レモン
今日帰ると。
机の上に、二つのレモンがあった。
ひとつは、黄色いレモン。
ひとつは、緑のレモン。
二つのレモンの真ん中に。
冷えたコーラを、置いてみた。
どちらのレモンが似合うだろう。
色でいうと、黄色いレモン。
入れたことのないのは、緑のレモン。
どっちのレモンが、好きだろう。
黄色と緑。
コーラはどっちと一緒に、いたいだろうか。
考えすぎて、悩みすぎて。
コーラが汗をかいてきた。
レモンの気持ちは、どこにもなくて。
コーラが一人で悩んでいて。
きっと、晩御飯は空揚げかな。
そんなことを思いながら。
僕はコーラを取って。
一息に飲み干して、ため息。
冷たいな。
汗に触ったレモンが、言った。
甘酸っぱい思い出なんて、綺麗なものにはならないよ。
ほら、パクって食べられちゃうんだ。
そしたらやっぱり、違う部屋に行っちゃうんでしょう?
ずっとそばにいてよ。




