もう一つ
…人は見た目で全てをきめてはいけない。
そんな言葉を今思い出す。
「…と言っても正確には違うんだヨ」
「正確には違う?どういう事?」
「ええっっと、あの、私達。一応脱出しようとしてるけど、その。
もう一つ目的があって、それで、その…」
「そのもう一つの目的は『この悪夢をぶっ壊す』事なんダ」
結構な予想外が来た。壊すだなんて出来ないと思うが…
「…なんで壊そうと?」
「あの、こ、ここにいる実験体を助けるには…こうした方が一番だと、思って」
…実験体を助ける…とても無謀な目的だ。
「なるほど…と言うことは君たちが持っている物はここを壊すために使うの?」
「そう!これは材料で、この材料でいろいろな物を作るって訳サ。
例えば…このバッグとかネ」
「へぇ、凄い!」
ななしは興味を持っているようだ。
まだ五歳児。何か作れるだけでも凄いと思うのだろう。
「…一つ聞く、研究所を壊すアイテムはどんなやつなんだ」
「ハハ、良いことを聞いたネ!それは…それは…
…えーっと…それハだね…」
「…それは?」
「それは…あの…これを見てネ」
といって懐器は一枚の紙切れを渡す。
…とても字が読めない、記号みたいだ。絵が描いてあるがそれがなんなのか全く分からない。
設計図なのは確かなんだが…ホントにこれはなんだ。
「えっと、これ、爆弾の設計図です。こう見えて…」
「とびっきりの威力の爆弾を作るのサ!」
一応彼らは私より年上だが、なんか子供じみてる発言だ。
…第一。彼らはこんな物を作り上げることが出来るのか。
「…馬鹿馬鹿しい…そんな物、作れる訳ない」
「ふぅん。やっぱそう思うよネ。…あのサ光乃結花。
君は脱出の可能性を持っているから脱出しようとしているって事でいいよネ?
それは俺らが研究所を破壊するのと同じダ。
俺らは君と同じ可能性を持ってやっていル、後は分かるよネ?」
…こんな事言われたらぐうの音も出ない。
懐器の目は真剣だ。
「…馬鹿馬鹿しいと言って悪かった。懐器の言うとおりだ」
「結花が折れた…」
「なんかごめんネ!そこまで責めたつもりじゃないんダ…」
「いや、大丈夫だ、正論を言われただけだから」
「そっか、あ!そうだ光乃結花。お互いの目的を達成出来る様に協力しようヨ!」
そう言って、懐器は手を差しのばす。
これは握手をしろという意味なのだろう。
…彼らは目的を達成させるために協力が必要なのだろう。
私はそれを拒否する気はなかった。
「あぁ、協力しよう。そしてお互いの目的を達成しようじゃないか」
「良かった…ありがとうございますぅ…!」
私は懐器と強く握手を交わした。
それと同時に彼らと和解することが出来た。
…そんな中、ななしがなにかを感じ取った。
「ねぇ、おにーちゃん達。なんか誰かの気配を感じる…」
「…どういう事?」
鎌都は耳をすます。するとなにか聞こえた様だ。
「…もしかしたら、研究所の人かもしれない…さっきの声が聞こえてたら
この部屋に来るかもしれない…」
それを言った途端、二人の顔が青ざめる。
「ここ、ここの階層の人たちはっ、き、危険なんです、つつ、捕まったら…
特に、懐器は…」
「嫌ダ…嫌だヨ…逃げないト…」
懐器は膝をガタガタと震わせている、そうとう駒に何かあったのだろうか…
だが、まずは逃げなければ…




