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ワールズダスト  作者: Hekuto


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第五十話 騒ぎは広がる

 どうもHekutoです。


 のろりのろりと更新し何時の間にか五十話までやってきました。まさかここまで続けられるとは自分でびっくりしてます。

 今回はのんびり? 行軍中のユウヒから視線を変えたお話です。ゆっくりしていってください。




『騒ぎは広がる』


 ここはグノー王都から東に進んだ場所にある強欲の森へと続く街道、いつもは比較的静かなその街道と草原は異様なほどの喧騒で溢れていた。


「各隊状況を報告しろ!」

 その原因はやはり暴走ラットの様である。広くなだらかな平地に広がる草原と街道には強欲の森を背にするように布陣した中隊規模のグノー王国軍、そこへ西側の森から現れ殺到する暴走ラットの群、それらは悲鳴や怒号、血飛沫、またギーギーと耳障りな鳴き声を上げてぶつかり合っていた。


『重歩兵隊被害軽微!』


『第一歩兵小隊被害軽微!』

 その布陣した王国軍の後方には指揮所であろう、簡易な布と木の骨組みで作られた陣地の周りで数名の騎士や兵士が忙しく動いていた。その中の一人通信士の男が上官の指示か、各隊の状況を通信用魔法具で確認しているようだ。その装置の向こうから聞こえてくる声は当然なのだろうが、どれも気迫に満ちた声ばかりだった。    


 この通信装置は軍隊や冒険者などが比較的狭い範囲で情報のやり取りをするための短距離通信用の魔法具で所謂トランシーバーの様な物である。親機は全ての子機と音声を送受信できるが子機同士での通信は出来ない仕様であり、これらの魔法具技術はどれも遺跡などから発掘されたモノを研究して作られた古代魔法技術研究の結晶である。


『第二歩兵小隊第三歩兵小隊は被害が大きい為一時後退する!』


『第四歩兵小隊異常無し!』


「魔法士隊問題ありません」


「第二第三歩兵小隊は後退後再編成! 第一第四歩兵小隊及び、魔法士隊はこれを援護、ネズミに抜かれるな!」

 通信機から聞こえてくる少し反響した声や状況を見る限り、王国軍はネズミの物量に押され若干不利な様である。通常このような討伐任務をする部隊ならば一個大隊規模約800名以上を用意するのだが、彼らは一個中隊規模約200人ほどの部隊であり数の上で完全に不利なのである。それもそのはず、本来彼らの任務は討伐とは別であり今の状況は災害に巻き込まれ仕方なく応戦をしている状況なのだ。


「・・・仕方ない戦線を下げよう、負傷者を優先して随時後退! 魔法士隊は後方から援護しつつ重歩兵隊と後退!」


「どこまで下げますか?」

 実はこの部隊、ユウヒがアルディスと初めて出会う前アルディスが作戦に参加していた部隊であり、その本来の任務は最近異常が見られると報告が上がっていた強欲の森の調査及び、警戒偵察の為の部隊であった。しかしその異常の報告も、又アルディスがたった三人で王都に戻る事になった理由も全てあのバーネスの策謀であったのだ。その為彼らは調査の結果異常が無い事と王都からの一連の報告を受け、帰還の準備をしていたところを今回の災害に襲われる結果になったのだった。


「エリエス方面の砦があったはずだ、そこまで下げようと思う」


「・・・森は大丈夫でしょうか?」

 どうやらそんな芳しくない状況は刻一刻と悪い方向に進んでいるのか、指揮をしている騎士の男は2歩兵小隊が一時後退したことにより作戦方針を変更し最小限の被害に抑えるべく後退を選択したようである。


「その為に重歩兵隊と魔法士隊で引きつけて砦まで誘導する」


「りょうか・・」


「ふん、その必要は無いな」

 ただ後退するわけでは無く、本来の任務であるデリケートな森に配慮した作戦立案が出来ているあたりこの騎士の指揮官としての能力は低くはないようである。しかしそんな彼らが作戦を開始しようとした時、何者のかの声が彼らの動きを止めた。


「誰だ!」


「・・ユーゼンじゃないか! どうしてここに」

 指揮所は屋根だけの簡易テントの中に設置されており、謎の声は指揮官の騎士が座る椅子の後方少し離れた所から聞こえてきた。その声を聴いた者達は一斉にその方向を見るが指揮官の男は目に入った人物に見覚えがあるのか驚いた様にしかし少し嬉しそうに名前を呼ぶ。


「はん、森の監視任務のついでにお前の間抜け面を拝みにな」


「そうか・・俺一人の面を拝みに来るのにこんな大部隊で来たのか・・」

 そのユーゼンと呼ばれた人物はエルフ族の男性であった、指揮官をしていた男性が彼に近づくとユーゼンと呼ばれた男性もゆっくり歩きながらどこか尊大な態度で憎まれ口をたたく、しかしその憎まれ口を言われた男性はどこか冷めた目をユーゼンの後方に向けるとそんな事を言い始めた。自分達の上官の発言や状況にその場に居合わせた騎士や兵士がキョトンとするのも束の間、ユーゼンの後方指揮官の男性が見ている方向の景色があちこちで揺らぎ出しそこからローブや軽装鎧を身に纏った特徴的な耳をしている種族、エルフ族の大部隊が現れる。そんな集団の中から一人の少女がニコニコと笑みを浮かべながら少し頬の赤いユーゼンの隣まで歩いてくる。


「・・・・・」


「ユーゼン様ぁそこは正直に心配で駆け付けたと言うべきですよ?」


「なっ!? 誰も心配などしていない! 偶々だ! そう偶々大部隊で来たい気分だっただけだ!」

 無言のまま指揮官男性は目だけユーゼンと呼ばれたエルフ男性の方を向ける、するとユーゼンはついっと顔を右側に背ける、背けた方にはニコニコとユーゼン見上げる小柄な少女が居りその少女は口元をニヤッと楽しそうに歪めるとからかいの混じった声で指摘するも、ユーゼンは慌てたように言い訳をする。


「まったく変わらんな・・・」


「まぁそこもユーゼン様の良い所ですからぁ」

 どうやらこの少女と指揮官の男性も知り合いの様で、お互いに種類の違う笑みを向け懐かしむような声でユーゼンと言う男の評価をしだすのだった。


「ふん! アミュさっさとあのキーキーと五月蝿いネズミ共を蹴散らしてしまえ!」


「あいあいさ~♪ 精霊術師隊各員攻撃開始ぃー味方に当てた人は減俸でぇす♪」


『了解!』

 そんな二人の会話を聞いて照れているのかそっぽを向いて腕を組んだまま、ユーゼンは小柄な少女をアミュと呼び攻撃指示を言い渡す。そんな指示を受けた少女はそれまでと同じような調子で返事をすると後方に待機していたエルフ達に向かって指示を出す。見た目からは全く判断できないものの、その少女の様子からまた武装したエルフ達の対応からもこの小柄な少女がそれなりに位の高い人物だと言う事がうかがい知れる。


「後退中止! シルケス氏族の援軍と協力し暴走ラットを殲滅する! 歩兵隊はネズミを一匹たりと後ろに通すな! 魔法士隊は全力攻撃!今居る分を殲滅後、速やかにエリエス国境側砦まで後退する!」


『了解!』『突撃します!』『魔法士隊全力詠唱開始!』『怪我人の移送を急げ!』『エルフ美女キタ! これでかつる!』『お前ら良いとこ見せろよ!『おおおぉぉ!!』』


 少女の号令で動き出したエルフの魔法士達に動きを合わせる為、指揮官の男性は再度指示を変更する。その指示にその場に居合わせた兵士だけでなく通信機の向こう側にもこの状況が伝わっていたのであろう、通信魔法具親機からは複数の怒声や叫びにも近い兵士たちの返事が返ってくる。そんな士気の上がった姿を見て指揮官の男はニヤリと男臭い笑みを浮かべるのだった。





 そんな大号令が上がっている場所から遠く離れてここはグノー王城、王の執務室。


「父上、討伐隊に蛇神騎士団の編入完了しました。今日のうちに出撃可能との事です」


「そうか・・しかし戦線が拡大しすぎだな、王都方面に接近している群を討伐後東西二手に分け西方面はそのまま帝国国境方面に向かわせる」

 そこにはアルディス、バルノイア、バルカスそして入口付近に待機しているメイの四人が居た、普段は他にも複数名仕事しているのだが今は緊急時で忙しい為か、広い執務室内はアルディス達意外には気を聞かせて入口外に出て待機している護衛の騎士しか居ない。そしてその会話の内容はやはり魔物災害『暴走ラット』関連の様である。


「学園方面は大丈夫なのですか?」


「大丈夫だ、大半が帝国国境付近へ向かっているらしい。砦からの連絡では自由騎士団を名乗る者からの報告だと言っていたから彼等だろう」


「ユウヒの知り合いの・・今回は彼らのおかげで被害も少ない、流石はモーブ忍者だね」

 苦い表情をしながらも文官団と騎士団で構築した討伐作戦の概要を伝えるバルノイア、こんな時でも友となったユウヒの事が気になるのかそれだけでは無いのか分からないが学園方面の心配をするアルディス。しかしそれについてもすでに詳細な報告が入っているのだろう、バルノイアは問題無いと言い切りアルディスの中でも3モブ達への評価が上がって行く。


「はっ! 言動は面妖でしたがあの身の熟し只者ではありません!」

 アルディスの目配せに答えるバルカスも一定の評価をしている様だが、あの種独特の言動に警戒心も抱いていそうである。


「確かに不思議な言葉使いだったが・・それと強欲の森に駐留していた部隊から定時連絡が来なくてな東に向かう部隊にはその辺も調べてもらう」


「!?まさか森に何かあって・・」


「いや森関連で何かあればエリエス経由で緊急連絡が来るはずだ・・そろそろネズミと接触していると思われるからその関連だろう」


「しかし、それでも定時連絡も無いと言うのは・・」

 バルカスの評価に苦笑いを浮かべたバルノイアは表情を真面目なものに戻すと説明を続けた。その内容はアルディスにとって心配していた事例に繋がる事だったようで途端に神妙な顔つきへ変わるも、バルノイアは安心させるように説明を続けた。


「・・・今指揮をとっている者はあまり良い噂を聞かんからな」


「えっと確か指揮を任されていたのはオーチムと言ったような」


「うむ、バーネスの部下だった男だ・・密偵からの報告では例の一件にも関わっているようだ」


「・・・そうですか」

 残してきた部隊の心配をしているのだろう自分の息子の姿に少し何か考え、目を瞑りバルノイアはとある情報を話し始めた。その内容はアルディスが狙われ王家が狙われユウヒが巻き込まれたあの事件の真相に繋がるものであった。


「戻ってきたら捕縛する予定なのだが、報告ではこのまま逃亡と言う可能性もあってな」


「では現在は別の者が指揮を?」

 父から知らされた内容を聞いてアルディスは、残してきた部隊の現状が知れないながらもいくつかの可能性から予想を立てたようである。


「その辺についても調べてもらうつもりだ、一応エリエスから応援を出したと通信も入っているからな無事だとは思うが」


「そうですか、それじゃ東進する部隊には僕もついて行こうかな」


「アルディス様?」

 バルノイアの説明を聞き終わったアルディスは難しい顔で少し目を瞑ると、表情をいつものニコニコとした表情に戻し後ろを振り向きながらそんな事を明るく言い出す。そんな急に雰囲気が元に戻ったアルディスにバルノイアもバルカスも不思議そうな表情になってしまう。


「・・・ふむ、そうだなエリエスの誰が来るかわからんが外交官としてついて行ってもらおうか・・バルカス! 息子を頼むぞ」


「はっ! この命に代えても!」

 バルノイアはそんなアルディスの姿にどこか嬉しそうに微笑み許可を出すと、表情を引き締めバルカスに父親の顔で息子の事を頼む、そんなバルノイアに対してバルカスは最敬礼で答えた。


「それとしっかり護衛は付けるように」


「あはは・・はい父上、それでは行ってまいります!」

 父親のそんな姿に嬉しそうにしていたアルディスだったが、バルノイアの困った子供を睨むような念押しの言葉につい苦笑いを浮かべてしまうと、これ以上何も言われないようにと簡潔に挨拶を済ませバルカスとメイを置いて足早に立ち去って行き、その後ろを慌てて追いかけるメイとバルカスであった。


「・・・成長か・・ふっふっふ」

 アルディスが走って出てきたため何があったのかと慌てて室内に戻ってきた護衛騎士達が見たのは嬉しそうに笑うグノー国王の姿であった。





 そんな暖かい空気が流れている城内の別の場所、ここは今回の暴走ラット討伐隊が集まる場所の中にある依頼を受けた冒険者が集まる一角である。そこにはどこかで見たことのある顔がキョロキョロと不安そうに周りを見ていた。


「ぬぅ逃げる口実に討伐隊に志願したが・・何なのだこの規模は」

 その男の名はナルシーブ・ナブリッシュ、忘れている人も居そうだがカステルをストーキングしていた男で、ヴァナディス・ナブリッシュの実の兄である。


 実はユウヒに話を聞いたヴァナディスは学園都市帰還後早々に例の件を両親に報告、そして両親は即座グノー国内で仕事をしている次男に連絡しナルシーブを本家に呼び戻すように連絡、ナルシーブの行方を知っていた次男はナルシーブに諦めて家に帰るように言ったのだが。その時聞いた両親の怒り具合に恐怖したナルシーブは今受けている依頼が終わったら帰るとその場しのぎの一言を残してその場を去り、冒険者ギルドに駆け込むと適当に長期間ぽい依頼を受けたのだった。その依頼がどんな依頼か良く知らずに・・。


「なんだ魔法士の兄ちゃん知らんのか?」


「あ? なんだドワーフ族か、何を知らないって?」

 そんなナルシーブの独り言に隣に居たドワーフの男性が話しかけてくる。急に話しかけられてビクッとしながら振り向いたナルシーブは声の主を見ると御座なりな対応で何の事だか問う。


「・・・・今回の討伐対象の災害ランクだよ、依頼書に書いてあっただろ」


「いや見てないな急いでいたし・・だが暴走ラット程度ならいったとしてもEランクくらいだろ?」

 そんなナルシーブの対応に少しむっとした表情をするドワーフの男だったが、粗暴な冒険者間ではよくあることなので気を取り直すと話し始める。


「おめぇさん噂も聞いとらんのか・・新米か?」


「失礼な! 僕はDランクだ!」

 自分の話に本当に何も知らなさそうなナルシーブの反応に驚きの顔を見せたドワーフの男は眉を寄せて神妙な顔で初心者なのかと心配するも、その反応に怒りを覚えたナルシーブは顔を赤くして叫ぶ。


「・・・ふぅ、まぁいいそんな可哀想なお主に教えてやろう今回の災害ランクを・・」


「か、可哀想だと!? ・・で、いくつなんだよランクは?」

 そんなナルシーブをしばらく訝しむように見ていたドワーフは溜息を一つ漏らすと、可哀想な目で見た後真剣な顔でナルシーブを見詰める。そんなドワーフの可哀想発言にまたも怒りだしそうになるナブリッシュだったが、その真剣な顔に何か感じたのか怖気たのか背の低いドワーフに合わせる様に頭の位置を下げると聞く姿勢を整えた。


「・・・Bランクだ昨日まで暫定C~BランクだったがBに確定した」


「・・・おいおいちょっと待てBだと!?そりゃ大規模災害レベルじゃないか!」

 そして聞かされる新事実、その内容に怒りで赤かった顔を段々と青くしていったナルシーブは絞り出すように声を出したと思ったら叫びだす。


「そうだ、いま確認されているネズミの総数は約八千匹その時点でCランク確定、さらにそのネズミ共が四方八方に移動を開始、さらにさらにまだ増える可能性を神官団が報告してBランク確定って感じだ」


「ウソだろ・・こんなことなら大人しく実家に・・いやしかし・・うぅ」

 少々解りずらいがBランクの災害と言うのは、広範囲にわたって甚大な被害を及ぼすような災害に付けられるランクで、解りやすい災害に当てはめるならば大地震や特大の台風などになるであろうか。そんな事だとは知らなかったナルシーブはその場にしゃがみこむと頭を押さえるのであった。


「ふむ? 何があったか知らねぇが元気だしな兄ちゃん! これから一緒に戦う仲間だ仲良くしようじゃねェか、それに今更抜ける事は出来ないんだ・・なんせ王家発行の依頼だここで無断逃亡しようものなら厳罰もんだぞ?」


「ぐっ!? 余計な現実を・・腹をくくるか、こんな気持ちはアクアリア魔法学園の最終実技試験の時以来だ」

 落ち込むナルシーブに無情な現実を告げるドワーフ、それを涙目で睨むナルシーブしかしそんなナルシーブの言葉にドワーフの男は敏感に反応する。


「おめぇさんあそこの出か! なるほどそれでその反応か・・・まぁそれならそれなりに実力もあるだろほれ着いてこい仲間に紹介するぞ」


「おい!? ちょっとまて別に僕は!」


「なぁに言ってんだこんな大規模作戦でソロなんてAランク冒険者くらいじゃないと務まらんぞ? 丁度魔法士を探してたところだ袖ふりあうもなんとかだ」

 今までのどこかのんびりした姿から急に元気になったドワーフの男はナルシーブの腕を掴むと引っ張りだす。どうやら頼りないナルシーブを心配していたようで、丁度魔法士を探していたこともあり自分のパーティで面倒を見てやるつもりのようだ。


 基本的にドワーフ族は堅物や偏屈など言われる事が多いのだがその実、保護欲や母性父性と言ったものが非常に強く弱い者や頼りない者を守ったり導いたりといった性質も持っているのだ。故にある意味どこか頼りないナルシーブを気に入ってしまったのかも知れない。


「誰もソロだとは言ってないだろ!」


「なんだ? 違うのか?」


「・・・ちがわないけど」

 ソロと言われて一人ぼっちの寂しいヤツと言われているようでつい反論してしまうが、キョトンとしたまったく悪気のないドワーフの顔に反論しきることが出来ず目を逸らしボソボソと話すナルシーブ。


「なぁらいいじゃねぇーか! みんなソロの奴はこうやって即席のパーティを組むもんだ」


「ぼ、僕はアクアリアの貴族だぞ!?」


 アクアリアと言う国は、人族を選ばれた種族としそれ以外の種族を排斥することで大きくなった歴史を持つ大国である。今ではその差別的な風潮も大人しくなってきたもののどこにでも原理主義的考えの者は居るもので、そう言う事からアクアリア人=人族以外の敵と言う公式は未だ塗り替える事が出来ていないのが実情なのであった。


 そんなお国事情がある為選民思想など特に持っていないナルシーブでも、そういった面を気にしてしまうのは仕方ない事なのかもしれない


「うんなぁ気にしねーさ、うちの奴らは心ひれぇからな! あっはっはっは!」


「く、くそ! どうなっても知らないからな!(なんなんだよ・・・)」


「あっはっはっは(根っこの部分は良い子だな、これなら大丈夫だろ)」

 そんな背景など気にしないとドワーフの男は笑い、ぐいぐいとナルシーブを引っ張り進んで行く。ナルシーブは引っ張られながら今までに出会った事の無い状況と、感じたことの無い妙な感情に困惑するのであった。




 いかがでしたでしょうか?


 合間合間にこう言うお話も入れて世界の広がりを感じて貰えたらいいのですが、まぁシリアスとか苦手なのでギャグに逸れるのでしょうが・・。


 五十話まで来ても終わりが見えない今日この頃ですが、まだまだ続きそうなのでお付き合いしていただけたら幸いです。それでは今日もこの辺でまたここでお会いしましょう。さようなら~

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