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引き寄せ甲子園36

見て頂き、本当にありがとうございます。

★登場人物★ 悠太:A高校2年生。スピリチュアル研究家・唾、脱糞研究家・シダ植物研究家・プロレス好き。 同じクラスの愛子と接近したことで、スピリチュアルに目覚め、音楽活動を通して自分の壁を壊しつつある。 安藤の教育係。

愛子:A高校2年生。スピリチュアル・プロレス好き。男でも容赦なくシバき倒す運動神経を持つ。 悠太の素質に気づく。彼とのフィールドワーク(散歩)を通して、人を見守り、救う事が自分の生き甲斐だと気づく。 実質彼女が今の野球部を支えている。皆がやりたい放題できるのは彼女のおかげである。

辰巳:50代。元A高校野球部。当時はプロに注目される程の投手だったが、家業を継ぎ、ダルマ職人になる。 悠太と愛子から刺激を受け、地域貢献活動に目覚めた。A高校野球部を甲子園に出場させるため一肌脱ぐ。

安田:A高校野球部監督。A高校野球部OBで、辰巳の後輩。辰巳に頭が上がらない。

安藤:A野球部雑用係に甘んじているが、エース級の素質を持つ。

前田:A高校野球部のエースだが、中継ぎ・クローザーの方が向いている。

坂口:A高校クリーンナップの一角を担う。

山辺:甲子園常連B校にスカウトされたが、高校野球には肌が合わないと、A校に進学して山岳部に入る。 野球部が超変革したと噂を聞いて、中途入部する意思を固め、再テストを受け合格した。

山中:カードマジックのプロを目指している。 頻繁に野球部に遊びに来て、辰巳にかわいがられている。

木下:応援団団長。勝手に応援団を結成した。今の所、一人でやっている。

笹島:バッティングピッチャーに甘んじていたが、絶妙なコントロール、抜群の制球力を山辺に見出され、急遽先発枠に入る。

江口:元陸上部スプリンター

木村:元甲子園出場常連高、B高野球部監督

遠山:元プロ野球選手

「A高のベンチを見てみろよ。ひたすらノートに何やら書いてるぞ。異様だね。あれは。要警戒だぞ。お前ら」


B高の木村監督は腕を組み怖気づいていた。


A高は甲子園出場を引き寄せるために、試行錯誤して、今は願望を文字に起こすという方法に落ち着いたのであった。


実際は文章だけでなく、シダ植物やダルマを描いている者もいた。 


ダルマの新しいデザインを手掛ける上で、辰巳が若い人間の感性からヒントを得たいと言ったからである。


「木村監督。やつらは字だけでなく、昆虫とか植物も描いてるみたいですよ」


「どこで得た情報よ?」


「グラウンドで投球練習していた笹島くんに挨拶したとき、ちらっと彼のメモ帳を見たんですよ」


「書きながら投げてたってことか」


「1球投げては書き、1球投げては描いております」


「1球1球を大事にして球を投げてるってことだな」


「おっしゃる通りです」


木村は昔に集めていた『ビックリマンシール』や、夢中になってガチャガチャをして、景品の昆虫を集めたことを回想した。


ハイレゾ音質で聴けるヘッドホンを買って、名曲を聴きながら、もう一度コレクションして、1つ1つ眺めたい気分になった。


木村の周波数と重なったのか、3塁側のスタンドにいる悠太は、ギターのコード練習を一時停止し、リアルな昆虫のフィギュアが有ったら購入して、コレクションしたくてたまらなくなる。


でもすぐに、チアリーダーの綺麗な足に目が止まり、なめてみたいと思うのと同時に、臭いのかな、臭くて後悔しても良いなという熱い気持ちだけが先走りした。


「あの子達は本当に野球を楽しんでいる。のう!選手諸君よ!あの方々は、何投流かね?野球だけでなく、写生までしちまってるよ」


そう言うと木村は、さめざめと泣き出してしまった。


それはさておき試合はというと、先発の笹島がナイスピッチングで、B高は6回終了まで点数がとれなかった。


前回の練習試合で完ぺきにおさえられた、ピッチャー安藤の攻略に時間をさいて練習したのだが、意表を突かれた格好となった。


A高の打線といえば、前回は特に目立たなかった江口が四球も有りの3安打の活躍で、脅威の俊足で3つの盗塁も許してしまう。


江口を塁に置いて、全国が注目する山辺のホームランが飛び出した。


1塁側スタンドから3塁側、そしてレフトスタンドに連なるA高の応援をする者は、2003年の阪神タイガース優勝時のメンバー、キャッチャー矢野さんの応援歌を、打席に立つ味方の選手すべてに送った。


応援団長の木下による、ひたすら「ありがとうありがとう」と後ろに体をそらし叫ぶ姿や、盆踊りを踊る相棒の野菜売の老婆の存在も、飲み込んでしまう程の地響がする応援である。


7回と8回に、ようやくピッチャーが安藤に変わり、B高はリベンジといきたかったが、手も足も出ない。


最終回には前田が立ちはだかり、終わってみれば3対0で、A高の完勝であった。

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