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電車─7/18/AM

 「……どうぞ」


 僕は、ダイニングの椅子座っているひなたの前にそっとお茶を差し出す。


 「ありがとう」


 お礼は言ったものの飲む気配はない。


 僕もすごすごとひなたの向かい側に座る。


 なんで自分の家でこんなビクビクしなきゃいけないんだろう。


 「なんで今日学校サボったの」


 ひなたは僕が座るのを待っていたように口を開く。語尾があがってないから疑問文なのに、全く疑問系に聞こえない。質問と言うより詰問みたいだ。


 「別にさぼったってわけじゃぁ…」


 「じゃあサボってないの」


 はい、サボりました。でも、なんで僕は親でもないただの幼なじみ──いや、ただのではないけど、に学校をサボったことを怒られているんだろう。いや、まずそもそも、なんでひなたは僕がサボったことを怒っているんだ?


 「えっと……ひなたはなんで怒ってるの?」


 解らないことは直接聞いてみるのが早い。僕は恐る恐る質問してみる。


 ひなたのこめかみあたりがピクッと動いたような気がした。気がしただけであってほしいな。


 「……怒ってるわけじゃない。ただイライラしてるだけよ」


 ……それを世間的には怒ってるって言うんじゃないだろうか。怖いからつっこむことはしないけど。


 「じゃあ、なんで…その、イライラしてるの?」


 「あんたが学校サボったからよ」


 こっちは間髪入れずに即答してきた。だから、どうして僕がサボったら君が怒るのかを聞きたいんだけど、これ以上質問する勇気は僕にはない。


 いや、実を言うと、怒っている理由は想像できるんだけど……。その理由だとひどく自分勝手と言うか自意識過剰なので僕は言いたくない。ここは無難に話を逸らしておこう。


 「明日から夏休み「私は昨日あんたと久しぶりに話せて嬉しかった」


 おおっと、話を逸らそうとしたら被せられた。ここは黙って聞いておいたほうが良さそうだ。


 「それに一緒に帰ろうって誘われたときはまた前みたいに戻れるのかなって思った」


 戻るも何も学校以外ではだいたい一緒だったような気がするんだけどな、とは思うが口に出せる雰囲気じゃない。


 「最後にあんた言ったよね、今言えなくてもいつでも言えるって」


 あぁーやっぱりそのことか。


 「それってこれからも話せるってことだよね? 話しかけてもいいって事だよね? もう学校でもいつもみたいに話しかけてもいいって事だよね?」


 ひなたは早口にまくしたてる。


 「私は嬉しかったんだよ? やっとこの四月から続いてる変な時間が終わるんだって思って。学校はもう終業式しかなかったけど夏休みは普通に遊べるし、新学期からは普通にできるんだって思った。それなのに……。なんでいきなり次の日から休むのよ! これじゃ私一人舞い上がってバカみたいじゃない!」


 バンッと机を叩くひなた。


 理由はだいたい僕の想像通りだった。さすがにここまで僕のことを思ってくれているとは思っていなかったけど。……だから、自分で言いたくなかったんだ。


 ひなたは真っ直ぐだと改めて思う。感情の起伏が激しくて隠せないだけかもしれないけど。


 自分の気持ちを隠さずにはっきり言うし、相手に対して理不尽に怒ったりはしない。


 そんなひなたが、ここまで怒ると言うことはやっぱり僕がそれほどの事をしたと言うことなんだけど。


 「ごめん」


 ひなたと喧嘩した時はいつも僕から謝る。だいたい悪いのが僕だからだ。そして、僕が謝るとひなたもそれ以上深く追求する事はせずに。


 「いいよ、許す」


 笑って許してくれる。怒りやすいけど、同時に冷めやすくもあるんだ。


 僕が、この血のつながった家族との絆が皆無な家でも、何とかやって行けるのはひなたのおかげなんだと思う。


 家族との絆が薄い分を、補って余りうるほどの絆がひなたとあるから、僕は今のところグレたり、家出をしたりせずにすんでいるのかもしれない。 

 

  


読んでくださってありがとうございます!

今回も無事更新できました!

小説の雰囲気がだんだん変わってきているのは気にしないでください…

作者が未熟なんです、はい。

主人公の回想で終わりましたから次話も電車に、なるとおもいます

もっと、しゃれたサブタイトルをかけたらいいのにとは思うんですけどね…


では、また次回会えることを祈って!


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