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34 【監獄】



 そして私は監獄塔へと連れて行かれた。私の言葉など誰も聞いてはくれず、あっという間の出来事だった。

 最後まで私のことを庇ってくれたユーシスが咎められないことを願うしかない。


 騎士が私の罪状を淡々と読み上げるのを黙って聞くことしかできなかった。

 その手に持っている紙はいつ用意されたものなのか、なんてどうでもいいのに気にしてしまった。

 

 ここで何か言わなければ、きっともう機会などこないのでは……? そう感じてしまうのに、うまく言葉にできない。

 恐怖で震える体から出た声は小さく、誰も聞いてなどいない。


 このままでは行ってしまう——。


 なんとか引き止めようと意を決して声を張り上げるが誰も振り返ることなく牢から出て行ってしまった。


 そしてそれからは看守以外は誰もここへは来なかった。


 最初は外との連絡をとりたくて、看守に声をかけてみたけれど何も反応がなかった。

 私と会話などしたくないのか、禁止されているのか、会話ができないよう何か制限をかけられているのか……。


 皇宮にあるこの監獄塔がどれだけ厳しい監視下にあるのか貴族であれば知らない者はいない。手紙一つ渡すのでさえ、無理だろう。


 あの後どうなったのだろうか。ソフィアは無事に目が覚めた? ユーシスは処罰されていない?


 お父様は? お父様はこの話を聞いてどう思ったの?


 私はいつ、ここから出してもらえるの……?


 そんなことを毎日不安に思いながら待っていた。



 誰かがここへ来ることを——。

 



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