話しながら男を拘束している拘束具を外していく。


「脱走者か?

だが、そんな奴がいればあのアスナが俺に構う訳はない。

 ということはまだバレていないのか?」


アインが拘束具を外し終えると男はベッドから起き上がる。


{アスナが誰かは分からないけど、まぁ私のことはバレていないでしょうね。

 だから、時間が無いの。

 話は移動しながら聞くわ、とりあえずあそこの点検口に入るわよ}


アインは自分が出てきた点検口を指さすとそばにある椅子を引き寄せてもう一度中へ戻ろうとする。


「待ってくれ!

 あなたが脱走している事にバレていないなら、ここで僕がいなくなるのはまずい」


男はもう一度ベッドに横たわると拘束具を付け直し始める。


{何をしているの!?

 アタシはあなたを助けると決めたのよ!}


「違うんだ、、

 俺は人とは違う力を持っている。

 そこに横たわってある、僕と同じ姿の人間がいるだろう。

 あれは既に死んでいるが、僕の代わりにはなるだろう」


アインは男の言いたい事にすぐに気づいたようで悲しげな表情を浮かべる。


{そこのギロチンをもう一度使うということね、、}


「そうか、、さっきのを見ていたんだね。

 なら、話は早い。

 やってくれ!!}


アインが男に確かめると、男はもう覚悟を決めた目つきになっていた。


{く、、

 分かっているとは思うけど、声を出したらバレるわよ、、?}


ギロチンは既に天井まで持ち上げられており、紐を解くことでいつでも使えるようになっているようだ。


アインの問いかけに男は黙って頷く。


{いくわよ}


アインが紐を解くとギロチンは勢いよく落下し男の胴体を真っ二つにする。


「ん、、んんん!!」


男は悲鳴を上げないように口を固く閉ざしているが、声にならない声を口の中で発しており、その声はキチンとアインの耳まで届いていた。


{ごめんなさい、、}


アインは小さく謝りながらもギロチンを再び天井まで引っ張り紐を固定して痕跡を消していた。


そうこうしているうちに男の上半身と下半身はボコボコと音を立てながら元の男の姿を形成していき、新たに二人の男の体ご構築される。


「ゴホゴホ、、

 これで時間稼ぎくらいはできるだろう。

 上手くいけば俺は死んだ事にされるかもしれないしな」


上半身だった部分の男が声を出すとアインは両手に付いている拘束具を外し、下半身だった男の両腕に付け直す。


{大丈夫なの?}


アインは心配の声を男にかけると、男は片手を広げて平気だと答える。


「とりあえず、お互いの事はここから一旦離れてから話す事にしよう。

 いつ、あいつらが戻ってくるか分からないからな」


そして二人は天井にある点検口の中へと入っていくと、アインは先ほど作ったドライバーで点検口のネジを付け直す。


{一旦これで、私達が来た痕跡は消せたかしら}


[さっき僕らがいた休憩所まで行って、こいつにこの施設のことについて聞くことにしよう}


意識世界からのパスの声がアインの頭の中で響いてきた。


{分かったわ。

 でも、、アタシはどうやってここまで来たんだっけ、、?}


アインは額に汗を垂らしながら、申し訳無さそうな顔を浮かべる。


〈何だって!?

 来た道を覚えて無いのかい、、?〉


意識世界でレオンが絶望した表情で話しかける。


{しょっ、しょうがないでしょ!

 あそこに戻るなんて誰も言って無かったじゃ無い!

 それにあんたらも視界を共有してるんだから覚えてなさいよ!}


アインが一人でぶつぶつと話している様子を見て男は少し引いているようだ。


「おい、さっきから一人で何を言っているんだ?」


{アンタはちょっと黙っといて!}


アインは八つ当たりをするように男にキツめの言葉をかける。


《視界がわかるって言っても、映像でしか無いからね、、

 俺らにも分からないよ》


ジャックは半笑いを浮かべながら頭を掻いている。


『ノース分かるよ!

 アインさんがシャワー浴びてたところまで戻れば良いんでしょ?』


{えっ、本当!?}


ノースの言葉を聞きアインの表情は明るくなる。


『うん!

 ノース道を覚えるの得意だもん!』


ノースは銀色に光り輝く水晶の元まで歩いていく。


『これに触れば良いんだよね!』


ノースが水晶に触れると、ノースの体は水晶に吸い込まれ代わりにアインが水晶から吐き出された。


『お兄さん、こっちだよ!』


ノースは体の主導権を手に入れると点検口の中を迷いなく進み始める。


男は急に言葉遣いが変わった様子に驚きながらも黙ってノースの後ろを着いていく。


'やいやい、さっきはよくもやってくれたな!'


点検口を進んでいくと聞き覚えのない声に話しかけられる。


『えっ?』


ノースが周囲を見渡すと、後ろにいる男の他に人影は居なかった。


そして再度前方を確認すると先ほどアインにナイフで斬られそうになったネズミの姿があった。


{きゃぁ! ネズミ!!}


『あっ、ネズミさん!!』


意識世界ではアインが悲鳴を上げて目を隠したが、反対にノースはネズミと再開できて嬉しそうな顔をしている。


'ここはオイラの縄張りなんだぞ!

さっきは見逃してやったが二回目はないぞ!'


ネズミは高圧的な態度を取り、両手の爪をノースに見せつけて威嚇している。


『ごめんね、ネズミさん、、

 でもノースはここを通りたいの!』


'あ? 何かこの人間の話している言葉が分かるぞ、何でだ?'


先程からノース達には何故かネズミの話している言葉が理解できているのだが、ネズミにもノースの話している言葉が理解できているようだ。


〈な、何でネズミの話がわかるんだ!?〉


《信じられないけど、どうやら本当に僕たち一人一人に何か能力のような物があるんだと思う〉


[ノースの場合それが別の生き物と会話できるという物か?]


【まだ、確信は持てないがおそらくはそうなんじゃろうな】


意識世界ではレオンの問いかけに対して、ジャック、パス、ライの三人が発言をする。


'ここを通りたいかのか?

だったら他のネズミ達同様に対価を払ってもらわねぇとな'


〈対価?〉


ノースはネズミの言っている事に対して首を傾げる。


'そうだ!

俺たちネズミは常に腹ペコだ!

何か食料を渡せ!'


『食べ物?

 でもノース今食べれる物持ってないよ?』


'じゃぁここを通すわけにはいかねぇぞ!'


ノースが何も持っていないことを伝えるとネズミはまた両手の爪を立てて威嚇する。


"めんどくせぇネズミだな、ノース変われ。

俺がどかしてやる"


『ネズミさんをイジメたらダメだよ!

 そういえば、さっきいた休憩所にお菓子みたいなのがあった気がする!

 ネズミさん、それを取りに行ったら渡しに来るから通して!』


ノースは意識世界のドープの言葉を一蹴してネズミと話し続ける。


'あ? 今払えねぇなら遠さねぇよ!

お前が戻って来る保証はねぇからな'


しかし、ノースの頼みをネズミは聞き入れるつもりは無いようだ。


『お願いネズミさん!』


しかし、ノースは真っ直ぐな瞳でネズミを見つめながら頼み続ける。


'チッ、しょうがねぇから通してやるよ。

ちゃんと食料持ってこいよ!


『ありがとう!!』


ネズミは真っ直ぐな瞳をしたノースに気圧され、通路を譲る事にしたようだ。


『お兄さん、通してくれるみたいだからいこ!』


男は先ほどアインに黙れと言われた事を気にして、今の一部始終を無言で見ていた。


ちなみに、男にはネズミの言葉は分かっておらず意識世界の言葉も聞こえていないため、また一人でノースが喋っているように思えていただろう。


それからしばらく点検口の中を進んでいくと先ほどアインが入ったシャワー室に辿り着く事ができた。

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