逆ギレのラーメン
「うう……どれにしよう。もう時間だわ……」
聖痕十文字学園中等部二年、炎浄院エナが自室で呻いていた。
下着姿でベッドに腰かけ、ツインテールを掻き毟るエナ。
眼鏡の奥でキョドついた彼女の視線の先にあるのは、床に散らばった着衣の一式。
今夜はクラスメート宅でのハロウィンパーティ。
BFの時城コータと一緒に、仮装して参加する手はずなのだ。
無難に「魔女っ娘」か「パンプキン」コスあたりにしておこうか。
……いやでも、もっとこう……エナは頬を赤らめ煩悶する。
その時、ピンポーン。階下のチャイムが鳴った。
「しまった時間だ、コータくん!」
約束の時間だ。時城コータが迎えに来た。
ドキン。エナの胸が高鳴る。
グラリ。エナの理性が揺らいだ。
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玄関口でガチャリ、エナは深呼吸をしながら、おずおずとドアノブに手をかけた。
そして……
「コータくん。ハッピーハロウィン! だニャン!」
ドアを開け放し玄関先に立つ人物の前で、勝負服ミニスカ猫耳メイドに扮したエナは、思い切り甘えた声でニャンニャンポーズをとったのである。
だが……!
「あえ、エナちゃん?」
そこに居たのはコータではなかった。
「な……冥条さん、なんでここに!」
「なんでって、コーちゃんが風邪で行けなくなったから、買い物ついでに迎えにきたん……だけど……!?!?」
燃え立つ紅髪を震わせて、茫然とした貌でエナを見つめている女子は、クラスメートの冥条琉詩葉。
今夜のパーティの主催者だった。
「ほほおおお~~。そういうことかいエナちゃん……! コーちゃんの前ではそういうマネをぉ!」
普段は四角四面で口うるさいクラス委員長のメイド姿を前にして、琉詩葉の満面に見る見る意地悪な笑みが広がって行った。
「ちょっ! 待って、今、着替えるから!」
「いいって、いいって、この格好でおいでよエナちゃん!」
「ぎゃー、やめなさい冥条さん!」
嫌がるエナを無理矢理引っ張り出して、琉詩葉が彼女の体を自家用リムジンに押し込んだ。
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学校では清楚なお嬢様&真面目なクラス委員長のイメージを堅持していたエナの姿は、パーティに来たクラスメート全員のド肝を抜き、エナは恥ずかしさに唇をプルプルさせながら、パーティの壁の花になるしかなかった。
翌週ようやく風邪が治って学校にやって来たコータは放課後、逆切れしたエナのラーメンやけ食い行脚に無理矢理つき合わされて、再び食べ過ぎでブッ倒れることになるのだった。
お題:
主人公は部屋の中で焦りの表情を浮かべていた! 頻りに時間を気にする! 時に頭を掻き毟った!
しかし、行動には起こさない! うろたえるだけで時間が過ぎ去り、間もなくチャイムが鳴らされた!
誰が来たのか! その後、主人公はどうなるのか! 運命は個々の作者の手に委ねられた!
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