トラウマというやつ
「足音が、だだっ、だんだんコッチのほうに」
「…この部屋の方に来ているから隠れていてもだめかもね」
だんだん足音が近づいてくる、何もしなければさっき奈子が言ってたとおり
捕まってしまう。
隠れてもだめとなると、今のうちに走り抜けた方が良いんだろう。
「…早く逃げようよ、早くしないと研究所の人が来るよ!」
「そうだね、今は逃げるしかないね。皆、行こうよ」
皆は、この部屋を走って出た、すぐに後ろを振り向くとやっぱり駒がいた。
一人だが、やっぱり凶器を持っている、クロスボウの様だ。
…これはかなり遠くまで逃げなければいけない。
駒はクロスボウを撃つ。
ギリギリで避ける、あと数センチずれてたら…今はそんな事を考えてはいけない。
走っていると、分かれ道が見えてきた。
「分かれ道がある、結花…ここは二手に分かれよう」
と、柊は私にそう言った。
「あぁ、分かった。私は右の方に行く」
「それじゃあ、僕は左。皆!二手に分かれて!」
その言葉に反応し、うまい具合に分かれた。
分かれてしばらく逃げたが、駒が追ってくる気配はなかった。
諦めたのか、それとも柊達の方を追ったのか。
「た、助かりました…」
「…まぁ、助けたつもりはないけど、
それに二手にわかれるアイデアは柊が言った事だ」
「それなら、柊さんにお礼を言わないとですね」
因みに柊の方にはななしと鎌都がいる。
こちら側は奈子と懐器がいる。
奈子は安心した様子だが、懐器は不安そうな表情をしている。
さっきとは、彼の様子が全然違うのは分かる。
「…懐器の様子が違うが、なにかあったのか?」
「あ、あの、それはですね。
その…懐器は奴らにトラウマを持っているんです…
この階層の実験のせいで…ついでになんかおかしくなっちゃって…」
奈子は泣きながら言う。
「…なるほど…どんな…実験をやる階層…なんだ?」
「えっと、ここの階層は…その、精神系の実験…なんです」
精神系の実験、名前を聞いただけでぞっとする。
そりゃあ…懐器はこうなるかもしれない。
懐器の方をなんとなく見る、凄いニコニコしている。
「ごめんネ、ちょーっとだケ取り乱したネ…うんうん、さっきは危なかっタ」
「…ねぇ懐器。二手に分かれるんだったら、アレを渡しておいた方が良かったね」
「ア、そうだったネ。ちょっと遅かったけド…光乃結花、これをあげル」
…と言って、懐器から何かを貰った。
四角い箱のような物、アンテナらしきものやスピーカーがある。
「…これは?」
「よく聞いてくれたネ光乃結花!これはトランシーバーサ!」
「どれぐらいの距離まで通じるかわからないけど、持っていて損はないと思います…」
これが、トランシーバー。よく作れたなと思う。
…にしてもこんな物が使えるのか。
「…今、使えるのかって思ってたでしョ?だったらトランシーバーに声を当ててみてヨ!」
「…じゃあ…あー…」
懐器の手にはもう一つのトランシーバーを持っている。
とりあえず、声を当ててみる。
するともう一つのトランシーバーから、私の声が聞こえてきた。
…本当に機能している、作った懐器は凄い。
「ほら!使えるでしョ!」
「…本当だ、凄いな…だけど、なんで早く渡さなかったんだ…」
「あはは…渡すタイミングがなくてネ…」
…今、分かれている中。これの活躍はあまりないだろう…




