僕は生きていた
「…結花…?」
彼は結花という人物を探している。
もしかして、さっきの子どもの事かもしれない…
「少女なら、さっきあの扉の中に入って行ったわ。
もしかして貴方もここから脱出したい訳?」
…ヤバい、無反応だ。ただただじっと、睨まれている。
もう解雇されたから、実験体と縁を切ったつもりだけど…
…どうしよう。
「…お前はなんなんだ」
「…私は解雇されたの、だから今の私は一般人……え?名前?
阿津夏 美希よ」
(…何も…聞いてないが…)
「……と、とりあえず貴方は脱出するわけで良いわよね?
だったら、私が出口まで案内してあげるわ。これから出口に向かうから…」
「悪いけど断る。僕は結花ちゃんの居場所を聞きたかっただけだ。
それに…結花ちゃんを置いては行けない」
「…そう、それなら私はもう行くわ」
私はこの場を後にする。
…良かった、この気まずい雰囲気から抜ける事が出来た。
早く…この研究所から出て普通の生活を取り戻すんだから。
やり直すんだから、あの日からの出来事全部。
……でも…ちょっと待って。
私は立ち止まった。
…解雇されてここから出て行った人は沢山見てきた。
誰かが研究所を終わらせるために…この研究所の事を言うのではないのか?
言っているんだったら、研究所は終わってるはず。
…嫌な予感がする。このまま、普通に研究所から出たら…
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…結花ちゃんは生きている。
信用出来ないが多分、生きているのだろう…
はぁ…僕は全身ずぶ濡れ、それもそう溺れていたからね…
最初、このプールに落ちたときは何が何だか分からなかった。
…泳げると思ったけど……ダメだった。
初めてだからと言う言い訳は出来るには出来るけど、なんか恥ずかしい。
後で結花ちゃんにはパニックになっていたと言おう…
少し冷たい風が吹く…寒い、このままだったら風邪を引いてしまいそうだ。
室内に入る、替えの服がほしい所だ…いや、今のやることは結花ちゃんを探すこと。
どこにいるんだろう、懐器君達から貰った物はなくなったし…
自分の頼りにしよう。
しばらく歩いていると、ある部屋を見つけた。
その部屋は色々な服がある。
…自分の勘と言うよりも運で来たような感じだ。
とりあえず自分のサイズに合う服を探す、とりあえず着替えたい。
それにしても多いな、服の数。実験体が最初に着ていたものなんだろう…
適当に服を選び着替える。靴もあったのでついでに靴も履いてみた。
これが靴か…正直に言うと履くのは十数年ぶりだ。
…ん?何かがガサッと動いた気がする。
あの服の山からだ、部屋に入った時からあった服の山から。
少し怪しんだが服の山に近づいてみた。
すると突然、服の山から人が出てきた。
「うわああああッ?!」
あまりに急だったものだから、僕は声を上げた。今年一番の大声だと思う。
少し落ち着いてみる、冷静に、冷静に…
「えぇっと…君は…?」
「あ、うん、私?私は叶得 瞳美、えっと…驚かせてゴメンネ!!」
叶得瞳美と少女は名乗った。僕はイマイチ状況が読めなかった。




