彼は後悔する
「…ジャック、それは本当か」
『あぁ、そうさ。私に偽りは無いよ』
…これじゃあ最悪手遅れじゃ無いか!
「ジャック、なんで言うのが遅れたんだ」
『どうやら、トランシーバーが不具合を起こしててね…
彼に直して貰ったんだ』
「…そうか」
「結花ちゃん、今なんの話をしているの?」
「…あぁ…そうだな…」
あの手遅れだろう事実を伝えておいた方が良いのだろうか。
…だが、話さない事には始まらない。意を決して話すしか無い。
「…さっき二人が入っていった隙間は本当に危険な所だったって言う話を聞いたんだ」
「…え?」
一瞬、鎌都は固まった。…それは、そうだろう。
鎌都は崩れ落ちた。涙が出ているレベルだ。
「嘘だ…嘘だと言ってよ…アイツが嘘を言ってるんでしょ…?」
「残念だが本当だ…」
『ジ、ジャックさんの言うとおり、なんです…』
トランシーバーから奈子の声が聞こえた。
奈子もそこにいたのか…
「…ななし達…帰ってきて無いじゃ無いか…僕は、僕は……!」
「落ち着け鎌都。二人を助ける方法を探すぞ」
『た、助ける方法ですね、ちょっと待っててください…!』
『鎌都!くよくよしてちゃダメだよヨ!助かるのも助からなくなるヨ!』
「とりあえず、私達もなんとかしてみる」
…相当、危険な所。ななし達が無事だと良いんだが…
~~~~~~~~
きっとこの先、いい物があるに違いない。
そう胸を弾ませながらアスレチックの先に行く。
重たい扉をゆっくり開ける。
なんか異臭がする、酷い臭いに私達は鼻をつまむ。
「なにここ…」
扉を開け、中を確認した。私はうろたえてしまった、衝撃的だった。
うえぇ…とても気持ち悪い。
…アスレチックの先には、死体がたくさん。新しい者や腐ってる者がいる。
気持ち悪いけど、死体をよく見る…全部死体には臓器が無い。
白羽は死体を見て、涙を流している。
「…し、白羽…ねぇ、もう戻ろ…?」
先は行き止まり、戻るしかなかった。
「うん、そうだね…戻ろう…」
私達は少し重たい足取りで、扉に向かう。
早く戻らないとおにーちゃん達は心配するだろう…
扉の前まで来る、その時だった。
重たいあの扉が閉まった。扉を叩いたり、押したり、引っ張ったりしても
びくともしない。
「ど、どうしよう。僕たち閉じ込められたんだ…」
「…ねぇ。なんか後ろ…嫌な予感がする」
白羽は後ろを振り向く。後ろで何かが動いている音がする。
機械の音、迫ってきてる。
「逃げないと…」
本能が「逃げろ」って言ってる。
だけど扉は開かない、何かは迫ってきている。
「ちょっと待って、さっき行き止まりだと思ったの…
何かだったんだ。ほら、何かの先に扉が見える」
「…ホントだ。もしかしたら逃げれるね…」
だが、その何かはもう私達の目の前まで来た。
私はその何かを正確に捉えた。これは、死体処理の機械だ。
チェンソーとか物騒な物が取り付けてある。
「…行こう、僕らだったら逃げれる」
私は白羽の後についていった。
……すると、なにか突然、腹部に強い痛みが…
痛い、痛い。血が…機械の…せい。
「ななし!?大丈夫!?」
「白、羽…逃げ…て…」
「…僕はななしを置いて逃げられないよ。
ななし、諦めちゃダメだよ!」
私は、言葉を言う気力がなかった。
白羽に背負われてあの扉に向かう…
幸いな事にあの機械は前にしか進まなかった。
…もうここら辺から意識はなかった。
~~~~~~~~
やっと扉にたどり着いた。
ななし、もうすぐ助かるよ…その想いで僕は扉を開ける。
やっぱり扉は重い、ゆっくり、少しずつ扉を開ける。
光が見える、僕は扉を完全に開けその先に行く…
出た先はよく見る廊下だった。
「ななし、廊下だよ。戻って来れたんだよ。…ななし?…ななし?」
…時すでに遅し…
…僕、ななしを…ななしを守る事が出来なかった…
僕は泣き叫んだ。




