第51話 告白3。【未来14歳/沙織26歳】
夜風が遠雷の残滓を運んでくる。
マンションから開け放たれた窓の外を見下ろすと、浴衣姿の人々が楽しそうに歩いているのが見えた。
色とりどりの浴衣の色が、まるで万華鏡のようにゆらゆらと形を変えながら街に広がっている。
(私もいまから、あの光の中に)
行くんだ、と想い、そっとため息をつく。
楽しさと、不安と、優しさと、寂しさが、いろいろな感情が混ざり合って、私の心臓をきゅっと抱きしめていた。
(未来ちゃん)
姪っ子のことを、思う。
好きな人のことを、想う。
私は全身がうつる鏡の前にたった。
そこに立っているのは、黒髪をまとめて結い上げて、白地に藍色の紫陽花が映える浴衣をまとった自分の姿だった。紫一色の帯が全体をすっとまとめあげていて、見た目だけは落ち着いた大人のイメージを伝えてくる。
(見た目だけは、ね)
そう思う。
心の中は、いまだ葛藤と情欲が渦巻いていて、内側から私を侵食しようとしていた。
(会わないほうがいい)
(会ってしまったら、もう引き返せない)
頭では分かっている。心でも理解している。
私は、未来ちゃんが好き。姪っ子なのに、12歳も離れているのに、そんなこと関係ないくらい、私の心は揺れている。
…本当に彼女のことを想うなら、こんな叔母さんなんかより、もっと別の人を選んでもらった方が、彼女の未来の為になるはずだった。
彼女のことを想うなら、このまま出かけるのではなく、スマホを手に取って、ひとこと、「ごめんなさい、今日は用事が入っちゃったから、花火大会いけなくなったの」とでもメッセージを送って、全てを終わらせればいいだけだった。
別に、誰かに強制されているわけではない。
別に、誰かに止められているわけでもない。
さぁ、あの子のことを想って、あの子の未来のことを想って。
スマホに手を伸ばしなさい。
(…)
私はゆっくりと歩くと、机の前に立った。
そこに飾られているのは、私と姉さんとが一緒に映った写真立て。
幸せそうに笑っている姉さんと、少し緊張気味の私の写真。
(…姉さん)
私が、愛した人。
いまでも、愛している人。
未来ちゃんのお母さん。
(未来のこと、お願いね)
最後に娘のことを大事に想っていた、託された、愛しい人。
「姉さん」
今度は、声に出す。
写真に向かって語り掛ける。
「私…」
さぁ、託されたあの子のことを考えて、あの子の未来を考えて、スマホを手に取って、断りのメッセージをいれないと。
花火大会を諦めて、あの子のことを諦めて、これから、永遠に、未来に。
「行って、きます」
私はそう言うと、ぱたりと写真立てを伏せた。
こんな私を…見ないで欲しい。
あの子のため…あの子…未来ちゃん…
未来ちゃんが…別の人との未来を…
いや。
あの子が、私以外の人を見る未来なんて、いや。
わがままだって分かってる。
いけないことだとも分かっている。
分かっているけど、もう、湧き上がって自覚してしまった、この自分の恋心から目を離すことなんてできない。
「…もう、止められないの」
そうつぶやいた声は風にさらわれて、闇夜に消えていった。
祭りの音が、遠くから聞こえてくる。
■■■■■
「ねーちゃー!つむぎもー!つむぎもー!」
泣きながら追ってくる可愛い妹のつむぎをお父さんに預けて、私は家を出た。
後ろから私を呼び止める声が聞こえてくる。
一緒に遊びたい、大好きなお姉ちゃんと一緒に花火見に行きたい。
すごく伝わってくるから、すごく胸が痛い。
いたい、けど。
(ごめんね、つむぎ)
今日だけは、今日だけはだめなの。
お父さんはにこやかに笑って、「楽しんできなさいね」とだけ言って私を送ってくれた。
ごめんなさい、お父さん。
あなたの娘は…今から、大好きな人に会いに行こうとしているんです。友達と一緒に花火大会に行くなんて嘘ついちゃって、ごめんなさい。
私は、少し駆け足ではしった。
少しでも、残した家に後ろ髪をひかれないように。
私の着ている浴衣は赤茶系のベースカラーに、ストライプのように規則的に並んだ白の藤柄が映えている一品だった。無地の黄色い帯をしめて、そのコントラストがあでやかだった。
(少しは…大人っぽく見えるかな…)
走りながら、沙織さんのことを考える。
沙織さんの隣を歩いて恥ずかしくない格好でいたかった。
今日は朝からずっと、夜の花火デートのことを考えてそわそわしていて、この浴衣を選ぶまでに何時間もかかっていた。
その間ずっとつむぎちゃんは嬉しそうに私の周りをまわって遊んでいて…
(ごめんね、楽しみにしていただろうに)
そんな愛する妹を置いてまで、自分の好きな人に会いに行こうとしている私は、たぶん駄目なお姉ちゃんなんだと思う。
けど。
30分ほど電車に揺られて、それから街にでて、大通りにでると、波のように人が押し寄せてきた。
祭りの空気感に一気に包まれてしまう。
浴衣の裾を踏まれそうになりながら、私は屋台の明かりをすり抜けて進む。
(会いたいんだもん。二人きりで、会いたいんだもん)
提灯の列がゆらゆらと揺れて、遠くから子供たちの笑い声が弾けているのが分かった。
祭りの夜。
一種独特な、別世界に迷い込んでしまったかのような高揚感に包まれる。
(沙織さん…沙織さん…)
大好きな人を探す。
今までみたこともないくらいの人ごみ。
こんな中で、人ひとりを見つけるなんて、できるのだろうか。
そう思った瞬間、視界の向こうに。
灯篭の淡い光の中で、ひとり立ち尽くす浴衣姿が見えた。
白地に藍色の紫陽花の模様。
こんなにたくさんの人に囲まれているのに、私の目にはその人しか入らない。
「沙織さんっ!」
呼吸が止まった。
世界が止まった。
光の中、私は大好きな人の元へと走っていく。
■■■■■
目が合った瞬間、私の心の中に花火が花開いたかのように想えた。
眩しい光が私の心を照らしている。
「…未来ちゃん…っ」
思わず、私も駆け始めていた。
このまま待っていても、すぐに未来ちゃんはやってきてくれるはずなのに、一瞬でも早く彼女の元に近づきたかった。
私が、自分で、この足で、近づきたかった。
「「会いたかった」」
2人で同時に同じ言葉が漏れ出した。
おかしくて、嬉しくて、笑ってしまう。
同じことを、想っていたんだ。
「沙織さん…」
そう言って、潤んだ瞳で私を見つめてくる未来ちゃんは、本当に可愛かった。赤地に白い藤柄の浴衣が、未来ちゃんを少し大人びた女性へと感じさせてくる。
(可愛い)
(抱きしめたい)
湧き上がる想いをそっと隠して、私は未来ちゃんに手を伸ばした。
「一緒に、歩こう」
「はいっ」
未来ちゃんは私の手を握り締めると、嬉しそうに私の隣を一緒に歩き始める。
人の流れの中で、お互いに言葉を探しながら、祭りの渦の中に巻き込まれていく。
12歳年下の、可愛い姪っ子。
(私たち、どう見られているのかな)
ふと、そう思った。
親子…には、見られないと思いたい。
姉妹…としては、少し年が離れすぎているとは思う。
友達…にも無理があるかもしれない。
恋人…には…見えないかな。
(12歳差って)
一番難しい関係なのかな、と思った。
思いながら、隣を見る。
未来ちゃんが嬉しそうに、本当に嬉しそうに私を見返してきてくれる。
(手汗…大丈夫かな)
そんな心配をしてしまう。心臓がドキドキしているのがバレてしまうかもしれない。気持ちが伝わってしまうかもしれない。
「修学旅行、楽しかった?」
「はい…すごく…とっても…」
先月の話なのに、まるでつい昨日のことだったかのように答えてくる。あの日以来、会っていなかったのだから、私たちの間では修学旅行から今がつながっているのだ。
「…でも、沙織さんといる今の時間が…一番楽しいです…」
その言葉に、胸の奥がきゅっと痛んだ。
(私も)
今が、楽しい…楽しくて、幸せで。
この時間を失うのが…怖い。
私たちは手をつないだまま、祭りの中を歩いていった。
屋台の明かりが夜空に揺れている。
りんご飴、金魚すくい、綿あめ。
人々のざわめきの中で、私たち2人だけの静かさがあった。
(こんなに人に囲まてれいるのに)
(まるで、世界が私たち2人だけみたい)
そんなことを想いながら、未来ちゃんを見つめる。
金魚すくいに挑戦していた未来ちゃんが、ちょうど失敗して残念がっているところだった。
手にしていた金魚すくいのポイが破れている。
「もー、おじさん、これ、不良品だよー」
「ははは、お嬢ちゃんがまだまだ下手くそなんだよ」
もう一回やるかい?と聞いてくる屋台のおじさんに向かって、「やめときます、べーっ」っと舌を突き出す未来ちゃんが可愛い。
「未来ちゃん、手が濡れてるわよ」
そう言うと、私は袖口からハンカチを取り出して、未来ちゃんの手をそっと拭った。暖かい手。柔らかい手。
その指先に触れた瞬間、未来ちゃんの肩が小さく震えた。
夜風が通り抜けて、未来ちゃんのまとめられた髪を少しだけ揺らした。
「…寒くない?」
「…暖かいです…」
未来ちゃんは私の手をそっと握りしめて、私を見つめてくる。
その瞳の中に確かな愛情を感じ取って、私は胸の奥がとろけていくのを感じてしまう。
人ごみの中で交わす小さな会話の一つ一つが、妙に鮮やかに響いてくる。
「あ、綿あめ買おうか!」
恥ずかしくなって、場をごまかす。
私は綿あめ屋さんのところに行って、白い綿あめを一つかった。
「はい、未来ちゃん」
「…沙織さんも一緒に食べましょうよ?」
一つの綿あめを、ふたりで分け合って食べる。
未来ちゃんが口をつけたところが、溶けてしろい砂糖の塊になっている。
私はわざと…その、未来ちゃんが口をつけた箇所に舌を伸ばす。
未来ちゃんがじっと見つめてくる。
(バレてる…)
と思いながら、やめられない。
甘い味が口内に広がっていく…砂糖の味と、未来ちゃんの味。
横にいる未来ちゃんの横顔は祭りの灯りに照らされているからか、赤く、紅潮しているように見えた。
そこに浮かぶ影がどこか切なくて、飛んで行ってしまいそうで、思わず手を伸ばしたくなる。
(…好き)
甘い想いが湧き上がってくるのがとめられない。
(でも、この時間が終わってしまうのが怖い)
胸の奥がざわざわとなり続ける。
言葉を交わすと、この関係が変わってしまいそうで。
一度変わった関係は、もう二度と元には戻らないから。
(もう少しだけ…)
私たちは手をつないだまま、屋台をひとつ、またひとつと巡りながら歩き続けた。
やがて、屋台の列が終わり、私たちは川沿いにたどり着いていた。
風が少し涼しくなって、夜空が広がっている。
屋台の灯りに照らされた空は明るくて、遠い星は目に入りそうになかった。
(この川の先に)
私が生まれ育って、いま未来ちゃんが住んでいる海の町があるのだろう。
時間も距離も、なにもかも、実はつながっているのだろう。
手をつないだまま、2人でずっと、夜空を眺めていく。
言葉はなくても、心がつながっている気がする。
やがて。
花火の合図が響いた。
「…はじまる、わね」
私はぽつりと、言葉を漏らした。
未来ちゃんも小さく頷く。
夜空の最初の花が、ゆっくりと咲いた。
花火が始まる。
そして、私たち2人の、今のこのあいまいな関係が…
終わる。
■■■■■
花火が夜を切り裂いていく。
光の花が咲き誇った後、すこし遅れて轟音が響き渡っていく。
一つ。またひとつ。
夜空が青に、赤に、黄色に、さまざまな色に染められて、空が万華鏡になっていく。
私はその空を見上げながら、胸の奥で何かが溶けていくのを感じていた。
(沙織さん…)
私の、大好きな人。
私の初恋の人。
昔から、ずっと、ずっと、ずーっと大好きで。
この気持ちの花はしぼむことが無かった。
一目惚れだった。
沙織さんを好きになった理由は単純で、ほんとうに単純で、綺麗だったからだ。
(美人)
顔が好き。大好き。
そのまつげが好き。
長い黒髪が好き。
整った鼻筋が好き。
淡い薄紅色の唇が好き。
花火が広がる。
私の心も広がっていく。
今でも、沙織さんはずっと美人で。綺麗で。素敵で。
でも今は好きなのは、顔だけじゃない。
全部好き。
その仕草が好き。
声が好き。
雰囲気が好き。
匂いが好き。
体温が好き。
性格が好き。
笑顔が好き。
私のことを心配してくれる目が好き。
クラスメイトの子なんて比べられない。
テレビに映る芸能人だって比べ物にならない。
沙織さんより素敵な人なんていない。
私の心は全部沙織さんのもので。
私を全部、沙織さんにもらってほしい。
(言わなきゃ)
赤。青。黄色。
たくさんの花火に照らされながら、私は思った。
伝えなきゃ。何度でも、何度でも、伝えなきゃ。
去年のことを思い出す。
あの時は、月明りの下だった。
乳白色の静かな夜に、私は沙織さんに告白した。
そして…断られた。
花火が広がっていく。
空というキャンパスが色とりどりの絵具で書き尽くされていく。
あれから一年。
私の想いは消えなかった…むしろ、もっと、もっと。
この夜空よりも輝いている。
(好きです)
(付き合ってください)
言わなきゃ…言わなきゃ…
でないと、私の心はきっとまだ、あの夜の月明りの下に置き去りのままになる。
(好きです)
(付き合ってください)
でも、言葉が出ない。
いうのが…また拒絶されてしまうのが…怖い。
隣の沙織さんを見る。
花火に照らされた大好きな人の顔を見る。
綺麗。
時間が止まってしまいそう。
指先が、かすかに触れた。
浴衣の袖と袖。
ほんの一瞬…でも、たしかに、沙織さんを感じる。
「…沙織、さん…」
勇気を振り絞る。
花火の音にかき消されそうな声。
「…未来ちゃん?」
沙織さんが振り向いて、私を見つめてくる。
その瞳は煌めいている。まるで水面に映る花火の光が舞っているかのように。
呼吸を整える。
胸の奥が痛いほど鳴り響いて、喉が熱くなって、しんどくなって、それでも…それでも湧き上がる想いを留めることは出来なくて。
「私、ずっと、ずっと…」
あなたのことが、好きです。
そう、言おうとした瞬間。
「…」
沙織さんが、そっと、指先を私の唇にあててきた。
沙織さんの指の感触が伝わる。
ああ。
止められた。
私が告白しようとしたことが…伝わった。
だから、沙織さんは。
それを…阻止したんだ。
私は泣きそうになって。
涙が目の端に溜まっていって。
言えなかった想いが、零れそうで。
沙織さんは、そっと指を引いて。
こぼれそうだった私の涙をすくってくれた。
そして。
「ごめんね、未来ちゃん」
拒絶の言葉が…その口から…私の大好きなその唇から…
「私に、先に言わせて」
届いた言葉は、違っていて。
沙織さんは…まっすぐに、私の瞳を見つめてきて、唇を開いた。
「未来ちゃん、私ね…あなたのことが…好き」
心臓がとまりそう。
息が続かない。
「あなたの笑顔が好き。私のことを見つめてくれるその瞳が好き。あなたの全部が好き。誰にどう思われても…もう、止まらないの。あなたに笑ってほしい……あなたが…欲しいの」
花火が夜空を染める。
空が輝いていて、光がまざって白くなっていて、一年前の柔らかだった月明りの白さじゃなくて、キラキラと輝いた白い光で。
その光の中、沙織さんが、笑っていった。
「未来ちゃん…こんな私でよかったら…」
光が。
「私と…お付き合い、してください」
爆ぜた。
■■■■■
音が遠くなっていく。
周りのざわめきも、祭りの声も、花火の音も、世界中のなにもかも、全部溶けて消えていく。
残ったのは、私と沙織さんの、2人の呼吸だけ。
「あはは…本当に……言っちゃった…」
沙織さんは恥ずかしそうに笑うと、手をあたまに押し当てた。
「学校の先生がこんなこと言っちゃ、駄目なのにね」
私は首を振る。
なんどもなんども、壊れるくらいに。
信じられない。
沙織さんが…私に…
沙織さんから…
告白、してくれた。
あまりの幸せに私がぼぅっとしたまま立っていたら、沙織さんが、少し不安そうな顔で私を見つめてきた。
「…あの…未来ちゃん…」
「はい!」
「…まだ…返事…聞かせてもらっていないんだけど…」
あ。
そうか。
当たり前すぎて。
あまりにも当たり前すぎて、私、返事すらしていなかった。
私は、まるで初めて出会った8歳の頃の私のように、全身で沙織さんに飛びついた。
「イエスです!もちろん、イエスです!沙織さん!大好きです!ずっとずっと、ずーっと、大好きです!」
言葉が花火の光に溶けていく。
浴衣ごしに、沙織さんの体温を感じる。
「付き合ってください!私の…彼女になってくださいっ!」
お互いの心音が、撃ち合うたびに重なっていく。まるで心臓が溶けあってひとつになってしまったかのように、どくんどくんと脈打っている。
頭上で、花火が連続して咲いた。
光の雨が、私たちを包み込んでいた。
「…もう…離さない」
沙織さんがそう呟いて抱きしめてくれて、私は顔を沙織さんの胸に押し付けながら、何度もなんども頷いた。
最後の花火が、一際大きい大輪の花を夜空に咲かせた。
まるで、この瞬間は。
世界は。
私たち2人のためだけに存在するかのようだった。
■■■■■
帰り道。
私たち2人は、人通りのない坂を並んで歩いていた。
遠くの空に、まだ小さな光の尾が残っているみたいだった。
手を握る。
手を握り返される。
沙織さんの手。
…私の…彼女の、手。
「夏が終わっちゃいますね…」
「そうね…でも」
沙織さんが私を見て、笑ってくれた。
その顔はとても涼やかで…穏やかで…愛おしくて…
「また来年も、その次も、ずっと」
2人で、見ていきましょうね。
沙織さんの言葉に、私はうなずいて、そっと、手を握り返す。
私が握ると、沙織さんも握ってきて。
心と体がつながっている気がしてくる。
私は歩く。
その歩幅に合わせて、沙織さんも歩いてくれる。
12歳差。
女同士。
叔母と姪。
これから先に、もっともっと、大変なことが待ち受けているのは分かっている。
秘密にしないといけないことも、たくさんあると分かっている。
けれど、今だけは。
今夜だけは。
この幸せだけを、かみしめていても、いいよね。
私と沙織さんの影が、ひとつになって、夜風に揺れる。
この日。
私と沙織さんは。
恋人になった。




