気は休まりそうにない
なんで!なんでだっ!なぜこうも早く奴らに見つかる!?
「どこか隠れる様な所はどこなのかっ!」
「ここ辺は無いわよ!」
「下に降りないと隠れることが出来そうな部屋はないな」
「ちぃっ!」
追いかけてくる奴が持っているのはナイフ。
近距離でもいけるし、技術があれば投げる事もできる!
ここ、よくよく見たら窓もないただ一直線の廊下だし
奴がナイフを投げられるとしたら、かなり危険だ!
「固まらないで散った方がいい!奴が持ってるナイフを…」
ちょっと…言うタイミング、遅かったな。
もう、奴はナイフを投げていた、しかも速い。
私は避けることができたが…
「あ、あぶねぇ…女子二人は大丈夫か!?」
「私は大丈夫だ。来ると思った。まぁ、皆無事だろ…」
「あ、あの…そこのお二人…た、助けて」
「…あ」
美夏の腕にあのナイフが刺さってる。これは、これは…
「ヤバい」
次、奴がナイフを投げてくれば…美夏という奴があの窓の背景を化すだろう。
…別に誰が死のうが私には関係ない、私はここから脱出するだけ。
「大丈夫か!?すぐそこに階段がある!俺が背負って行く!」
「…おいアホ、次のナイフでお前も…ん?」
…アホはこいつ以外にもいるのか…
奴はナイフを一本しか持ってない様だ。アホだ、とてもアホだ。
おまけにのろまだし、この距離なら…大丈夫そうだ。
私は奴に背を向けた。
「…とりあえず、下の階に行こうじゃないか」
これは、母親譲りの幸運かもしれない。幸運とか、信じる気はそんなにないが…
まぁ、良いだろう。