脱出に使える奴ら
私は身構えた。
入ってきたのは少年少女四人。
皆、どこかしら包帯を巻いている。彼らを見た限りだと待つだけでは
無事に帰る事は出来なさそうだ。
そんな事を考えていた時だった、一人の少年が私に声をかけてきた。
「君は誰?」
…聞くなら先に名乗ってほしいものだ。
「光乃結花。小4だ。お前は誰だ」
「僕は立花柊。君も誘拐されたんだね」
「疑問だが…なぜお前らは包帯を巻いている。それにお前は片腕もないじゃないか
良かったら教えてくれないか」
こいつらは何かここの事を少なからず知っているだろう。
「あ、うん、いいよ教えてあげる。
まず、ここは…研究所って所かな。その研究所は…僕たちを使って…
人体実験をしているんだ…だから皆、どこかしら包帯を巻いているんだ
僕はその実験で片腕を無くしたんだ」
「…なら何故ここから出ない?」
その答えには部屋の隅にいる少女が答えた
「こ、ここからは逃げ出せないよ…逃げだそうとしたら…あの窓の向こうの…
あの人たちみたいに…」
「なるほど…」
「ちなみに私は、斉藤想そして私の隣は美夏ちゃん」
「よろしく。想とは仲が良いのよ」
「俺は深川広太、力には自信がある」
なるほど…脱出が難しい事が分かった。だが…こいつらは
使える。
私はあることを持ちかけてみた。
「このまま実験で死ぬか、脱出して平凡な生活を手に入れるか、どっちがいい」