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金魚の惑星

ご覧頂き、ありがとうございます。

「ちょっと餌あげすぎじゃない?」


ラーメン店で愛子は待っている間、店内にある水槽にエサを多めに入れてしまった様だ。


「そうだね」


彼女は深妙な顔つきで濁り始めた水槽の中で忙しく動く金魚をみている。


「お待たせしました」


ヤバいものを見られたかの様に悠太は向き直った。


愛子は彼より先に定位置に戻っていた様だ。


中年の女店員も気づいてない様子。


何度かこの店に悠太は家族と来たことがある。


美味しかった記憶がある。


愛子は足を組み直し、あぐらをかく瞬間、ブルーの下着が見えてしまった。


一瞬、彼の中で時が止まった。


数秒前の記憶をたどる。


ハミ毛、無し?シミ、無し?


時を止めて確認したい。


お金を払ってサービスを受ける時の満足。


エロ瞬間はプライスレスで至高の喜びである。


悠太は精神的に不安定な男である。


物欲が有り、自分自身にも能力等色々と足りないと思っている。


このラーメン店にテレビがあるし、癒しの水槽もあり、雑誌や漫画も置いてある。


これらの無料で受けられるサービスだけ見ても、身の回りでは既に満足が揃ってるのが分かる。


だが、余計な心配、気苦労のため、また不毛な努力により、疲労困憊していた。


ノイローゼとなり、学業の成績は落ち、人間関係もうまくいかなくなる悪循環に陥った。


また彼はストレスのせいか、屈折した性欲に支配され、毎晩毎晩少なくとも3回は1人で取り組む。


そのため、寝不足となり、日頃のパフォーマンスも落ちていた。


そんな時に彼の前にメシア、愛子があらわれた。


「ほらな。いつもと味が違う」


彼女が言う通り、麺がシコシコしてない。


チャーシューも古い味がする。


「確かに。いつものおじさんがつくるラーメンとは違うね」


今日はこの時間、おばさんが1人でつくっている。


「プロなんだからさ。せっかく美味い店でも、味にばらつきがあったら信用無くすよ。許せない」


愛子は水槽に餌を入れながら言った。


ゆっくりと麺が水槽の底に落ちていった。

ご覧頂き、ありがとうございました。

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