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引き寄せ甲子園2

登場人物紹介


悠太:A高校2年生。スピリチュアル研究家・唾、脱糞研究家・シダ植物研究家・プロレス好き。

同じクラスの愛子と接近したことで、スピリチュアルに目覚め、音楽活動を通して自分の壁を壊しつつある。


愛子:A高校2年生。スピリチュアル・プロレス好き。男でも容赦なくシバき倒す運動神経を持つ。

悠太の素質に気づく。彼とのフィールドワーク(散歩)を通して、人を見守り、救う事が自分の生き甲斐だと気づく。


辰巳:50代。元A高校野球部。当時はプロに注目される程の投手だったが、家業を継ぎ、ダルマ職人になる。

悠太と愛子から刺激を受け、地域貢献活動に目覚める。A高校野球部を甲子園に出場させるため監督の座をのっとった形。


安田:A高校野球部監督。A高校野球部OBで、辰巳の後輩。辰巳に頭が上がらない。


安藤:A野球部雑用係に甘んじているが、エース級の素質を持つ。


前田:A高校野球部のエースだが、中継ぎ・クローザーの方が向いている。


坂口:A高校クリーンナップの一角を担う。

「悠太くん溝の下に落ちてしまうよ」


「シダ植物が側溝付近に生えてるもんだから」


ウソである。


さっき彼らを追い抜いていったヤンキー女が、その付近に唾を吐いたもんだから、悠太は必死に唾液を探してるのである。


「ほうれ、見たことか」


安藤が声をあげた。


悠太の足は泥の中へ。


何やってるんだろう、俺。


一応、反省はするのだな。


彼を動かしていたのは、鼻にヤンキー女の唾をぬりたくりたい、という強い気持ちである。


川沿いにふく風が彼の鼻柱にあたり、唾が乾くと、酸っぱい匂いに大興奮して、安藤を置いて、その辺りにあるトイレの個室に入り「ひとコキふたコキ」する、そんな勢いである。


「安藤、これ見てみろよ。カマキリ。いくら辰巳さんだってダルマはつくれても、生きた昆虫はつくれないだろう。この小さい身体に、あらゆる動くための組織・DNAがインストールされている。今日俺は小さな生き物に感謝して過ごすことにするよ」


「今日?もう夕方だけどね」


悠太はカマキリの長い胴体をつかんで持ち上げると、ピンとカマを振り上げ威嚇してきた。


「時間帯とか関係ないよ。感謝する気持ちが大事」


唾を諦めた悠太は、ブヨにかまれて大きく膨らんだ腕の所を、爪で押して十字をつくった。


「今俺の頭の中で、フジファブリックの、確か『若者のすべて』って曲がエンドレスで流れてるんだけど」


「聴いたことないな」


「ツタヤで借りてみてよ。良い曲だから」


「悠太君はミュージシャンだからね」


「いやいやまだまだ全然だよ。勢いで適当に弾いてるだけだから」


悠太は照れ笑いした。


2人は国道にさしかかり、横断歩道で信号待ちをしている。


今、野球部の人間と一緒にいて、見た目だけは学校のマドンナ的な愛子ともつるめてる俺。


俺イケてるわ。


信号待ちしてる俺って格好良すぎる。


少し謙虚に下を向いておこう。


「安藤くんは性格良いからさ、直球磨けば、安藤君の多彩な変化球も活きるんじゃない?」


「簡単に言うなあ」


安藤は笑いながら答えた。


「俺なんてコードとか全然知らないのに、エレキ買ったその日に、辰巳さんとこおしかけて、頼まれもしないのに勝手にライブしたんだよ」


「辰巳さんから聞いた。すごいよね。でもそれで心が動かされたって辰巳さん言ってたよ。人のハート動かすって、ミュージシャンじゃん」


「安藤君もさ、直球の質とスピード上げたら藤川球児さんみたいになれるって」


悠太は照れながらアドバイスした。


頭上でコウモリが狂った様に旋回している。


「コウモリ、ありがとうありがとう」


楽しい「散歩」である。


正直悠太は安藤といて優越感があった。


練習、スピリチュアル散歩、練習、スピリチュアル散歩、悠太は安藤のメンタル面をフォローする役割を買いたいと、愛子に提案してみよう。

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