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ワールズダスト  作者: Hekuto


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第七十話 再会の獣耳

 どうもお久しぶりのHekutoです。


 最近は思うように執筆できない上に不慮の事故が重なり遅くなりましたが、無事七十話完成しましたのでどうぞお楽しみください。




『再会の獣耳』 


 とある屋台の店主が徹夜で新商品開発を行って奥さんにどつかれている頃、早朝の爽やかな空気がとある森を満たしていたが、そこには一部いつもとは異なる空気が混ざっているようだ。


「またこのパターンでござる」


「「くっ! この程度、待っていろ河童少女!」」

 その空気とは、やっとのことで暴走する二人を捕まえたゴエンモと、その目の前にロープでぐるぐると巻かれ、ミノムシの様に木から吊るされたジライダとヒゾウ達の騒がしい空気である。尚、縛られ吊るされている二人はそれでもテンションはそのまま、うねうねと体を動かし叫んでおり、ゴエンモは若干引くのだった。


「絶対失敗フラグでござる・・・先ずは情報収集からでござろう」


「何を言っている!」


「急がないと河童少女が逃げるだろ!」

 二人を落ち着かせるために正論をぶつけるゴエンモ、しかし河童少女の妄想に囚われた二人は揺れながら叫ぶ。


「大体どこにいるかも知らないでござろうに・・・」


「「は!?」」

 しかし吊るされ少しは頭の冷却が進んだのか、ゴエンモのジト目付きの正論がやっと耳に届き、驚愕の表情で固まる二人。


「最近二人ともがっつきすぎではござらんか?」

 そこで終わっておけば良かったものの、最近フラグを立てるのが上手くなってきたゴエンモは立ててはいけないフラグを立ててしまう。


「・・・・・・ふふふ」


「・・・流石は余裕だなゴエンモよ」


「ぬ!? この黒い瘴気は!?」

 この場合なんと言えばいいのだろう、嫉妬フラグとでも呼べばいいのだろうか。ゴエンモの一言に謎の黒い瘴気を漂わせはじめた二人の男は、体に力を溜めながら低い声で楽しそうな声色で話し始める。


「我と違って自分は可愛い少女といつでもいちゃこら出来るからな!?」


「こちとら日照り続きで干上がってんだよ! 目の前で見せつけやがって! 見てないけど!」


「見てないじゃないかでござる!?」

 次の瞬間、ぐるぐる巻きにされていたロープを力任せに引きちぎると、嫉妬にまみれた言葉を叫びながら跳び上がる二人。そして後退りしながらも律儀にツッコム事を止めないゴエンモ。


「問答無用! 氏ねゴエンモ!」


「ダブルコンビネーション!」


「「ジェラシーアターック!!」」

 跳び上がった二人は互いに交差し構えると、黒いオーラを纏いゴエンモへと急降下を開始する。無駄にカッコいい構えと攻撃に避ける事を忘れていたゴエンモは、


「えんびーーー!?」

 そのまま直撃を喰らう事となり悲痛な? 叫び声を上げるのであった。


 その夜、人知れず二体の嫉妬に狂った鬼が現れ一人の忍者にその鬱憤をぶつけたのだが、それを知る者は・・・いない。





「・・・・・・なんだ夢か、この世界に黒い鬼っているのだろうか?」

 どうも朝から夢見が悪いユウヒです。何でもありなこの世界なら黒い鬼も居そうですが、夢の中のあれは明らかに嫉妬に狂った目をしていたのだが何故だろう。


「まぁいいや、今日の予定はどうしようかな? しばらくまったり過ごしたいところだけど」

 夢のことをあまり気にしてもしょうがないので妙な夢は忘れる事にし、今日の予定について頭を切り替える。できればしばらく戦闘など御免なので、休養をとりつつ楽しい合成でもやることにしましょうか。


「とりあえず護符を完成させてみようかな、そういえば触媒の他に忍者らしい武器とか言ってたな」

 先ずはやり掛けでは気持ち悪いので護符触媒の改良、それから武器と言っていたので相棒の復活案考察ついで何か作ってみることに、


「忍者かぁ刀? 手裏剣? 鎖鎌? 火縄銃? ドリル? ・・・・・・ドリルねぇ」

 そう言えば言ってたなドリルって・・・何故とは聞かない、それが漢のロマンなのだから。


「あの三人ならロマン物は喜びそうだよね、お金も全然減ってないしちょっと素材買いに行こうかなぁ」

 妄想はいくらでもできそうだが、素材が無い事に触媒の改良も相棒の復活も出来ないわけで。俺は窓の外を見て天気を確認すると、ゆるりと立ち上がり散財の予感を感じながら、街に出かける準備をするのであった。





 ユウヒが自らの自制心の心配をした早朝から少し日が昇り、学園都市に朝らしい活気が出始めた頃、ここは学園都市の中心街近くにある市場。


 ここには学園都市の様々人種の者達が訪れ、それこそ様々な人種の購買意欲を満足させる場所である。食品や日用品は当然に、旅用品やお土産、果ては武具の材料に使い道の分からない発掘品に何が入ってるか分からない木箱など。


「うーやっぱたかいなぁ、うちの店にもこのくらい並べたい所なんけど」

 そんな、ここに来れば大抵のものは見つかると名高いグノー学園都市の大市場には、当然様々な種族も自由に歩いている。その中に一人キツネ耳の女性がなにやら難しそうな顔をしながら武器卸店の商品と値札を睨み歩いていた。


「あっと言わせるインパクトも欲しいとこなんだけど・・・それなら研究所系の店探すかな?」

 ぶつぶつと独り言を呟きながら歩く姿は、どうも周りをよく見ていないのかフラフラと危なっかしく、商店の店員に心配される声も自慢の耳には届いていないようだ。


「でもあそこは安全面に不安あるしなぁ」

 市場とは人の多い場所である。当然そんな場所でそんな風に歩いていれば、とある棒にも、


「うーん・・・わぷ!?」

 ぶつかると言うもの・・・。


「おっと? 大丈夫・・・おや?」


「い、いえ! こちこそ前見てなくて・・・あれ?」

 そんなキツネ耳女性がぶつかった棒とは、そうユウヒである。背中に軽い衝撃を受けたユウヒは、後ろを振り向き自分の視線より少し低い位置にある獣耳を見ながら声をかけるも、その耳に見覚えがあったのか首を傾げる。それはユウヒの顔を慌てて見上げた女性も同じだったようでお互いに首を傾げ固まる二人。


「おー久しぶり、覚えてるか知らんが」


「覚えてるに決まってるやろ! 魔法槍のにいちゃん! うちのこと覚えと?」

 それは、ユウヒが今は亡き相棒と出会うことになった店の店主であるキツネ耳店員であったのだ。その事を思い出したユウヒが、少し驚きながらも挨拶を交わすと、こちらも忘れてい無かった様で少し訛りのある言葉で嬉しそうに話し出す。


「ああ、その可愛いキツネ耳は忘れないさ・・・と、すまんつい本音が」


「いややね、こんなとこで・・・お世辞でも嬉しいわぁ」

 キツネ耳女性の言葉に思わず本音が漏れてしまうユウヒ、その言葉にクネクネと手で頬を隠しながら照れるキツネ耳女性。そんな一見ナンパにも見える光景を見ていた男性店員が、心の中で唾を吐いていたのは彼だけの秘密である。


「世事じゃないんだが・・・それより今日はどうしたんだ? ボロ武器屋は休みか?」


「もう、うふふ・・・そう! 実はなうちの店の武器全部売れたのよ! まぁ・・・普通のだけだけどネ」

 本音を漏らしたユウヒも少し恥ずかしかったのか、頬を掻きながらぽつりと小さく呟くと話しを逸らす為、会話の軌道修正をかける。


 そんなユウヒの小さな声も聞こえたのかさらに口元を緩めた女性は、すぐに垂れていた耳をピンと立てると今度は興奮しながら話し始める。どうやら彼女の武器屋は暴走ラット特需の影響か、武器が売れに売れたようだ。ただ彼女の趣味が入った商品は売れ無かった様で、尻すぼみになる言葉と一緒に耳も少し力無く垂れていくのだった。


「へー完売御礼ってとこか、すごいな。てことは仕入か? それとも旅行か?」


「仕入とお休み両方かなぁ」

 一度ボロ武器屋を訪れているユウヒは、その店内に所狭しと並べられていた大量の武器を思い出し、純粋に感心した声を漏らす。そんなユウヒの感想に少し元気になるキツネ耳は、どうやら旅行と仕入の両方で学園都市を訪れているようだ。


「そだ、魔法槍の調子はどう? 不具合とかないかな?」


「うっ!?」

 しかし次の瞬間、元気を取り戻したキツネ耳女性の何気ない一言が、ユウヒの表情を引きつらせた。


「え? どうしたん? もしかしてもう使ってないとか・・・」


「あ、う、いやその・・・」


「使ってくれてなくても気にせんよ? やっぱ中途半端だからね・・・」

 そんな表情に気が付いた女性はユウヒの挙動から、すでに魔法槍を使用していないか、現在武器を所持していないユウヒの姿に、すでに手放したと思ったようで少し寂しそうな顔をするもユウヒに気にしない様にと慌てて取り繕う。


 それでもやはり色々と思う所があるのか、その感情を表すように頭の上のキツネ耳は自然と前の方へと垂れていた。


「・・・実は、」


「・・・うん」

 目の前で垂れていく耳の動きに罪悪感と、本当の事を知った時これ以上に落ち込むのではと言う心配に戦々恐々としながらも、ユウヒは真剣な顔で話し始める。そんなユウヒの姿に覚悟を決めたのか、こちらも真剣な表情で耳をユウヒに向けて立てる女性。


「相棒は天に召されてしまったんだ・・・」


「へ?」


「度重なる戦闘の末に・・・俺が不甲斐ないばかりに相棒は」


「こ、壊れたの!?」

 そんなユウヒの口から出た言葉が、考えていたものと違ったためかキョトンとした表情だった女性は、少し遅れユウヒの言葉の意味を理解すると、色々な感情が混ざった驚愕の表情で叫ぶ。


「うむ、暴走ラットを薙ぎ払う代償にこの通り」


 まさかの事実にびっくりして耳をピンと立てている女性に、ユウヒはしょぼんとした表情で、バッグの中からあの時拾っておいた刀身の欠片を取り出す。


「うん、魔鉄の破片だね・・・って暴走ラット!? 無事だったの!? 怪我とか無い? 大丈夫?」


 流石は武器屋なだけあるのか、彼女はその欠片を一目見で魔鉄だと確認する。しかしよくよくユウヒの言葉の意味を頭の中で反芻すると、またもびっくりした表情でユウヒの体をいろんな角度から確認したり触ったりし始める。


 どうやら度重なる驚愕で思考能力が低下している様で、当然市場の往来お店の真ん前でそれだけ騒げば目立つわけなのだが、彼女はまったく気にしておらず。また某男性店員は、店の前で展開される傍から見たら人目を気にしないバカップルのようにも見える二人の様子に、表情を引きつらせ口から砂糖を吐けそうな感情に苛まれているのであった。


「怪我はないが酷使しすぎたみたいでな、何とか修復しようと思ってるんだが破片は魔鉄が少しで木片は見つからなくてなぁ」


「いや其処まで壊れたら新しいの買おうよ・・・」

 そんな風に見られているなど知らないユウヒは、心底困ったような表情で頭を掻き手元の欠片を見詰める。そんなユウヒの姿にさっきまでの驚愕はどこへやら、呆れたような表情でカクっと肩を落とし呆れたような声を漏らすキツネ耳女性であった。


「まぁその為もあって今日は買い物に来たんだよ」


「そうだったの・・・ごめんなぁもう少し耐久性の良い物ならよかったよね」


「いや、俺はあの槍が気に入ってたから問題無いさ」

 そんなユウヒの説明に問題の魔法槍の事を思い出しながら難しい顔で謝罪する女性に、ユウヒも自分の使い方を思い出すと、思わず苦笑いと寂しさの混ざった表情を浮かび、もう一度手の中の欠片を見詰めてしまう。


「・・・おし! うちも買い物付き合うから良い物探そ!」


「ん? 仕入れはいいのか?」


「もう粗方終わってるからね、今は目玉商品探してただけで特に問題無いよ」

 そんな欠片を見詰めるユウヒの表情をじっと見ていた女性は、口元を微笑みに変えると元気よく声を上げ買い物に付き合うと言いだし。ユウヒはその提案に首を傾げるも、女性は楽しそうに笑うと荷物を抱えなおす。


「そうか、と言っても今日は素材メインだからつまらないかもしれないぞ?」


「だいじょぶだいじょぶ、素材ならこっちだね!」


「お、おう?」

 そうかと言いつつもどこか納得のいっていないユウヒに対し、上機嫌に微笑む女性はユウヒの腕を取ると、学園都市の大市場には詳しいのかユウヒを引っ張りながら迷うことなく案内を始めるのであった。


 そんなユウヒ達の去った店先では、一人の塩を撒く男性店員の姿があったとか無かったとか・・・。





 そんな塩の舞う学園都市から離れたとある街道では、黒い三人組が今にもスキップ・・・もといすでにスキップしながらテンション高く歩いていた。


「河童少女はエリエスに有り!」


「皆の者出陣じゃ!」


「元気でござるなぁまぁわかるけど」

 いつもに輪をかけてテンションの妙な3モブ忍者、しかしそれも仕方ないのであろう。


「まさか本当に河童少女がいようとはな」


「まったく楽しみすぎて怒気が胸胸するな!」


「ヒゾウ落ち着くでござる!? 何かつっこみどころが多くて凄い事になってるでござる!?」

 そう、彼らはユウヒが聞いたのと同じ種族の情報を立ち寄った村で手に入れたようで、実在する河童? に心躍らせその脳みそをフルに使い妄想した結果、今のような状態になったのだ。


「それでは河童少女目指して!」


「第一宇宙速度で発進!」


「・・・それじゃ行き過ぎて衛星になってしまうでござる」

 そして現在に至るわけだ。脳の大半をあらぬ妄想で染めた二人には、最近ストッパー役が板について来たゴエンモの声など届くわけも無く、そのテンションは今にも成層圏を突破しそうな勢いである。


「はぁしかし気のせいか、最近つっこみメインな気がするでござるな」


「「・・・氏ねリア充!」」


「わけがわからな・・・ござーー!?」

 そんな二人に溜め息を吐き疲れた様な声を零すゴエンモ。その呟きだけは先行く二人の耳にしっかりと入ったようで、ぐるりと振り返った二人の目には嫉妬の炎が燃えており、次の瞬間二体の悪鬼はゴエンモに殴りかかるのであった。


 きっとこの二人の奇行は二人の心に春の風が訪れるまで続くであろう。がんばれゴエンモ二人に春が訪れるその時まで。


「そんなの待ってたら先に死んでしまうでござる!?」


「「んだとごるぁぁ!!」」


「ござぁぁ!?」


 



 どこかの街道で一言多い忍者が埋められている頃、こちらはそんな悲痛な叫びの電波を受信したらしいユウヒ。


「ん?」


「ん? どうかした?」

 その隣では首を傾げるキツネ耳女性がユウヒの顔を見上げながら不思議そうな表情を浮かべている。


「いや、気のせいだな」


「にゅ?」

 そんな女性の仕草に、またも頭の中で卑怯と言う言葉を思い浮かべたユウヒは、大したことないであろう電波のことは忘れる事にしたのか何でもないと答える。その答えに女性は再度不思議そうに首を傾げるのであった。



「とりあえず一通り揃ったな」


「そかそか、でもあまり良い物なかったね」

 電波を受信してから十数分後、ユウヒの持つ荷物の量がだいぶ増えた辺りでユウヒは買い物の完了を告げる。そのユウヒの言葉に嬉しそうに笑う女性だったが、すぐにその表情を不満そうなものに変えると今日の品ぞろえに不満の声を漏らす。


「暴走ラットのせいだろうなぁ、ポロンはもう買う物ないのか?」


「うちは大丈夫、あとは帰るだけ」

 そんな不満オーラに、いつの間にかお互いに自己紹介をした様で、ユウヒは女性の名前を呼ぶとしょうがないと言う。ポロンと呼ばれた女性の買い物はすでに終わっているらしく、ユウヒの問い掛けに表情を元に戻すとそう答える。


「そうか、付きあわせて悪かったな何か礼をしたい所だが・・・送ろうか?」

 その返事を聞いたユウヒは今回の御礼をと思ったのだが、例の試作御礼セットはあの時クラリッサの後輩の女の子に渡したものだけであることを思い出すと、空を見上げお色直しを始めた太陽を少し眩しそうに見つめると、お礼の内容を決める。


「あー、いやそれは遠慮するわぁ・・・あ、嫌なのとちがうよ!? 宿泊先が知り合いの家で確実にからかわれるからで」


「ふむ、確かに変な勘違いは嫌だよな。それじゃここで大丈夫か?」

 しかしユウヒの提案はポロンと呼ばれた女性の苦笑いと共に却下される。その答えにユウヒは再度お礼を考え眉を寄せたのだが、それを不満から来る表情と勘違いした女性は慌て弁解する。


「あ、うん大丈夫。それじゃね新しい相棒が出来たらうちにも見せてな? 当然うちの店で」


「わかった、近くに行ったら寄らせてもらうよ。気を付けてな」

 女性は、顎に手を当て頷き了解するユウヒに少しだけ残念そうな表情をするも、直ぐにその顔を元気な笑みに変えると再会の約束をする。ユウヒもその返事に楽しそうに笑うと再会を約束するのだった。


「ありがと! またなー」


「・・・さてと帰って合成だな」

 ユウヒは走り去る女性が見えなくなるまで見送ると、くるりと帰路に向きを変え歩き出すと楽しそうにそう呟くのであった。

 




 はい? 名前ですか? え、えっとうちの名前はポロン、ポロン・ボロンて言います。今はボロ武器店の三代目としてお店を潰さない様に頑張ってます。


 まぁ、ちょっと前に大勢の人が武器を求めて押し寄せた時は、物理的に潰されないかヒヤヒヤしたんけどな・・・名前に違わぬボロさって言われるくらいだもんね。


「それにしてもユウヒ、あんなに素材ばかり・・・鍛冶屋と知り合うたんかな? 鉱石で買うたってことはドワーフ? でも精霊銀の砂利も買うとったって事はエルフ? ・・・まさか、研究所に知り合いでもできたんかな? 羨ましいような心配な様な・・・うぅん」


 まぁ初代のボロ・ボロンじーさんのネーミングセンスなんてどうでもいいとして、問題はユウヒのにーちゃんが買うた素材だね。


 どう考えても一般人が買う物でも普通の冒険者が扱えるものでもなかった、さらにはかなりの目利きで、まるで説明書きでも読んでるみたいに素材を選別していくのだ。目利きは冒険者でも少しは出来る人居るけど、やはり研究所関係にってのがしっくりくる様な。しかしそれはあの魔窟に出入りするって事で、少し心配にもなる。


「にしても可愛い耳かぁ・・・うふふふ、そんな言われたの久しぶりだよねぇ♪」

 そんな事を思い出していると、度々ユウヒが言ってくれた嬉しい言葉も思い出してしまい、思わず頬が熱くなるのを感じた。


「ユウヒって人族なのにちょっと変わってたなぁ」


「ふーん? どんな風に変わってるの?」

 話をしてる時はなんだか自然すぎて気が付かなかったけど、能々考えてみればユウヒって少し変わっている。そんな私の呟きに誰かの声が重なる。


「えっとねー人族なのに耳可愛いって言ってくれたり、獣人とかまったく気にせず接してくれるとことか」

 その時私はちょっとっぼーっとしていたのだろう。自然と考えていたことが口からぽろぽろと零れ出し、その言葉を自分の耳で再認識するとさらに頬が熱くなってくる。


「へー、それは興味深いねー・・・ポロンはそんな彼に発情したんだねぇ」


「な、だ、だれが!? ってなんであんたが!?」

 そんな私に誰かの声がとんでもない事を言いだす。完全に否定できない心が敏感に反応し、恥ずかしさで声の主に文句を言うべく声の方に顔を向けるも、そこに居たのは今一番このことがバレては不味い相手だった。


「うふふー詳しく聞かせてもらうわよ~」

 うちの視線の先には頭一個分低い位置に綺麗な銀髪にしゅっとした耳が似合い、その耳の少し下にはその性格を表したかのような釣り目がちな一対の瞳が、面白そうなものを見つけた小悪魔の様に私を見詰めていた。


「くぉーーん!?」

 結局見つかるのならユウヒに送ってもらえばよかったと言う思いが脳裏に浮かんだものの、すぐに襟を摑まれ引きずられる事でその考えは、私の鳴き声と共に夕暮れの空へと消えて行き、その代り結構な体格差にも係わらず、ずるずると私を引き摺って楽しそうに歩く宿泊先の友人が、物理的にも精神的にも怖いと思った夕暮れ時なのでした。





「ん?」


 どうもユウヒです。どこからか聞こえてくるキツネの鳴き声のような音に空を見上げると、今日の素晴らしく眼福な一日が思い出されます。


「しかし何度見ても良いキツネ耳だよなぁ」

 あのモフモフのキツネ耳、尻尾は元から無いらしく少し悔やまれるがそれでもあの感情と一緒に動くリアル獣耳は素晴らしいの一言に尽きる。


「っとそれは置いておいてっと、先ずは護符それから武器の考察でついでにいくつか三人用で試作してみるか・・・ちょっとなら魔改造も有りだよね?」

 そんな事を思い出すと自然と笑顔になってしまうが、こんな道の真ん中で一人ニヤニヤしていたら通報されそうなので頭を合成計画に切り替える。


 今回は幅広く色々買い込んでみたので合成の幅が広がりそうである。金属や鉱石に木材なんかを数種類、さらに各魔法属性の素材として品質には目をつぶり色々、あとは目に付いたものを次々に買ったのだ。


 ただ、それでもアルに貰った報酬が大半である財布袋の中身があまり減った気がせず、むしろ小銭で増えた気すらし色んな意味でちょっとした恐怖を感じたのだった。




「材料は紙と黒インクと火蝶の鱗粉で、一応着火剤ってことだしどうかなぁ」

 そんな事をなるべく気にしないよう足早に宿の自室まで帰って来た俺は、素材なんかを床にばら撒くように広げた後、早速護符の作製に移り、


「・・・よし、ちゃんと【招火の護符】になってる」

 早くも一枚目を完成させていた。


 今回護符に火や水などの属性と言われる力を与えるのに使ったのは【火蝶の鱗粉】と言うもので、なんでも焚火などの着火剤に使うらしく、非常に燃えやすい為か火蝶の【火】と言う概念の為かしっかりと火の属性が合成結果に反映されていた。


「あとはこれに魔力を籠めれば・・・」

 俺の考えが正しければ、もとい妄想が正しければと言う思いと共に護符にそっと魔力を籠める。


「おお・・・成功だ! 今にも破裂しそうなのは気にしないでおこう。あれかな? 力み過ぎなのかな?」

 すると魔力が護符に満たされたような感覚がし、右目でも成功だと言う結果が出る。しかしなんとなく護符から感じる魔力からは、どこかギリギリまで膨らませた風船のような危うさを感じたのだった。


「他の種類も作りたいけど・・・単純に字を変えればいいのかな? とりあえず図形は招来くらいしか分からないし触媒として実験してもらえばいいか」

 あとはアレンジを入れれば火以外の護符も作成できるが、ちょっと自分でこのパンパンな護符を実験するのは腰が引ける。・・・ここはやはり使う本人がやってみるべきだよね。


「次は武器かぁうーん悩むなぁこれをこうして・・・多層構造で、中空シャフトも良いな、だと芯材に・・・それならこっちの・・・刃は魔鉄を再利用・・・混ぜる・・・ダマスク?・・・」


 そして今日も妄想の海に溺れながら、楽しい夜が更けていくのであった。




 いかがでしたでしょうか?


 私はちっこい精霊や妖精も大好きですがケモ耳尻尾も大好きです。あと・・・いえこの先は『ワールズダスト』で書き語るとしましょう。


 それでは今回もこの辺で、またここでお会いしましょう。次回もお楽しみにさようならー

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