ラジオが受信できない
ご覧頂き、ありがとうございます。
「悠太ってラーメンのスープ全部飲むんだ」
「親父や親族にラーメンの栄養は、ほぼスープにあるって教えられたから」
愛子は、ほとんどスープを飲んでいない。
「おいしいから飲みほすんでしょ?ラーメンのスープには、かんすいが入ってるから、飲み過ぎは良くないよ。悠太の性格って、お父さんに似てる?」
「似てると思うよ」
悠太は父親から虐待を受けた時期が長く、殴る蹴るよりも、暴言の方が彼の性格に与えた影響は大きい。
中学の頃、ラジオに、雑音が無い鮮明な音を求めるあまり、深夜3時ぐらいまでアンテナ線を動かしていた。
CDコンポについているアンテナ線。
ラジオをききたいわけではなく、もはや目的が分からなかった。
より盛んになった性欲の処理を、その合間にした。
かわいい子の唾を顔にかけられたい。
臭いと後悔もしてみたい。
寝不足で更に彼の精神状態はおかしくなっていった。
今は愛子が、こうしてそばにいるだけで、過去の暗い出来事は、どうでもよくなる。
今彼は有名人でも何でもないけれど、このラーメン店へ、色紙に何か勝手に絵でもかき、メッセージを添えて、プレゼントしたい。
それは愛子が望んだことである。
「おっ、書く気になったな」
網戸からの風が、また彼女の良い香りを運んできた。




