覚えの無い記憶
…気分が悪い、とうとう吐いてしまった。
涙目になる。なんだなんだ、この悪夢。
もう二度と見たくない、私は一歩下がる、すると何かに当たった。
後ろを振り向いた。……後ろには全身がどす黒く、人間には思えない腕、足。
化け物だ、手足が震える、化け物は私の肩に手を乗せた。
何かが吹っ切れた、化け物を突き飛ばし、一目散に廊下を駆け抜ける。
振り向くな振り向くな、ずっと走る、ただただ走った。
……どこまで走ったのか覚えていない、化け物は消えている。
乱れに乱れた息を整えようとする、だがうまくいかない。
近くにあった鏡に手を当てる、そして自分の姿を確認しようとした。
…何か嫌な感じがする。鏡に映っているのは私と、また別の化け物。
声をあげる余裕なんて無く……世界が真っ暗になった。
……気を失ったかと思ったがどうやら違うようだ、目が覚めても暗闇世界。
…さっきまで、なにがあったんだ。不思議なことに今までの事を思い出すことが出来ない。
正確には全てはボンヤリとした光景しか記憶になかった。
無かったことにしたいように、思い出すことが出来ない、思い出そうとすると頭が痛む。
…そういえば、仲間の死を思い出せない。ズキズキと頭が痛む。
あまりにもの痛さに崩れ落ちる。
なんで、なんでだ、今起こってる事全て、意味が分からない!
…とりあえず、この窮地を脱しなければ。
這いずりながら、闇の中を進む。今は歩けそうにはないから。
しばらく進んだ、いや…つもりなんだろう。だが進展はあった。
なにか…朝礼台的な物がおいてある、その上に光り。
…その上には男の人が立っている。誰だ……
男の人は私に気づいた様で、こちらを見下すように、私を見た。
「…誰…だ…」
返答はない、今更だが私の周りにも数人が倒れている。
男の人は笑った様に見えた。
なんなんだ…もう…何も考えられなくなった。
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「結花ちゃん、結花ちゃん!起きて起きて!」
「死んだら駄目だよ!起きて!!」
僕たちは結花ちゃんの後を追った、そして結果がこれ。
鏡は粉々に割れていて、結花ちゃんは気を失ってる、命に別状はなさそう。
だけど気を失う前は発狂していたし…どこか胸騒ぎがする。
「瞳美ちゃん、その…命の心配はないよ」
「あ、そうなの、死なないんだ。良かった~…でも心配だよ。
あんな結花、見たこと無い!」
幸いな事に奴らはこの階にはいない、さっきの一人だけしかいなかった。
結花ちゃんは沢山の死を見てきた…もう耐えきれなかったに違いない。
結花ちゃんが眠っている間に、瞳美ちゃんは壊れたトランシーバーをいじっていた。
トランシーバーが使えたら、彼らに頼れたのに…しょうがない、僕らで頑張ってくしかない。
そんな事を一人で決意していた、なんかちょっと悲しくなってきた。
「……ぅ…ん?」
「あ、結花!起きたんだね!良かった~!!大丈夫?」
「…あぁ、まぁ、大丈夫だ…」
「そっか、でももう少し休んでなよ」
結花が起きた、大丈夫そうでなによりだ……
…でもどこかに違和感を感じる気がする。それがただの気のせいだと良いんだけど…




