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第五話「他力本願スタイル」

こんにちは白野斬夜です

ようやくタイトル回収ができました

最近ブックマークが増えたりなどで書くのがすごく楽しくなってきました

これからも頑張りますのでよろしくお願いします

では第五話、どうぞ

「ど、どうする……どうすれば良い……!?」


静寂な森の中

ボスゴブリンとゴブリン四匹に囲まれながら俺は必死に頭を働かせる

このままではヤバイ、早く、早くなんとかしなければ……死ぬ!


「やぁぁぁあ!」


「ローリエちゃん!?」


ローリエちゃんが果敢にもボスゴブリンに向かっていく


「ガァァァ!」


ボスゴブリンは向かってくるローリエちゃんに棍棒を振り下ろす

ローリエちゃんはそれを素早く避けながら近づき爪で攻撃した

しかし


「だ、ダメです、攻撃が通りません」


厚い筋肉に阻まれボスゴブリンに大したダメージを与えることができない


「ローリエちゃん!これ以上は無理だ!逃げよう!」


「は、はい!」


ローリエちゃんがボスゴブリンから離れ合流すると同時にボスゴブリンから遠ざかるように逃げる

しかし


「グゲゲゲゲ!」


と下卑た笑いをしながら周りのゴブリン達がいやに連携の取れた動きで進路を塞ぐ

どうやらこのゴブリン達、最初の五匹と違いボスゴブリンに選ばれた精鋭らしい


「邪魔です!」


不意に隣を走ってたローリエちゃんが一瞬腰を落とし

一気に飛びかかった!


「せい!」


「グゲッ!?」


唐突な奇襲に膠着したゴブリンの喉をすれ違いざまに爪で切り裂く


「次!」


「グブッ!ギャア!」


すぐさまその近くにいたゴブリンの鳩尾に蹴りを加え、前のめりになった瞬間掬い上げるように爪で喉を的確に切る


「ググ……キシャアア!」

「グルルァ!」


状況を理解した他の二匹が同時にローリエちゃんに襲いかかる

先に動いた一匹がナイフでローリエちゃんを突く


「そこです!」


その突きをローリエちゃんは素早くいなす

そしてそのゴブリンの腕を掴むと捻り上げナイフの刃先を後ろから向かってくるもう一匹へと向けさせる


「グゲァ!?」

「グァ!?」


ナイフが見事に突き刺さる

同士討ちの同様で最初のゴブリンがナイフから手を離したところで


「やぁ!」


蹴りを入れて二匹を纏める

そして素早く体勢を整えると


「すぅ………狼強撃(ウルフストライク)!」


深く息を吸い飛び込みながらの強烈な右ストレートを喰らわせた

ゴギリ!と鈍い音をさせ吹っ飛んでいったゴブリン二匹は木にぶつかり落ちたあと動かなくなった


「よし、行きましょうご主人様!」


「う…うん」


ローリエちゃん、やっぱ強い……

精鋭といえど通常ゴブリンなら敵ではないみたいだ

割と躊躇なく急所の喉を狙ったりするのちょっと怖いけど……今はそれが頼りになる

これなら逃げ切れる、そう思った時だった

俺たちに巨大な影がかかる


「グゥアアアア!!」


「っ!ローリエちゃん!」


「きゃあ!」


とっさにローリエちゃんを突き飛ばし俺も反対側へ飛んだ

さっきまで俺たちがいた地面が棍棒で抉られる

とんでもない速さで跳躍してきたボスゴブリンによって


「マジかよ……あの図体でスピードまで早いのか……!?」


「グルルル……」


ボスゴブリンは棍棒を再び持ち上げるとローリエちゃんの方に向かっていく


「う、うう……」


ローリエちゃんは突き飛ばされた体勢からまだ戻れていない

まずい!このままじゃローリエちゃんが!

どうする!考えろ!考えろ!!


「グゥゥゥ……」


ボスゴブリンはローリエちゃんの前に立つとゆっくりと狙いを定めるよう棍棒を振り上げる

何か……何かこの状況を打開できるものはないのか……!?


「……そんな魔法の様なこと」


そう諦めかけて気付く

魔法……?

そうだ!魔法!どうして気づかなかった!

俺は急いでステータスウィンドウを開く

最初に確認した時、俺は基本ステータスだけをみて絶望しそのままウィンドウを閉じてしまった

もしかしたら、何か役立つスキルや魔法が……

魔法のページ……あった!

………これはっ!?


「ウォォォ!」


雄叫びを上げボスゴブリンが棍棒を振り下ろす


「っ!きゃああ!」


ローリエちゃんが危機に気づき悲鳴を上げる

くっ!間に合えぇぇぇ!!!


防壁魔法(ディフェンド)ッッッ!!」


ガキィィィン……………!!


「………え?」


「グオ!?」


森の中に金属をぶっ叩いたかの様な音が響く


「ま、間に合った……」


ローリエちゃんの周りを半透明な防壁が覆っていた

魔力でできた防壁である


「まさか……こういうことだったとは……」


俺は魔法ページを開いたウィンドウを見る

そこには『攻撃補助魔法(アタック)』や『防御補助魔法(ガード)』、さらに先ほどの『防壁魔法(ディフェンド)』の様な味方を補助する魔法がズラリと並んでいた

全て消費MPが1の状態で

つまり……こういうことか………

俺のステータスは、「誰かに戦ってもらう」ことを大前提とした、「完全他力本願スタイル」なんだ!!


「なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ローリエちゃんとボスゴブリンが一瞬ビクッと身を竦め、驚いた鳥達や動物達が逃げ出すほどの大絶叫のツッコミが森全体に響く


「はぁ……はぁ……だけど、これなら……ローリエちゃん!」


「は、はい!」


「今から俺が補助魔法をかける!だから攻撃を任せたい!出来る!?」


ローリエちゃんは強くうなづき立ち上がるとボスゴブリンの股下を滑り俺の前へと一気に駆け寄った


「任せてください!絶対に倒します!!」


「よし、行くよ!攻撃補助魔法(アタック)速度補助魔法(スピード)!!」


バフがかかったローリエちゃんは素早くボスゴブリンに向かっていく


「ガァ!」


ボスゴブリンが棍棒を振り下ろすがそれよりもはるかに早くローリエちゃんはボスゴブリンの懐へと潜り込んだ


「せぇい!」


攻撃性の魔力に包まれ強化された爪でボスゴブリンの腹を攻撃する

先ほどと違い爪は厚い筋肉をザックリと切り裂いた


「ギャア!」


ボスゴブリンが痛みに悶え棍棒を振り回す

それを素早く避けながらローリエちゃんは爪でボスゴブリンの体を次々と切り裂いていく


「ギャアアア!!」


ボスゴブリンの悲鳴が森に響く!


「これなら……行けます!ご主人様!」


ローリエちゃんは一度ボスゴブリンから離れ僕の前へと戻ってくる


「もう一度さっきと同じ魔法をお願いします、私のとっておきの技で、仕留めます!!」


「わかった!攻撃補助魔法(アタック)速度補助魔法(スピード)!!」


ローリエちゃんに再び補助魔法をかける、二重にバフがかかったローリエちゃんはなんだかすごい気迫だ


「ほぉぉぉぉ………」


ローリエちゃんは息を整えながら両手を地面につく

まるで飛びかかる前の獣とクラウチングスタートを組み合わせたかの様な独特の構え


「っ!」


ローリエちゃんはそこから凄まじいスピードでボスゴブリンに向かって行った


「ガァウ!」


ボスゴブリンはそれに合わせて棍棒を横なぎに振るが

ローリエちゃんはその寸前で跳躍、空中でひねりを入れた月面宙返りで避けながら攻撃態勢に入った

ひねりによる回転、速度補助のかかった助走、重力落下、その3つの加速と攻撃補助で強化された爪でのローリエちゃん最大の一撃


狼月(ウルフムーン)爪斬撃(スラッシュ)!」


ローリエちゃんの爪は、ボスゴブリンの硬く分厚い首の筋肉をまるで豆腐のようにたやすく斬り裂き、腹まで抉り取った


「グッギィアァァァァァァァ!!!」


一際大きい断末魔を上げ、ボスゴブリンは地にひれ伏し動かなくなった


「……や、やった……」


「やりましたご主人様ーーー!!!」


遠くでローリエちゃんが飛び跳ねながら手を振るのをみて


「よ、よかったぁぁぁ〜〜」


俺は腰を抜かしてその場にへたり込んだ


――――――――――――――――――――――――


その日の夜

俺たちは食事処で少し豪華な食事をとっていた


「今日はローリエちゃんのおかげで無事に帰れたよ……本当にありがとう」


「いえ、そんな、私だってご主人様がいなければ勝てませんでした」


「あはは…そう言ってもらえると少し助かるよ、ほら、遠慮せずにどんどん食べてね」


今回の一件、ギルド教会からは元々のクエスト報酬に加え、低難易帯での異常遭遇の謝罪金、そして高ランクモンスターの討伐による特別報酬まで重なり6000Gもの報酬を受け取ってしまった、当初の予定の3倍である

その分で俺はローリエちゃんにできるだけ美味しいものを振る舞っている

補助をしたとはいえ戦ったのはローリエちゃんだ、これくらいは当然だ

そもそも報酬を俺が受け取っていること自体おこがましいのだがこれ対してはローリエちゃんの


「ご主人様がいなければそもそも稼げなかったお金です!ご主人様が受け取ってください!」


という強い要望により受け取ることにした


「はぁ……しかし、本当に生きててよかった……なんだか運が悪いなあ俺」


「そんなことないですよ!だってあの土壇場でご主人様の能力に気づけたわけですし、それのおかげでお金もいっぱい手に入ったわけですし」


「まぁ、確かに……でもそう考えると、ローリエちゃんに出会えたのが一番運が良かったのかもしれないね」


「それは、むしろ私の運が良かったんじゃないでしょうか、ご主人様に出会えて本当に幸運でしたよ」


「……ふふっ」


「えへへ」


俺たちは二人して笑った

……ローリエちゃんとなら……


「君と一緒なら、なんでも乗り越えられそうな気がして来たよ」


俺はローリエちゃんの頭を撫でてあげながらいう


「……また、色々頼らせてもらうかもしれない、それでも、俺と一緒にいてくれるかい?」


「もちろんです!あなたは、私のご主人様ですから!」


無表情なから嘘偽りのない真っ直ぐな目で答えるローリエちゃん

俺は他力本願で、ローリエちゃんが誇れるようなご主人様ではないかもしれない

けど、この子が俺の事をご主人様と呼んでくれる限り、俺はこの子のご主人様としてしっかり生きて行こう

そう心に誓うのだった

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