19、仕入れの旅
こっそり投稿
そこは痩せた土地が広がる農村だった。
「おおっ。今日は大当たりだな」
「そうですね。これは当たりです」
「・・・・私にはいつものゴミにしか見えないけど・・」
我が家に落ちてきた勇者セセリィミント。
そのパートナーである悲劇の聖女を助ける為に馬車に乗って国を出た。
名目上は商人として仕入れに出かけるというものだ。
予定では乗ってきた馬車を途中の農家か宿に有料で預けていくはずだった。
しかし道中の農村は殆どが廃村。
当然ながら当初の予定は大幅に修正せざる負えない。
廃村となった理由は様々だろう。
治安の悪化で盗賊に襲われた村。
あるいはまものに蹂躙された村。
ほかにも軍隊が立ち寄った際に食料など全ての物資を略奪したなどなど。
治安を守るはずの領主や貴族階級の者たちが国盗り合戦に夢中なのだ。
無理もないだろう。
ただし、例外的に違う理由も存在する。
で、今は立ち寄った廃村で休憩している訳だが、気楽モードの俺とシリアは日課となっているゴミ召喚スキルを検証している。
決して遊んでいるわけではない。(自己評価発言)
今回出たのは分別ゴミ、それもペットポトル。すばらしい
そう。言うまでも無いが これはこちらの世界では手に入らないはずのお宝なのだ。
しかも、その中には5リットルサイズの焼酎のそれが二つも有る。
これがどれほど価値の有るものか、旅をする者たちには計り知れない。
いわゆるアイテム袋などの高価な魔道具を持っていない商人ならなおのことだろう。
出国理由が「仕入れをするため」として出て来たので手ぶらで帰ってはスパイと疑われても不思議では無い。
ところが、途中の村々は廃村。この先の村や町も当てにならないため仕入れの偽装も出来ない。
そこに出て来たのがこのペットボトル。
これだけでも利益が出るので役人たちも納得させられる・・・・かも。
俺やシリアのアイテムボックスには膨大な品物が有る。
だがこの品々は城の宝物庫に有った高価なものばかりなので偽装に使えない。
逆に大騒ぎになるからね。
お酒で懲りたよ。
無邪気に喜ぶ俺たちを見て子供姿の転生者アイちゃんは「やれやれ・・」という呆れた雰囲気だし、
「こんなことをしている時間など無いのに・・」と勇者は白い目で見ている。
心配しなくてもそろそろ動きが有るはずだ。
国を出てからずっと監視されていたから俺たちの動きは相手に筒抜けだ。
ただの荷馬車ならそこまで警戒しないだろうけど護衛として勇者が付き従っている。
それも自分たちが兵力として送り出した一人なのだ。
「‼おっおい、あれ」
勇者が焦った声を出すので見てみると街道を騎馬隊が向かってきていた。
「へぇー、思ったより盛大なお出迎えだな」
「総勢200名ほどです」
「勝てるのか?私はまだレベルが低いので当てにならないぞ」
「戦えば勝てるさ。シリア一人ですぐに火葬まで終わるだろう。けど、その必要も無いだろうね」
予想通り騎馬隊は100メートルほどの距離を置いて停止し使者が一騎近づいてくる。




