引き寄せ甲子園69
夏の甲子園大会を勝ち進んで2戦目、相手校も初出場である。
愛子監督と元プロ野球・投手の遠山は先発を笹島に託した。
笹島はバッティングピッチャーから成り上がり、急速は140キロ後半で抜群のコントロールが持ち味である。
3回には江川の俊足を絡めて、山部にはホームランが飛び出した。
遠山が予想した展開通り、フォアボールを与えない笹島の攻めた投球は見事で相手チームは手も足も出なかった。
「今日は笹島君だけど、優勝候補には安藤君をぶつけなきゃだからな」
今の段階ではプロで即戦力として通用するのは安藤だと遠山は評価している。
そして、甲子園大会が始まって以来の空気が球場内に漂っている。
A校の吹奏楽部が選手一人一人のヒッティングマーチを即興で作曲し演奏しているからである。
当初a校の監督として引っ張っていたダルマ職人の辰巳。
監督業から離れたのは新しい野望があったからだ。
せっかく甲子園に来たのに、通り一遍の応援歌を演奏させるのは面白くないし、部員の成長に繋がらない。
オリジナルを作曲して人を感動させたり、あわよくば世の中に認められたりと、そんな作品を残してほしい。
辰巳が評価を著しく高くしていたのは甲子園の屋外で便所を案内している応援団長の木下と坂元の2人である。
いつか彼らをダルマ職人の一番弟子にしてあげるんだから。
看板を持つことを苦労とは思わないで。
プラカードを持つ、たっぷりの拘束時間中は思考を楽にしてコロコロと展開していって。
気づいたら時間が経っているから。
決してイライラはしないで。
一気に憔悴してしまうから。
看板を持っていると他人から偏見の視線を感じたりする。
でも、これらは自分で作り出した思い込みである。
例えばね、小春日和に看板を持って、缶コーヒーを片手に飲んでいると、とても気持ちいいものだよ。
気づいたらお昼か。
1時間休憩を取って 午後の残る5時間拘束をどう切り抜ければいいのだろうか。
※次回に乗り切るコツを伝授するね。
みたいな。
看板を持っていることは退屈だって決めつけないで。
吹奏楽部の子たちより、看板を持ってるあの子たちがワン・ツートップ。
プラカードスタッフ話を後日教えておくれ。




