ひたすら逃げる回
その何者かはジャックだった。
しばらくすると俺らを殺そうとした奴がどこかに行った。
…九死に一生を得る。この言葉が今の俺たちにぴったりな言葉。
ジャックはこちらの方を向いた。
「怪我をしてしまったのかい!?それは大変だ…すぐにあの階層に戻ろう」
「…ジャック、それよりも、奈子が…狂った…壊れた…」
「…奈子は大丈夫さ、それより今はあの階層に戻るのが優先だ、
戻れば安心だからね」
「…うん、分かった」
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「どこまで追って来るんだアイツは…!!」
「結花ちゃん!あの笛はどうしたの?!」
「…壊れてるんだよ」
私達は駒達と恐怖の鬼ごっこをしている。
下の階に降りたが、こいつら…しぶとい、しぶとすぎる!
荷物を漁ったが、使える物はあの笛しかない。と言うかその笛も壊れている。
逃げるしか方法はないっ。
すぐそこに部屋が見える、そこに隠れよう。
私は目で合図を送り、部屋に入り隠れる。
手に汗を握る、気づかないでくれ…心臓の音がバクバクする。
足音が遠ざかっていく…
足音が遠ざかってもしばらく隠れたまま、ジッと待つ。
…数分たってようやく隠れるのをやめる。
「あ、危なかった…」
「出ようか、この部屋から」
大丈夫だろう…私達はこの部屋から出た。
…部屋に感謝する日が来るとは、考えてなかった…
「はぁ、また階段探しか…」
「うん、まただね…なんで僕たちって階段をよく見失うんだろうね」
「さぁ…?」
そんな会話をしながら右の方を向いた。
……駒が立っている、距離はあるが駒が立っている。
駒が見えただけで反射的に走り出した。
「階段、階段はどこだろう」
「階段降りても、逃げられるかは分からないがな…」
一応階段を探す、どこだどこだ…!
駒はノコギリや斧を持って追いかけてくる。
改めて思うけど、この研究所は狂気に満ちている…!
さっきから走り続けてたせいで足が疲れてきた。
持久走の方がずっとマシだ。
「結花ちゃん大丈夫…?」
「あぁ、全然大丈夫だ…しかし隠れると言う手が効かなくなってる気がする。
…どうする…」
「…走るしか、無いんじゃ無いかな……」
命からがら走っているとある、大きな扉を見つけた。
きっと何か打開策があるかもしれない。
「…その部屋に入るつもり?」
「あぁ…一か八かだ」
私達はあの大きな扉を開けて、その部屋に入って行った。
そこは……巨大迷路だった。
「えっと、そうだね。迷路だね…戻る訳にも行けないし」
「…進むしかないようだな」
進むしかない。駒が来る前に進む。
幸いな事に他の駒はいない…そこそこ歩いた所で立ち止まる。
ここはどこだ、同じ光景がぐるぐる。
足が少し悲鳴をあげている、私は座って休む事にした。
「…疲れた……」
「そうだね、休もう…ホントに足は大丈夫?」
「休めば大丈夫だ、しかし…この迷路、出口はどこなのか…」
…同じ光景と言うか全面が鏡というかガラスというか。
なんだか目が回る。
白羽は鎌都に抱きかかえられて眠っている、まるでななしの様だ。
休んでいると、いきなり鎌都はこう言い出した。
「…なんか嫌な予感がしてくる、結花ちゃん…立てる?」
「あぁ、もう大丈夫だ。それより移動するのか?」
「うん、その通りだよ。さて…出口に向かって行こう」
鎌都の言葉で私達は出口に向かって歩き出した。




