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これが現実さ

以前から構想を練っていたのですが急に書きたくなって投稿します。

二つ目の連載ですが完結させるつもりです。

これまたクセの強い作品なのでお付き合いいただける方には感謝です。

「困るんだよね、田中君」


「自分は先方に書類を届けに行っただけですが」


「口答えをするのかね。最近の若い者は、ったく」


目の前で喚いているのは営業部の係長。

何故かその後ろには課長まで不機嫌な顔で立っている。


俺の勤める会社はギリギリ黒に近いダークな企業だ。

しかしながら 三流大学出の俺が就職できる会社としては良い部類だと言えるのが悲しい。

ただし、何のコネも学歴も無い社員は過酷な立場でもある。

それがまさに今の状況だ。


先日一人の若い社員が取引先で問題を起こした。

自分がミスをして相手に多大な迷惑をかけたにも関わらず謝るどころかふて腐れて帰ってしまったらしい。

当然ながら顧客はゲキオコで正式に取引を他社に変えてしまった。

大手の取引先を失った営業部は大騒ぎである。


その引き金となったバカな若造こそ実質的な会社のオーナーの孫である野田哲夫だ。

そして、今現在 奴の失敗の責任を擦り付けられている自分は田中大二郎、25歳独身。


昨日 海外出張から帰った直後に緊急だと言われて書類配達を仰せつかった。

そんなゴタゴタがあったなど知らない自分が得意先の受付で名乗ると直ぐに警備員が来て追い出された。

事情を知った後でさもありなんと思ったものだ。

殴られなかっただけ幸運だと思う。


さて、自社に帰って直ぐに呼び出しを受けた。

先方が俺の態度にカンカンだと言うのだ。

態度も何も面会すらしていない。


「君は我社に多大な損害を与えた。クビだ、明日から来なくてよろしい」


散々休み無く危険な国ばかりに海外出張させて、帰った途端クビですか。ほーーーう。

少し離れたデスクでは元凶であるはずの野田哲夫がニタニタと口元を歪ませてこちらを見ている。

そう言えばこの男、入社した時の態度が悪すぎて俺に注意された事を根に持ってたな。


クビか・・まぁいいさ。

このまま働いていても好きな事も殆ど出来ない。

給料の多くを眠るためだけに有るようなアパートの賃貸に取られ、時間が無いから高く付いても外食するしかなく、「まだ結婚出来ないのか」と嫌味を言われる。

うんざりだ。


今度はゲームの時間を作れる仕事でも探すか。

そう言えば、こんな最悪の日だけど良い事も有った。

途中で立ち寄った顧客のゲーム会社のスタッフからシリアルナンバーをいただいた。

新しいオンラインゲームのURキャラらしい。

最高に嬉しくてナンバーを暗記してしまったほどた。

しばらくはゲームでもして気晴らししますか。


正式に解雇され

有る意味 晴れ晴れとした気分で出口に向かう。


そして、ドアのノブに手をかけた時 オフィス全体が光り輝いた。






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