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電車─7/18/PM→AM

 今僕は電車に乗っている。


 都心から走る特急電車で、出発したばかりの頃に続いていた壁のようなビル群も、二時間も走ると緑の山々やまぶしい田んぼ、畑に変わって、空が見渡せるようになった。


 電車に乗ったとき、指定席にすればよかったと後悔した人の数も、今はだいぶ減ってきて、僕がいる車両には、僕を含めて6人位しかいない。 


 概ね悪くないスタートだと思う。終業式をさぼるのは、昨日決めたことだけど、お陰で一本早い電車に乗ることができたし、駅員さんに怪しまれることもなかった。高校の登山部か何かと思われたのかもしれない。


 今から行く最初の協力者の所に、一本早い電車で行くことを告げても、問題ないと言ってもらえた。 


 そう、家を出てから、約五時間、何も問題がない。


 …隣に幼なじみが一人眠りこけてさえいなければ。



 ──数時間前──



 「あっ」


 「えっ?」


 ひなたと僕は同時に呟いた。どっちの言葉かどっちなのかは推して知るべしだ。


 僕は、玄関を開けようとドアノブに手をかける寸前の状態で。そして、ひなたは玄関を開いた状態で。……おい、お前にインターホンを押すと言う習慣はないのか。


 いくらうちの親が僕に無関心だからって、もしかしてお前はいつもうちにチャイムを鳴らさずに入ってきていたのか?


 「あー…、でも確かにうちのチャイム鳴ったこと無いような…」


 「……変わった出迎えただね、初めて聞いたよ」


 ひなたの呆れたような言葉で、僕は姿勢をただす。


 「あぁごめんつい。……いらっしゃい」


 玄関の前からどき、日向を迎え入れる。……おい、それでいいのか、僕。


 「お、邪、魔、し、ま、す。にこ」


 言葉では笑っているのに、表情は全く動いていない。あと、お、邪、魔、し、ま、すって区切って読むとなんだか何かの呪文みたいに聞こえるね。え? そうでもない? そうか。


 「珍しいね、うちに入るときに挨拶するなんて」


 皮肉を返してみる。


 「今、初めて言ったけど?」


 皮肉で返された。今度は語尾に、にこっとはついていない。


 しかし、出会って五分も経たない内にこんなに皮肉を言われるとは。と言うか今のところ、ひなたの発言は全部皮肉だ。


 どうやら、かなりご立腹のようでございます、はい。


 「えっとー……、とりあえずリビングにくる?」


 「貴男あなたが家にきた、元恋人を家に入れたくないって言うなら、玄関ここでいいけど?」


 四回目の皮肉。しかも口調まで変わっている。貴男あなたって…。しかもわざわざ元恋人を強調してきた。やりづらいなぁ…。


 「じゃあ、えっと、どうぞ?」


 なんで、疑問系なんだよ僕。…いや、今のは疑問系でいいのか? なんだか僕は混乱しているようだ。これが小説なら、さぞ駄文が多いことだろう。


 「あら、どこかにお出かけするのではなかったの?」


 また皮肉だ。僕の格好を見て僕がどこかに出かけようとしていることを察し、そして自分が来たのだから僕が出かけることが出来るわけが無いと解った上で聞いている。口調も変にかしこまったままだ。


 だけど、いくら僕でもここまで好き勝手言われて黙っている訳には行かない。男として、ここは……………!


 「別に急ぎじゃないからね。お茶でも出すからリビングに行っといてよ」


 そそくさと、僕はキッチンに向かう。

 

 僕とひなたの力関係は、付き合っていた頃から変わらないままのようだ。めでたくない。

 


ちゃんと宣言通りに更新できた自分を誉めたい!

って当たり前なんですけどね。

とりあえず、読んでくださってありがとうございます!

先週から続けて読んでくれた人! 今週も読んでくれてありがとうございます!

次回更新は来週の日曜日です!予定です!だから、更新できるかわかりません!(おい)

では、また次回会いましょう!


幼なじみっていいよね。

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