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無邪気なこども

作者: 有屋 春

 

 私の親はよく、人が嫌がることを率先して行える人間になりなさいと私に言い聞かせていた。


 私はなんでそんなことする必要があるのか分からなかったけど、大好きな親の言うことなので真面目に取り組んでいた。


 こういうのは幸せな人よりも不幸せな人を対象にした方がいいかなとなんとなく思ったのでそういう子に対してよく行動した。


 一緒に行動してくれた友達もいれば、そんなことしなくてもいいじゃんと不快そうに言う子もいた。


 私は自分がしていることが本当に良いことなのか自信がもてなくて、でも間違っていたら怖くて親に相談できずにいた。


 それでもたまに親から私の言いつけは守っているかと聞かれるので守ってるよと答え、答えているからには行動を辞めれなかった。


 ある日、珍しく1人で下校していると帰り道でよく率先して相手をしている子に会った。


 彼女は私に、どうして私なの?と急に聞いてきた。


 たぶん、私の行動のことだろう。

 不幸せそうだったからなどと言うのもなと思ったので、特に理由はないと答えた。


 彼女は悲しそうな諦めたような顔で一言だけ、そう、と答えた。


 そんな顔をしているから不幸せそうに見えるんだよ。

 そんなことを思っていると彼女が私の後ろをじっと見ていた。


 何かと思って見ると大型トラックがかなりのスピードで走っていた。

 別に珍しくもなんともない。

 私たちは歩道にいるし危なくもないだろう。


 なんでそんなものをじっと見ていたんだと思いながらトラックが近づいてくるのを見ていると


 急にトンっと体を押された。

 ちょうどトラックが私たちの横を通る瞬間に。


 私は当たり前のようにトラックの前に出てしまう。


 トラックに轢かれる瞬間、私はどうしてこうなったんだろうと思った。

 

 私の親は間違っていたんだろうか。


 それとも、人が嫌がることを率先して行える人間になりなさいと言っていたあの言葉は私の考えとは違ったんだろうか。

 

 私はここ最近、ずっと彼女にしてきたことを思った。

 

 人が嫌がる


 いじめを率先して彼女にしてきたことを。


 終



 


 


 


 読んでいただきありがとうございます。

 言葉って難しいですよね。

 特に子供に説明するのは大変です。

 でも、子供が理解できるように説明できなければその言葉を理解しているとは言えないのかなと。

 

 この作品はエンディングにかなり悩みました。


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