引き寄せ甲子園22
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★登場人物★
悠太:A高校2年生。スピリチュアル研究家・唾、脱糞研究家・シダ植物研究家・プロレス好き。
同じクラスの愛子と接近したことで、スピリチュアルに目覚め、音楽活動を通して自分の壁を壊しつつある。
安藤の教育係。
愛子:A高校2年生。スピリチュアル・プロレス好き。男でも容赦なくシバき倒す運動神経を持つ。
悠太の素質に気づく。彼とのフィールドワーク(散歩)を通して、人を見守り、救う事が自分の生き甲斐だと気づく。
実質彼女が今の野球部を支えている。皆がやりたい放題できるのは彼女のおかげである。
辰巳:50代。元A高校野球部。当時はプロに注目される程の投手だったが、家業を継ぎ、ダルマ職人になる。
悠太と愛子から刺激を受け、地域貢献活動に目覚めた。A高校野球部を甲子園に出場させるため一肌脱ぐ。
安田:A高校野球部監督。A高校野球部OBで、辰巳の後輩。辰巳に頭が上がらない。
安藤:A野球部雑用係に甘んじているが、エース級の素質を持つ。
前田:A高校野球部のエースだが、中継ぎ・クローザーの方が向いている。
坂口:A高校クリーンナップの一角を担う。
山辺:甲子園常連B校にスカウトされたが、高校野球には肌が合わないと、A校に進学して山岳部に入る。
野球部が超変革したと噂を聞いて、中途入部する意思を固め、再テストを受け合格した。
山中:カードマジックのプロを目指している。
頻繁に野球部に遊びに来て、辰巳にかわいがられている。
木下:応援団団長。勝手に応援団を結成した。今の所、一人でやっている。
笹島:バッティングピッチャーに甘んじていた
が、絶妙なコントロール、抜群の制球力を山辺に見出され、急遽先発枠に入る。
江口:元陸上部スプリンター
木村:元甲子園出場常連高、B高野球部監督。
両チームの監督は共に部室にこもり、ダルマづくりをしたり、シダ植物と石苔を鉢に、わび・さびに並べたりしている。
伝統だの何だのと言いながらも、甲子園地方予選で、すぐ敗退してしまう恒例を打ち破るには、ありなのかもしれない。
6回の裏、A高の山辺が初球をとらえて、見事バックスクリーンに飛び込むホームランを放った。
「さすが山辺だ。うちの高校が推薦で狙ってた逸材だからな」
相手チームはベンチでうなっている。
風がゴウゴウと、それでいてやさしく、葉っぱだの野花だのの香を運んでくる。
「皆さまどうですか?アイスでも食べませんか?練習試合だし、お互いに何かをぶち壊しましょうよ。ええ。確かに私たちは進学校でしょうよ。でもね先輩たちは1階の階段の所で、上方を見上げ女子のパンツを狙ってるのもいるのですよ。私は、ええ。そうです。変態とも言えましょう。女の子の臭いもの、唾だの便器に、お出しになるのにも興味があるのですから」
悠太はギターを抱えながら、アイスの入った袋を持ってB高の所へやってきた。
「それにつけても、ここからのベンチから眺める、我が高校グラウンドの美しいこと。ほうら、モンシロチョウが飛んでいる」
蝶々の動きを試合中にここまで真剣に見たことあるかしら。
B校の連中は、腹式呼吸で見入った。
深く下っ腹にキラキラとした空気を入れて、細く長くネガティブな物を排出するのである。
「ピッチャー交代」
愛子がベンチから審判に歩み寄り、そう告げた。
審判の顔は彼女の美しさに、思わずほころんだ。
ああ。いいかおり。何の匂い?
その辺で、野しょんべんでもはじめないかしら。
安藤から元バッティングピッチャーの笹島に交代となった。
球速は安藤と変わらないが素晴らしいところは、的を射るような正確なコントロールである。
ああ。なんておいしいアイスなんだろう。今までこんなにおいしく食べたことあるだろうか。ありがとう。
B高の特に控え連中が腹式呼吸をして、アイスをほうばり涙を流している者もいた。
「あなたたちの誰かが。ありがとうと言ったね。そしておそらく腹式呼吸をしているだろうよ。感謝と下っ腹で呼吸。できてるじゃん。やればできるのである」
悠太は目を輝かせて、ほめたたえた。
A高は、7回と8回は笹島に任せ9回に前田を持ってくる流れである。
「お疲れお疲れ」
B高のベンチで放屁して居づらくなった悠太は戻ってきて、安藤に声をかけた。
「緊張しました。だけど今まで経験したことのない両ベンチの雰囲気に救われました」
「野球は個人競技に見えるけど、実際には多くの変人に囲まれて取り組めていると言っても過言ではないと思うよ。野球に限らないよ。高校野球児が喫煙したり喧嘩したり、そういうのは論外だけど、みんな不完全な人同士で野球やってるんだよ。ルールと校則厳守のもとで。それさえ守れば、もっとのびのびと野球やってもいいんだよね。
俺はボールもバットも握り方知らないけど、若い女がうんこしたり唾吐いたりその研究は今のところ妄想を通して全力で取り組んでいる。
理解されない趣味かもしれないけど、好きなんだから仕方がないさ。好きなんだから、理屈なんてないよ。
ギターに関しては愛子との取り交わした約束みたいなもんがあるから、義務的にやらざるを得ないけどね」
悠太は安藤のフィードバックをしてあげている。
「まとめると、安藤。君のピッチングはすごく良かったっていうことだよ」
「ありがとう」
そう言った安藤の表情も達成感に満ちていて、疲れを感じさせないものがある。
人はフェチの数だけ強くなれるんじゃないだろうか。
一時期悠太はいじめられていて、自己嫌悪に陥り、自殺願望もあったが、今は生き生き、堂々と妄想ができている。
頼まれもしないのにカミングアウトし続けている。
そればかりではいけないから、悠太は思い出したようにギターを取り出し、また練習を始めた。
安藤が大仕事を成し遂げたので、彼は自分の課題を進めた。
「感謝しなければ。ありがとうありがとう」
この野球部も自分も奇跡を起こせるとあらためて信じた。
たまにギターおいては、ノートに自分の願望を書いて、宇宙へ願い事を届けた。




