夏休み初日─7/18/AM
今日から夏休みだ。しかし、浮かれてもいられない。僕はいきなり夏休み初日から寝坊してしまったのだ。
夏休みなのに、寝坊も何も無いだろうと思うかもしれないが、まあ、聴いてほしい。
現在、学校は終業式の真っ最中のはずだ。
僕をのぞく全校生徒は、今頃アツい体育館で、『夏休みの過ごし方』みたいなことを、校長先生からアツく語られてるはずだ。
はずだって言うのは、もちろん僕が終業式に行ってないから解らないからだ。
ここまで、聞くと終業式に寝坊して行けなかったように聞こえるかもしれない。
でも、そう言う訳じゃないんだ。
だって僕は、昨日のうちに、今日終業式をサボることを決めていたから、別に行けなかったことは大きな問題じゃない……っと思ってる。僕としては。
あと、僕は別に不良生徒って訳ではない。学校をさぼってる時点で不良って言われたら、まあそうなんだけど、別に普段から、遅刻してきたり、タバコを吸ったり、お酒を飲んだりなんて事はしていないし、したこともない。
今日終業式をサボったのは、有る計画を実行に移すためだ。
普段から放任主義の親に知られないように、受験生真っ最中の姉にバレないように、それはしなくてはならない。
さて、それは何かって言うとね。
一人旅、なんだ。
僕は、この夏休みを使って、一人でどこか、遠くに行こうと思っている。
目的地もなく、自転車や、時には電車に乗って行けるところまで行ってみよう。
夏休みの真ん中あたりで折り返し始めようとは思ってるけど、いっそのこと夏休み中に帰れなくてもいいや。
みたいな感じでね。
勘違いしないでほしいのは、これは『家出』じゃないってことだ。
説明すると、これはあくまで僕個人的な考え方なるんだけど。家出って言うのは、今の自分の家庭環境。主に親とか兄弟とかに不満がある人がしてしまう事だと思うんだ。不満の理由は様々だとしても。
でも、僕はそうじゃない。
僕の個人的な考え方を前提にして言うなら。これは家出じゃない。
旅なんだ。
旅と言うのが大げさなら、散歩でも構わない。ほぼ1ヶ月丸々使う散歩を、散歩と呼んでいいならだけど。
要は、『家出』とさえ言われなければ僕はいいんだ。思う分には構わない。僕は心は読めないからね。
僕は別に、今の家庭環境、──堅苦しいから家って呼ぶことにするね。家に不満が有る訳じゃ無いんだ。
家は大きくはなくても一戸建てだし、お小遣いは、同級生の平均より少し高いし、スマートフォンは買って貰ってるし、家族間のほぼ完全不干渉な関係もこの年になると都合がいい。自分の部屋がないって事にはこの際目を瞑ろう。
だから、多くの家出する人のように、家出しなきゃ行けないような切羽詰まった理由は、僕にはない。
僕のを家出って言ってしまったら、ホントに切羽詰まって家出をしたことのある人に失礼だ。ってまあ、そこまで思ってるわけじゃないけど。
僕はあくまで、僕自身の積極的な意志で、夏休みの間、家を出る。
だから、僕がするのは旅であり、長い散歩なのだ。