お安い御用
枯れ木のように痩せた男は旅の催眠術師に「植物を人間のように出来ないか」と尋ねた。
「お安い御用さ」
催眠術師が植木に向かってコインを振り子のように動かし、「人間になれ」と唱えた。
するとたちまち根や枝が形を変え、すっかり人間のような姿になった。
「ありがとうございます」
男は感謝の印に幾らかの金を渡した。
一年後に再び同じ街に訪れた催眠術師は、葉が落ち枯れ木のようになった植木人間に呼び止められた。
「あの人間を植物のように変える事は出来ますか」
植木人間はそう言ってある男を指差した。
「お安い御用さ」
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