大魔王様は自撮り中ですぞ!
※1000文字以下の短編企画『なろうラジオ大賞2』参加作品です。
選択キーワード:『大魔王』
「ちわっすー! 魔族宅配便でーす!」
「待たれよ! 大魔王様は自撮り中ですぞ?
中身は何ですかな?」
「翼竜の香草焼きですね」
「かー! 大魔王様の貴重なお時間を何だと思っておられるのか!?」
「でも、四天王さんからの注文ですよ?」
「ダークヒドラですな? あやつは本当にもう……
まず時間指定にしなさいとあれほど言うておろうに!」
「はあ、出直したほうが良いですか?」
「面目ありませぬ。再注文させて頂きたい」
「ダークヒドラ、ちょっと来なさい」
「側近様ぁ、俺ぇ、ちゃんと時間指定したぜぇ?
シリウスの音声入力で『じゅうぅはちじぃ』ってぇ」
「エ コ ー が掛かって2回言ってるみたいになっておろうが!」
「もう良い、スマホを貸しなさい。
お主では色々間違えてしまうゆえ、私が注文しましょう」
「ごめ~ん、今ランキングイベントの周回中なの!」
四天王の堕天エンジェルが羽をバタバタさせている。
「勇 者 を 討 伐 し て こ い。
……コホン、取り乱してしまいましたな」
「側近様もやってみなよ~」
「む? どれどれ、なるほど。
イマドキのゲームは画質が素晴らしいですな。
……はっ! 容量はあとどのくらいですかな!?」
「100メガだよ」
「何てことを……!
大魔王様の自撮りフォルダを圧迫してしまうではありませんか!」
「側近様の電子書籍を消せば大丈夫だよ」
「限 ら れ た 私 の 娯 楽!
……コホン、背に腹はかえられませぬ。
大魔王様を怒らせると怖いですからな」
「つまみ食いしたら、『お前を食ってやろうか』って言われるしね~」
「取り急ぎ再注文せねば。
今夜の晩ごはんは……」
「側近さまー! 大変です!」
四天王のほぬほぬスライムが駆け込んでくる。
「大変なのはお主の能力ですぞ。
手元がほぬほぬして入力しづらいではありませんか」
「昼間、注文を間違えて宅配便さんを帰らせたことが大魔王様にバレたんです!
次に間違えたら3週間スマホ禁止にするとか」
「え……?」
「はい?」
ポチっ
「「あっ」」
◇◇
「こんばんはっすー! 魔族宅配便でーす!」
「おおっ、ようやく来たか」
待ちかねたのか、大魔王自らインターホンに出る。
「翼竜の香草焼きですねー」
「おい、間違ってないか?」
「えっ、でも側近様からの注文ですよ?」
「わしはニホンのアキタの比内地鶏を期待したのだが?」
「地鶏厨かよ」
お読み下さりありがとうございました。
この後スマホは没収されました。
下部のほうに他の「なろうラジオ大賞2」参加作品のリンクを貼っておりますので、ご興味がありましたらぜひ。