公正世界をぶっ壊そう。
「松丸、文化祭の出し物は学習成果の発表でいいよな。」
予定調和のように担任の中年男性がいう。
「いえ、先生僕たちは映画を撮りたいと思います。」
そう松丸が言った瞬間、担任があっけに取られたような顔をするが、すぐにその表情は怒りに変わっていく。
「お前らはただでさえ去年から学校に迷惑かけまくりなのによくそんなこといえるなぁ。提案したのは誰だ。」
「僕です。」
「石井、てめえ去年からなんも変わってねえなぁ。斉藤の件で学ばなかったかぁ、お前らみたいなクズが何かを変えられるなんてことはないの。幻想幻想。斉藤が浮かばれないなぁ、謝るなら今だぞ。」
「斉藤は間違ってなんかいなかった。お前らがずるしたんだろうが。」
「先生に対する口がなってないなぁ。だからお前らだめなんだよ。それにだ、ズルなんて酷いことを言うもんだ。ルールの中で公正に判断しただけだよ。」
「何が公正だ。お前らは自分たちの負けを認めないために「解釈」を捻じ曲げたんだろうが。」
「だとしても何も間違ったことはしてない。それがルールだからな。」
「解釈で変わっちまうルールに何の意味があんだよ。まぁいいや、俺たちは映画をとる。お前らの大好きなルールにそってな。」
「無駄なの、どうせお前たちの出し物は取り下げられて終わりだ。もういいか。」
「文化祭実行委員会のことですか。」
「お、よく知ってるなぁ。ご苦労ご苦労。お前たちがいくらやりたくても過半数なんてとれません。はいお疲れ様。」
「先生にはまだいってませんでしたけど、映画は二年全体の出し物です。」
そう言った途端担任顔が見るからに歪んでいく。
「はっ?」
「だから映画は二年全体でやります。なのでこの学校の過半数の賛成を得てます。意味わかりますか?先生?」
「んなはずない、四組がお前らに賛成するわけないだろ。」
「別に確認してもらってもいいですよ。残念ですねぇ、一年も三年もいっぱい辞めさせましたましたもんねぇ。でもルールですもんね。じゃぁルールに従って学年長、副学年長、学校長、副学校長、理事、副理事、会長、副会長の許可どりをルールに従ってお願いしますね。あと、映画撮るのに外出したいので、外出許可と校内も撮影に使いたいのでその許可もとってきてくださいね。あ、定時が近いですね。僕たちと長話して定時超えちゃうのも悪いんで、僕たち帰りますね。じゃあよろしくお願いします。あの先生がルールを破るわけないと思うんですけど、万が一があれば僕たちもルールに従って訴えるしかないんで、そこんとこもよろしくです。」
そう言って石井たちは教室を出て行った。出て行った後の教室から奇声が聞こえたが、その歩みを止めることはなかった。