狂気な五歳児
・・・
私はゆっくりと目を開ける。
さっきの所ではないことは確かだが、あの世ではない。
血の臭いがツンとする。
手や足を動かしてみる…異常は無いようだ。
私は起き上がる。
ナイフで殺されたかと思ったが、そうではないらしい。
捕まったにしてもどこかが変だ。
「やぁ、お目覚め?」
この部屋の物陰から何者かが、私の目の前に現れる。
さっきの言動の割には小さい人物だ。
五歳児くらいだろう…
ボサボサのショートヘア、目の周りには包帯が巻かれている。
…包帯の隙間から見える目が怪しい赤色だ…
私は身構える。奴の駒かもしれない。油断してはいけない。
「まぁまぁ、そんなに警戒しないでよぅ」
「…お前は奴の駒か」
直球で聞く。ここには怪しい奴らしかいない。
五歳児の子どもはすぐにこう答えた。
「ううん。違うよ。私も君と同じ、実験体。
でも実験体でも私は特別なのさ」
「…特別とはどういう事だ」
「いいよ、答えてあげよう」
こいつはかなりの上から目線だ、年はこちらの方が上だが…
そのことはいい。今は情報を聞き出すことに専念する。
「今言ったけど、私は特別。
例えば…この部屋から自由に出入り出来ること。
条件付きでね…」
子どもは私を見て
「…もっと知りたそうな顔してる。
しょうがないな、私が知ってること大体教えてあげる。
まず出入りできる条件は至って簡単。
同じ実験体に危害を加えないこと、それだけ。
だから、殺されそうになった君を助けたんだ、感謝してよね」
信じがたいが、この子どもが私の事を助けたらしい。
感謝してよね…か、ウザい。
しばらく、子どもはここについての話をしたが、ほとんど意味が分からない。
「えっと、まだ話してないのは…この階の階段かな。
ここの階段はロックらしき物がかかってる。
まぁ、鍵が必要って事は分かるよね。
その鍵を探し出す必要は…ないよ」
「…ない?鍵を持っているのか」
「そう、その通り。だけど、簡単に渡すつもりはないよ。
鍵を渡したら私が殺されちゃう」
やっぱり、そうだろう。物事は簡単にはいかない。
「…条件はなんだ」
「条件はたったの二つさ。そんなに難しい事じゃないと思うけど。
一つは、『私を連れて行くこと』
そして二つ目は『双子の妹に会わせる事』上の階に居るよ。
ちなみに、私を連れて行く前に妹に会わせてね」
「…要は先に妹に会わせればいいと」
「そういう事さ、私はここで待っているからね。
よろしくね」
押しつけられた様な気がしたが鍵を入手する為にはしょうがない。
「…そういえば、お前の名前はなんだ」
「…ないから、ななし。ななしって呼んでね」
「…あっそう。少し待っていろ」
私はこの血の臭いがする部屋からでた。
次、奴の駒にナイフを振り上げられたらおしまいだ。
…奴に気をつけて、早く妹やらを探そう。
一秒でも早く。




