引き寄せ甲子園41
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★登場人物★
悠太:A高校2年生。スピリチュアル研究家・唾、脱糞研究家・シダ植物研究家・プロレス好き。 同じクラスの愛子と接近したことで、スピリチュアルに目覚め、音楽活動を通して自分の壁を壊しつつある。 安藤の教育係。
愛子:A高校2年生。スピリチュアル・プロレス好き。男でも容赦なくシバき倒す運動神経を持つ。 悠太の素質に気づく。彼とのフィールドワーク(散歩)を通して、人を見守り、救う事が自分の生き甲斐だと気づく。 実質彼女が今の野球部を支えている。皆がやりたい放題できるのは彼女のおかげである。
辰巳:50代。元A高校野球部。当時はプロに注目される程の投手だったが、家業を継ぎ、ダルマ職人になる。 悠太と愛子から刺激を受け、地域貢献活動に目覚めた。A高校野球部を甲子園に出場させるため一肌脱ぐ。
安田:A高校野球部監督。A高校野球部OBで、辰巳の後輩。辰巳に頭が上がらない。
安藤:A野球部雑用係に甘んじているが、エース級の素質を持つ。
前田:A高校野球部のエースだが、中継ぎ・クローザーの方が向いている。
坂口:A高校クリーンナップの一角を担う。
山辺:甲子園常連B校にスカウトされたが、高校野球には肌が合わないと、A校に進学して山岳部に入る。 野球部が超変革したと噂を聞いて、中途入部する意思を固め、再テストを受け合格した。
山中:カードマジックのプロを目指している。 頻繁に野球部に遊びに来て、辰巳にかわいがられている。
木下:応援団団長。勝手に応援団を結成した。今の所、一人でやっている。
笹島:バッティングピッチャーに甘んじていたが、絶妙なコントロール、抜群の制球力を山辺に見出され、急遽先発枠に入る。
江口:元陸上部スプリンター
木村:元甲子園出場常連高、B高野球部監督
遠山:元プロ野球選手
悠太は全身に鳥肌をたてながら、安藤の投球を見守っていた。
薄汚れたキャップを被った親父が後方でラジオを垂れ流している。
実況が、「三振」と声を張り上げた。
安藤は急速140km台をキープしながら、決め球は気持ち良くコーナーをついた。
「いやあ~脳汁が出るね。たまらん。1日に良いダルマを何個も完成させた気分だ。球が走ってる走ってる。傑作のダルマを眺めながら、美味しいコーヒーを飲んでる気分だ。ところで美味しいコーヒーってなんなのさって。なかなか旨いコーヒーに出会えねーけどよ」
辰巳は腕組みをといて前のめりになっている。
「プロってのは彼の実力を分かってるね。あそこの記者席の後ろ辺りを陣どってるのはプロ野球のスカウトね」
元プロ野球選手の遠山が指を指して、そう言った。
A高の応援席は楽器演奏は無くても、メガホンの音が響き、阪神甲子園球場と化していた。
「うお。すげぇ」
「甲子園行けるぞ」
会話がはっきり聞こえるのは、楽器の演奏が無いおかげじゃないかしら。
ドン、ドン、ドンドンドン
シンプル イズ ベスト
成熟って、結局シンプルなものじゃないか。
悠太は女生徒同士のコロコロと転がる様な会話に聞き入り、鼓膜をくすぐられる思いだった。
まあ、なんてかわいい声だこと。
吹奏楽の演奏無しの我々のスタンドに、風が運んでくれた、カワイ子の音色よ。
安藤は俺が育てたんだ。
悠太は言いたくて言いたくてたまらない思いに駆られた。
インタビューで、そのうち安藤は俺のことを話してくれるさ。
安藤は普通の男子とおんなじ性欲があるのだからな。
当初、悠太は安藤の教育係であった。
悠太が女子の臭い物やらシダ植物やらギターやらに夢中になっている間に、安藤はプロ注目の右腕に相成った。
悠太は安藤とホームセンターに買い物に行ったことを懐かしく思い出していた。
ホームセンターからの帰り道のこじんまりとした小川と土手が、なぜ懐かしく思い出されるのだろう。
いつか彼女をつくるんだと2人で性癖を披露し合った道程。
ああ、美しき水辺よ、ドナウよ。
回は7回表、両校譲らずゼロゼロのままA高の攻撃が始まる。
打のプロ注目の山辺がバッターボックスへ堂々と歩いていった。




