反逆の駒
「…あー…結花?固まってるけど大丈夫?」
「柊、説明した方が早いよ」
「…その様だね、少し長くなるけど話そう」
「説明してくれ…」
訳が分からないので説明を聞くことにした。
奈子と懐器はそのジャックに怯えているのか、私を盾にしている。
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「…脱出の手伝い?どういう事だ?」
「そのままさ。例えば…この階層の部下達の動きを止めよう」
「信用できない、さっきの出来事で余計にね」
相手は敵だ、信用なんて出来るはずがない。鎌都は彼を睨んでいる。
ジャックは困った顔をする。
「やっぱり信用はしないようだね。…あぁそうだ、契約でもしよう」
「契約?どんな内容なんだ?」
「そうだね、まずは裏切りはしない事だね。
…そしてお互いの情報を共有し合おう。私はその二つで十分だが
君達が追加したい事があれば、追加してもいい」
「…ある程度脱出に使えそうな物を渡す事を追加だ。
それなら契約をしよう」
「あぁ、良いよ。契約成立だ」
ジャックはどこからか持ってきた契約書にサインをするように促す。準備がいいな…
鎌都は未だにジャックを信じていない様だが、僕は契約書にサインをした。
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「…と言う事だよ結花ちゃん。奴の事が信じられる?」
契約か、また面倒な事になってきた。
契約の内容は、『裏切らない』『情報共有』『物資の受け取り』この三つか。
となると結構気になるところが見えてくる。
いろいろ聞いてみるか。
「…ジャック。いろいろ聞きたいがいいか?」
「ん?いいよ、色々聞くといい」
「さて、裏切らないと言う約束だが、一応聞く。裏切った時のペナルティはなんだ」
「ペナルティ?それは単純明快、死だ。私が裏切ったら殺してもいい」
「そうか、それじゃあ次。情報共有はどこまでする?」
「情報共有の範囲は君達の好きでかまわない。私はなるべく情報を出そう」
裏切ったら死、情報提示は私達の自由…契約に関してはこれぐらいでいいか。
…後は、一番気になる事でも聞くとしよう。
「…一番気になる事を聞く。
ジャック、お前はなにか裏があって手伝っているんじゃないか?」
「なんでそんな事を聞くのかい?」
「色々聞いていいと言っていたから、今その色々の一つを聞こうしてるだけだ」
「…はぁ…しょうが無い。噂以上だ、ラッキーガール」
やっぱり、なにか裏があった。…それにしてもラッキーガールか…聞きたくない二つ名だ。
「…君の言うとおり、私が脱出の手伝いをするには裏がある。
それの裏はここの子どもたちを生かす事さ。
君達が逃げればこの研究所が明るみになる、そしたら子どもを生かせる。
それが裏さ」
子どもを生かす…確かに、私達が脱出さえすれば他の人も助かる。
だが、なぜ非情な駒がそんな事をしようとしたのか…
「…なぜ子を生かそうとするんだ?」
「私は、元々誘拐された我が子を救う為にここの職員になったんだ。
それでも、どうしようも出来なかった」
「…だから私達に任せようと…」
「…そう、君達の活躍で救われるからね」
その事が本当かは分からないが、一応信じてみる事にした、反逆の駒として。
だが、それが偽りだったらその時。




