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誘拐されたので脱出します  作者: 抹茶闇ラテ
報告書一
40/51

奇跡は…

誰かの叫びが私達の耳に届いた。


「…この叫びは…」

「行ってみるか、もしかしたら白羽達かもしれない」


私達はその叫び声が聞こえた所に向かった。

声の大きさ的にはそこそこ近い所にいるハズ…

廊下の曲がり角を曲がった先、その声の主がいた。

…白羽だ、白羽が泣き叫んでいた。

その傍らにはななしの姿が見えた。

私達は白羽に駆け寄る。


「白羽、一体何…が…」


彼が泣き叫んでいた理由が分かった。

ななしは血を流して倒れている。

鎌都は絶望的な表情でななしを抱きしめる。


「…ななし…!目を覚ましてくれよっ!!また笑顔を見せておくれよっ!!

 お願いだから…お願いだから…!」

「鎌都、助かるかもしれないんだ。手当をしよう」


私はななしの手当てをする。

きっと助かると信じて。





…結果的にななしは助からなかった。

また…大切な仲間を失ってしまったんだ…

どうしようも出来ない悲しさに打ちひしがれる。


「ななしを…守る事……出来なかったから…」

「…元々は僕のせいなんだ、白羽のせいじゃない…

 だから、そんなに気にしないで…?」


皆、泣き崩れている。責任が強いんだ…

するとトランシーバーから声が聞こえてきた。


『光乃結花、二人を助ける方法を見つけたヨ!』

「…懐器…悪いがもう、手遅れなんだよ」


私は今まで起こった事を全て話した。

もちろん、ななしが手遅れだという事を…


『…それは、ホントウ?君達と別れた後、死んでただなんテ…

 冗談って言ってほしいナ…』

「冗談じゃ無いんだ、本当の事だ…」

『それは…残念だ…その子の親も悲しむだろう…』


完全にお葬式ムードと言うやつだ。

…もう私達、脱出出来ないんじゃ無いか…?

仲間の死を見たくない、現実逃避。

そこに一人の駒がやってきた。

今の私達に抵抗なんてこれっぽっちもなかった。

駒が持ってる凶器は死神が持っているような大きな鎌。

死んだ目で駒を見上げる。睨む気なんて無くなった。

鎌を振り上げる。これで私の一生は終わってしまうんだ。

…振り下げる直前何かが起こった。

考えられない何かが起こった。

それは…


「…ななし?」


死んだはずのななしは駒に飛びついてその駒の首を絞めていた。

強く首を絞めていたので駒は倒れた。恐らく死んだらろう…

そしてななしはふらふらの足取りでこちらに向かった。

倒れそうになったのを鎌都は優しく受け止めた。


「…おにーちゃん…守れたよ…命……守れた…」

「…ななし…」

「おにーちゃん…諦めたら…ダメだよ…約束、お願い…」

「うん、約束する。もう諦めないよ…!」

「よかった…絶対、だからね……おにーちゃん…」


ななしはニコって笑ってこう言った。


「おにーちゃん…大好き…」


それが最期の言葉。ななしが言った、最期の言葉。

本当に死んでしまったんだ。鎌都の腕の中で冷たくなっていく。

鎌都は大粒の涙を零す。そして優しくななしの頭を撫でながらこう言った。


「僕も、大好きだよ…」

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