引き寄せ甲子園61
試合前の大方の予想を覆して、強豪BにA校は勝利をおさめることができた。
相手の選手たちは、まあ泣いて泣いて甲子園の土をかき集めた。
各自バックを重そうに肩に担いで、うつむき加減で甲子園を後にする。
相手B校の吹奏楽部の皆さまも、まあ泣く泣く。
泣いて泣いて、まさか今日で今年の甲子園の夏が終わるなんて誰も彼も思ってもいなかった。
今日のために一生懸命演奏練習したのに、これが現実なのかという思いである。
マスコミはA校の躍進に大いに盛り上がり、当初とは異なった視点で改めてA高に注目した。
A校吹奏楽部は演奏せずにメガホンを打ち鳴らし、音は甲子園にこだましていた。
チャンステーマは、阪神タイガースの応援そのものだった。
もちろん著作権については十分に気をつけたらしいけども。
この日、甲子園に来ていた阪神ファンも一体となって応援して大いに盛り上がった。
A校応援団長木下はスタンドで応援せずに外でプラカードを持って、球場内外トイレ場所の案内をした。
だるまとバッタをコラボしたA校のキャラクターもマスコミの注目するところであった。
なんだこのマスコットキャラクターはと。
みんなを驚かせていた。
我たちで気づくとA校球児って坊主でなく、髪が伸びている者が多い。
彼らは試合中に「ありがとうありがとう」などと発声して引き寄せの法則をこなすのに頭がいっぱいとなっていたのだから髪のことなどどうでも良かった。
今のA高は 「ありがとうありがとう」と発声するもしないも自由だけれども。
おっぱじめた者、辰巳が今はしていないのだから。
マスコミ等に言われて髪が伸びていることに気づいたぐらい、彼らは髪にこだわっていなかった。
髪を伸ばしてるだの坊主にするだのこだわるって何?
前もって髪を伸ばすと決めているチームの方がよっぽど髪にこだわっている。
でもなんだかんだ言ってA校野球部には髪型にこだわってる者が多くいたのである。
そこを隠してるのがずるい所でかわいいとこである。
A校って。
自然体なんじゃないか。
ただ私たちはありがとうありがとうと感謝し続け、ギター弾きベンチ内ミュージシャン悠太を尊敬の眼差しで見ている。
足つぼマッサージまでしてくれる悠太。
応援団長木下はプラカードを持って甲子園球場内外トイレの場所案内をして。
プラカードじゃなくて、サンドウィッチマンスタイルでトイレ場所を知らせた方が目に留まるかしらと。
そして急遽、試合中の中盤あたりA校ベンチ内悠太が皆に足つぼマッサージをし始めたこともマスコミの目にとまった。
何やってんだあの方達はと。
その後、プロの注目する男A校山辺がホームランを打ったり、安藤のピッチング共に、プロスカウトの目に留まることとなった。
いやー。
甲子園はシダ植物が映える。
シダ植物と甲子園って組み合わせ、何だかいい。
試合中に足つぼを施されちゃいけないって誰が言った?
ベンチにギターを持ち込んじゃいけないって言われてない。
試合後悠太は選手の足つぼを押して感じたことをメモにした。
やはりみんな土踏まずの上あたり、そこを押されて痛いという声が。
そこの箇所は「胃」だ。
やはり選手たちはプレッシャーで胃がやられている。
あと足裏の親指腹のとこ、あと足裏人差し指と中指のつけ根と第1関節の間のところを押したら、まあみんな絶叫して痛がった。
そこの箇所は「目」だ。
次のA校対戦チームは同じ東北勢で潰し合いとなってしまった。
マネージャー兼監督の愛子にとってそんなことはどうでもいい。
彼女にとっては本当に気にならないことだった。
関西人とプロレスの試合がしたいという愛子の気持ちが強くなった。
甲子園では全国区のラグビー部や相撲部員も観戦しているだろうから。
強いやつらとプロレスのリングで戦ってみたい。
私ワクワクするわと。
そっちの方を楽しみにしていた。
だから甲子園で勝ち上がらなくちゃいけない。
できるだけ長くここにいたい。
最後まで残って、そのうちプロレスの試合をする。
さあ、強いやつらをスカウトしておいてねと。
愛子は、通称あなーしゃこと、野村に出場選手集めと試合のセッティングを依頼した。




