第四十三話 精霊とは?
どうもお久しぶりのHekutoです。
ここのところ本気で忙しくやっとこ書き終わりました。忘れられてないかドキドキしつつ四十三話更新します。それでは余計なお話はこのくらいにしてユウヒに会いにどうぞ。
『精霊とは?』
「色々と取り乱してしまい申し訳ありません・・」
「あーいやこちらこそ、そちらのお子さん?方に水汲みを手伝ってもらいましたし」
現在落ち着きを取り戻した謎の女性と、泉の脇にある腰掛けるのにちょうどいい段差に座りながら話をしている。
そんな俺が言葉にしたようにすでに水汲みは妖精たちが手伝てくれたおかげ終わっていた、なんと彼女らに手伝いを頼んだところ水を操り地面に置いてある樽へと瞬く間に水を満たしてしまったのである。その一連の神秘的な風景を見て純粋に感動した俺はそれを行った小さな妖精達に感謝と感動を伝えたのだが、結構時間が経つ今も照れたのか何やら赤い顔をしてクネクネしている。
「子供ではないのですが・・どちらかと言うと姉妹でしょうか?」
「姉妹ですか」
そんな彼女らを見ていると目の前の女性が苦笑しながら答えてくれる、どうやら彼女たちは姉妹らしいがいったい何者なのだろうか・・・いやまあ何となく予想は出来るのだが。
「そうですねきっとあの子達は何も説明してないでしょうから自己紹介も含めて説明させていただきます」
「そいつはありがたい、もう何が何だか分からなくて・・とりあえず俺は冒険者のユウヒだ。好きに呼んでくれ」
「わかりましたユウヒさんですね、私は人のいう所の水の精霊です。どうぞミズナとお呼びください」
「むぅ何となく予想はしていたが精霊か・・ところで精霊ってのはいったい?」
互いに自己紹介をし、俺の予想が当っていたことがわかったがこの世界の精霊とはいったいどんな存在なのか、俺の世界にある物語の様な物と言っても色々説はあるし興味は尽きないところである。
「そうですね詳しく説明するととても時間が必要ですし、理解するのにも大変なのでざっくりとした説明になりますが」
「ああ構わないよお願いしてるのはこっちだし」
「はい、それでは我々精霊と呼ばれる者が生まれたのは遠い昔・・」
そしてミズナの口からこの世界の真理の一端が紡がれることになる。
最初この世界が出来た当初彼女たちのような精霊と言われる個は存在せず、ただ漠然とした力だけが存在していた。その漠然とした力の存在理由はただ一つ、世界が世界である為に膨大なエネルギーの塊である世界を塊と言う状態に維持し続ける為に存在し、ただ漠然と維持し続けるだけの存在だった。
「世界が出来た頃は非常に不安定でいつ消滅しても可笑しくない状態だったそうですが、この世界を含むすべての世界を管理する方々の助力により一応の安定をみることが出来たそうです。」
「ふむ(・・それってアミール達管理神のことだろうな)」
「そして私たちがこのように人の様な形態を取り出したのはほんの数千年前からです」
世界が安定してからも彼女たちは漠然とした力のままであった、その頃は意識は無く情報もおぼろげに共有し理解していたとは言い辛かった。それが変わったのが数千年前、この地を治めていた人類はその漠然とした力に精霊と言う名前を付け混沌とした力の流れを系統分けしそれぞれに名前を付けて行った。
「人の持ちうる意思や概念とは個では小さな力ですが、纏まり集まることでこの世界の理に干渉するほどの力になります。その力が私たちをただの【膨大な力の流れの一部】から【精霊】に変質させたのです」
「そらまた壮大な話だな(精霊にとっては数千年もほんので済むんだ・・)」
その後変質した精霊達は年月と共に自我を持ち始め今のような存在に近づいて行く、しかし彼女のようにより人間に近い姿をとる者が現れたのには少数の人類が大きく影響している。
「この施設の地下深くにはその者が作った装置が埋まっていて、それは世界各地に存在し今も尚人為的に精霊を生み続けています。それが私たちのようにある程度形や自我のしっかりした精霊です」
「自然に生まれる者も居ればその装置から生まれるのも居るのか・・古代人はすごかったんだね」
「そうですねどちらかと言うと一部の人間が異常だったとも言えますが」
どうも古代人って言う人類は何時頃からか急激にその技術力を高め、あっという間に発展していったらしい、そしてその古代人の中のほんの一部の人間はさらに高度な技術を作り出して行ったようだ。しかしなぜ彼女たちは生み出されたのだろうか。
「それはどうやら魔法技術発展の為だったようです。より強力でより高度な力を行使する為には彼等古代の人々や自然に存在する者だけの力では不可能だったらしく・・・」少し悲しそうな顔をした彼女は話を続けた。
進化していく古代人の技術の中で一部の者達が精霊を道具のように使い捨てるようになったのだと言う。しかしその結果精霊は数を減らしていき一時期は全く居なくなった事もあるとか、それについてミズナはこう説明してくれた。
次々と生み出される精霊、それは飽和してしまうのではないかと思われそうだがそれは無いとミズナは恥ずかしそうに説明した。彼女たちは本来大きな力の一部であった為か、とても移り気な面があり自我のある個になったとしても一部はまた大きな流れに戻って行ったり、互いに寄り添って大きな個になったりと個としての数は常に減っているとの事だ。
「私は互いに寄り添い大きくなった者です。それ故に自我などもこの子達より幾分しっかりしてますし力も強く普通の人の目に移る様にも見えなくもなれるんです」
「あはは、大きくなっても胸はちっさ!?」ガッ!・・・ボチャン!
ミズナが近くに飛んできた小さい妖精もとい水の精霊(小)の頭をなでながら自分の事について説明してくれるのだがすかさずそこに茶々を入れる精霊(小)、しかしミズナの右手がぶれたと思った瞬間痛そうな音がして気が付くと茶々を入れていた精霊(小)が泉へと撃墜される音が響いたのであった。
「・・・・・・」
「そ、その後古代人が居なくなった後はこの地に住む新しい人類たちに影ながら手を貸しつつ平和に暮らしているのです!」
今の壮絶な出来事を誤魔化すかのように息継ぎ無しで説明するミズナ・・精霊を怒らせてはいけないようである、怒らせれば俺もまたその背中とお尻以外をだらりと水の中に沈めた精霊(小)のようになるのだろうから。
「ふふふ」
「笑ってごま・・いやしかし古代人は何故居なくなったんだ?すごかったんだろ?」
ニコニコと笑うミズナはとても綺麗で可愛いのだが、何故かその微笑みからは触れてはイケナイ何かを感じて俺は紡ぐはずだった言葉を変えることになる、と言ってもこちらの質問も気になるところではあるが。
「それは私にも・・・何か大きな戦いがあった後瞬く間にその姿を消したのです。彼らの生きていた証たる技術を残して」
「ふーんそれがこの場所や遺跡ってことか・・」
しかし、この世界の一端を知ることができたが精霊の存在に世界の大きさを感じざるを得なかった、しかも彼女の説明によればその精霊すらもこの世界を支える力の一部でしかないと言うのだから・・その管理かぁアミールも大変なんだなー。
「これでざっくりとした説明は終わりです。そろそろそちらの女性も起きそうですし・・またどこかでお会いしましょう」
「そうか・・そうだ!一つ気になることが」
説明が終わりどうやらアリーネも目を覚ましそうだと言い立ち上がると別れの挨拶をしだすミズナ、そんな彼女に返答しようとして俺は一つ一番気になっていたこと思いだしそれを聞くために彼女を呼び止めた。
「はい? なんでしょうか私に解る事なら」
「あのさ、なんでこのちみっ子達は俺にこんなに懐いて来るんだ?」
にこっと微笑むと慌てて立ち上がった俺の方に戻ってくるミズナ、そんな彼女に気になっていたこの好かれ具合について聞いてみた、そう好かれていると言うか懐かれていると言うか、先ほどから話している間もずっと小さな精霊達が肩にしがみ付いて来たり膝の上に乗ってきたり周りで楽しそうに飛び回ったりと纏わりついてくるのだ・・まぁ可愛くはあるのだが。
「ああその事ですか・・・・」
「え、おお? ちょっとちかむぐ!?」
そんな俺の質問に一瞬キョトンとしたミズナは薄く笑うと急に顔を近づけてきて、俺がまともな声を出す前にミズナの唇と俺の唇の距離がゼロになっていた。流石に驚き固まっていると一瞬か数秒か数分か、混乱した頭では分からない時間接触し続けた二人の唇はミズナがそっと離れることでその交わりを終えた。
「懐いているのはこの子達だけじゃないのですよ? うふふふ」
「な、なぜに!?」
ミズナは嬉しそうに笑い説明するのだが、その間もその白魚のようなと言う表現にピッタリな細くしなやかな人差し指で先ほどまで俺の唇と接触していた自分の唇をなぞり続ける。その一連の行動があまりに妖艶で久しぶりに心臓がうるさく脈打つのを感じた。
「そうですね? なんだかユウヒさんの近くにいるととても満たされた気持ちになるんですよ、幸せで安心できてすべてを捧げたくなるような」
「俺何か変なフェロモンでも出してるのか?」
ドキドキしながらミズナの説明を聞くも、それでは俺が何か妙なオーラかフェロモンを出してるようで、俺には全くその理由は分からなかった。
「詳しくは分かりませんがそう言う事です。なので私の名前を呼んでいただければすぐに駆けつけますのでいつでも呼んでくださいね?」
「おお! 消え・・!?」ゾク!
(呼んでくれないと・・うふふふ♪)
「・・・これが引かれるレベルか、うーむ」
説明をしていた時の真面目で優しそうな雰囲気から一変、その妖艶な笑みのまま別れの挨拶をするとその姿をスーッと虚空に消していったミズナ、俺が思わず消えたと言おうとした瞬間耳元でミズナの声と甘い吐息が零れ思わず背筋に冷たい物が流れる気がした。
「あれがヤンデレか?」「ヤンデレってなんだ?」「わかんない!」「けど何か怖い!」「怖いなら間違いじゃないな!」「言えてる!」「あとちっぱ!?」ボチャン!
俺が自分の体質について苦笑いを浮かべていると周りのちっさい精霊達が騒ぎ始める、しかしそんな言葉どこから仕入れてくるのだろうか? そして怖いは良いがある局部に関する話題はアウトの様で、途中まで言った精霊がどこからともなく高速で射出された水弾によってまた、泉へと撃墜され同胞と同じように無残な姿をさらしていた。
「「「「無茶しやがって・・・」」」」
「ところでお前らは消えなくていいのか?アリーネ起きると思うけど?」
そんな一連のコントに苦笑いを深めながら、何故か泉に向かって敬礼をしている精霊達に目を向け残っていて大丈夫なのかと聞いてみる。
「大丈夫!」「姉と違って私たちは普通の人には見えないから」「からー」
「なるほどそのための眼鏡か・・しかし眼鏡なら声は聞こえないんじゃ?」
「見えてれば聞こえる」「なんでかなー」「そういうものです」「ご都「「「アウトー」」」」
「楽しそうだな・・」
順番に話しながら眼鏡や自分たちは普通人に見えないことなどを説明してくれる、その姿はとても無邪気で和むのだがそれでも彼女達は精霊である、気を付けておかないとまたいつ左目の悲劇再びになるか分からないのである。と考えていると後方からアリーネの起きそうな気配を感じる。
「う・・うう・・・はれ? ここは?」
「お、アリーネ起きたか水汲みはもう終わってるから後は帰るだけだぞ」
「あれ? 私なにしてたんでしょうか? んー水汲みに遺跡に入って・・もしかして寝ちゃったんでしょうか?」
どうやら全力で寝ぼけているようで記憶も曖昧なのか現状を把握するためにキョロキョロと周りを見ている。アリーネの周りにも精霊は居るのだがやはり見えていないようである。
「覚えてないならその方がいいんだが・・」
「・・・!!! そうですお化け! お化けが・・居ない? もしかしてユウヒさん倒したんですか?」
「残念だがお化けは最初からいなかったよ、水の精霊が悪戯でもしたんだろ」
覚えていないならその方向で誤魔化そうかと思ったのだが、泉をじーっと見つめた後思い出したのか驚愕の表情で固まると、慌てて飛び起きお化け! と叫ぶがどこにもそんなもの居ない為か俺が倒したのかと聞いてくる始末。
俺はそんな風に笑いながら適当に誤魔化す、まぁあながち間違いでは無いが・・何故だろうかまたミズナがどこかで凹んでいる気がしたのだった。
「はぃ? んーありえないことは無いですけど・・でもよかった何も無くて」
「ほら、さっさと帰るぞー」
「あ! 置いてかないでくださいよ! ってよく考えたら私って水汲み全部ユウヒさんに!?」
「気にするな俺は気にしない!」
「普通しますよー! まってくださーい」
どうやらミズナについては誤魔化せたようだ、教えたところで信じるかどうか微妙ではあるが。そんなやり取りをしながら俺達は無事採取を終わらせ、外で待っていたそー君と共に学園都市への帰路に着くのであった・・遺跡の中で精霊達が怪しげな会話をしていることに気が付かぬまま。
「くすくすくす」「たのしかったねー」「んー・・」「なんだ? どしたー?」「ついて行こうかな」「それならこっそりと」「うふふふ楽しそう!」「すにーきんぐみっしょんだ!」「すとーきんぐだー」「おまわりさーんここに犯罪者予備群がいまーす」「「「あはははは」」」「犯罪じゃないもん! たとえ犯罪でも愛と言う名の犯罪なんだから!」
その日とある遺跡の周辺で水精霊の集団が楽しそうに移動していたのだが、気が付く人は誰も居なかったのだった。
「すーすー・・」
そんな姦しい場所から遠く離れた場所、温かい光に包まれ柔らく暖かいそよ風が眠りに誘う場所、そこはこう呼ばれていた『女神の揺り籠』と、
「揺り籠で寝る齢でも無いだろうにねぇ」
「メディーナちゃん・・一応私たちの母親なんだけど毒がきついよ」
そこにはラビーナとメディーナの二人、それからその二人が見つめる先に気持ちよさそうに眠る女性が一人、素材不明の柔らかそうなベッドの上で自らの長い長い温かみのある金色の髪に包まるようにして寝息を立て、髪と薄い布に包まれていてもその存在感を放つ胸の豊満な二つの巨峰をゆっくりと上下に揺らしていた。しかし一応と付ける辺りラビーナの発言にも毒を感じるのだが、彼女は気づいてないようである。
「・・・あたしは蛇だから毒も吐くさね、それにしても気持ちよさそうに寝ちゃって」
「もぅ、そうだね・・起きるかなぁ?おかーさーんおきてーおはなしがあるのー」
この気持ちよさそうに眠る女性、実はこの世界でもかなり上位に位置する豊穣の女神であり苦笑いする彼女達を神の位へと昇華させた女神の一人でもある。そんな偉い神で信仰も各地で行われ大きな神殿なども建ててもらえるほどの神なのだが、基本この世界の神は上位に位置するほど性格に難がある様で、この女神は二人の娘の言葉通り基本いつも寝ているのだった。
「・・・うぅ・・あと5千年~・・」
「「それは流石に寝すぎだ(よ~)」」
ラビーナの必死の覚醒行為で目を覚ましたかに見えた彼女は一瞬薄目を開けるとお馴染みのセリフの強化版を言い放ちもそもそと動くだけだったが、娘二人のシンクロつっこみによりもう一度目を開く。
「んー・・あらぁ? まぁまぁ夢の中にラビーナが~うふふ~一緒にねんねしましょうねー」
「ほえ? わわ! おかーさんおきてー寝ぼけないでー!」
しかしそれは覚醒ではなく寝ぼけた状態だったらしく、ラビーナを視界に入れるとあらあら~と嬉しそうに微笑んだ後、その綺麗な細い両腕でラビーナを確保するとその二つの巨峰の間に挟み込むようにしてベッドの中に引き摺りこむのであった、その様子は差し詰め、
「・・・ウサギ(ラビーナ)がトラバサミ(眠るおかーさん)に引っかかった・・帰るか「たすけてよー!?」」
とメディーナが思わず零してしまうような姿だった、疲れた表情をするメディーナは現実逃避の為にそのまま帰ろうとするものの、もがきながら必死に助けを呼ぶラビーナの声に振り向き。
「ふぅ仕方ないな・・ふっ!」ゴスッ!
「ゲフッ!」
溜息を一つ吐きそのトラップ(おかーさん)に近づくと徐に振り上げたしなやかな手を重力加速度の何十倍もの加速でトラップ(おかーさん)のお腹目掛けて振り下ろしたのであった。
「め、め、メディーナちゃんそれは容赦なさすぎ!?」
「安心しなこの人はこのくらいでくたばりゃしな・・」
目の前で展開された衝撃映像にラビーナは若干涙目になりながらメディーナを注意するもまったく気にした素振りの無いメディーナ、しかし彼女はその言葉を最後まで言う事が出来なかった。何故ならば今目の前には、拘束されてもがいていた居たはずのラビーナがベッドの上で上半身を起こしてる姿しか見当たらず、ある女性の姿が忽然と消えていたからだ。
「んふふーそうねーお母さん強いから大丈夫よー? でも、悪い子にはお仕置きが必要ねー」
「はわ!?」「いつの間に!?」
「それ~うふふ~捕まえた~ほれほれほれー」
「うわ! やめろ!? 抱き着くな! って頭をなでなでするなー! やめむぅぅぅ!?」
そして次の瞬間その女性はメディーナの真後ろに現れニコニコと楽しそうな表情を浮かべ、メディーナの耳元に唇を寄せると、審判を告げまたもトラバサミのごとく今度はメディーナを後ろから抱きしめると頭をなでたり頬ずりやキスを始めるのであった。
「あははは・・」
「あなたは中々甘えてくれないから~離してあげなーい♪ ・・ところで何か用? 用が無くても全然かまわないけど♪」
「用がなければこんなところ来るか!」
そんな二人のやり取りをラビーナはベッドから降りながら渇いた笑いで見守っていると、彼女たちの母親は表情を不思議そうにしながら要件を聞いてくる。しかしその顔もまたすぐにニコニコ顔へとコロコロと表情を変える、そんな楽しそうな母親に未だもがきながらメディーナは憎まれ口を叫ぶしかしその拘束は解かれる事は無かった。
「あはは・・あのねおかーさんに聞きたいことがあって「その前にたすけろー!」んー無理?」
「ふふふ、聞きたい事ね何でも聞いてみなさい」
「実は・・・」
苦笑いを浮かべながらアミールからお願いされた件で相談をするラビーナ、そんな彼女に助けを求めるメディーナだがラビーナは人差し指を下唇に当て首を捻ると即座に諦め、その答えを聞いて予想はしていたのかメディーナは力尽きたように脱力するのだった。そんな二人のやり取りを見てどこか嬉しそうな顔をするとなんでも聞きなさいと話しを進める女神おかーさん、それからラビーナは今までの経緯を説明しだす。
「ふーん?そんな事が、と言うより管理神の方変わったのねぇ良い事聞いたわ~」
「いつも寝てばかりだから気が付かないんだ・・」
一通り説明を聞いたおかーさんは良い事聞いたと嬉しそうに笑う、そんな彼女の胸に埋もれる様に後ろから抱きしめられたメディーナはぐったりとしながらも毒を吐くのだった。
「そんなこと言ってー寝ないと育たないのよ~? こことかこことか「どっちも胸だし! 揉むなー!」もぅ」
「おかーさん・・」
そんなメディーナに対してその母親たる女神は成長の乏しいメディーナの双丘を鷲掴み身にするとその形が変わるくらいむにむにと弄り始め、ぐったりしていたメディーナも激しく抵抗を再開する。流石にそんな母子の姿にラビーナは疲れたような声で呼びかける。
「・・そうね最近少し世界に揺らぎを感じたし、管理神が変わったのなら色々話したいこともあるし・・どんな人なのその管理神の方は」
「とてもやさしい人だったよ! でも何だか書類の山の中に居たけど?」
そのラビーナの声にやりすぎた感を感じたおかーさんは、表情を真面目な顔に戻すと最近世界に揺らぎを感じたと言い新しい管理神について聞き始める。その質問に通信した時の事を細かく話し始めるラビーナ。そしてその隙に逃げようとしたメディーナだったが、即座に抱きしめ直されるのであった。
「・・ふーんそれなら一度話してみようかしら用もあるし」
「はぁ・・寝てばっかのあんたが何か用なんてあんの?」
ラビーナの説明を聞きながら真面目な顔で一瞬何かを考えると用事があるらしく会ってみようと言い出すおかーさん、そんな彼女に対してメディーナはまたも毒を吐く、どうやらこの二人の間ではこういったやり取りが普通の様である。しかし毒を吐くメディーナの表情はどちらかと言うと嬉しそうでありその毒を受けるおかーさんも優しい微笑みを向ける。これもまた不器用なれど家族愛なのであろうか。
「ふふ、あるわよー私も一応上位の女神ですもの、ちょっと危険物の引き取りとかね」
「「危険物?」」
「そ、危険物よこの世界へ流入してきたものや古代の人々の行き過ぎた遺産とか・・この辺に~」
やさしく笑うと今まで拘束していたメディーナをするりと開放し要件について話すおかーさん、彼女はシンクロする二人の娘に説明しながら、大量の何か良く分からない物が突っ込んである大きな木箱のまえまで行くと頭をその木箱に突っ込み何かを探し始める。
「そのガラクタ入れに危険物入れてるっての?危ないなぁ今度から近づかないようにしないと・・特にラビーナは気を付けな?」
「はぁい」
危険を感じラビーナを連れて木箱から少し離れるメディーナそんな彼女の注意に素直に返事をするラビーナしかしそんな二人に更なる爆弾が落ちる。
「入れてるって言うかぁ全部?」
「「全部!?」」
「でもおかしいのよ、見せようと思ってた物が無いのよねぇ?」
木箱へ無造作に突っ込まれている物すべて危険物だと言うおかーさんに二人は驚愕の声を上げる、上位の女神たる母親が危険だと言う代物だどんなに危険なのか分かったものではないのだ、しかもこともあろうにそんな危険物が見当たらないと言う。
「無くなったの? どんな物?」
「古代の遺産みたいな物なんだけどね豊作や豊穣っていった概念を高濃度に圧縮して魔力と混ぜた液体なんだけどぉラビーナは豊穣の力もあるし見せようと思ったんだけどね・・・この間女子会やった時に無くしたのかも」
ラビーナが心配そうに何が無くなったのか聞くと探し物の詳細について説明を始める。しかしその効能はそれほど危険を感じるものではなかったので少し安心し、少し見て見たかったなと頭の上の長い耳をぴこぴこ動かす。またこの世界の女神は女子会をやる様であり、そこはやはり女性と言うことなのだろうか。
「なにやってるのさ・・と言うより無くなる状況が分からないよ」
「あの時ここの道具使って一発芸大会やったのよぉ楽しかったわぁ」
「「・・・・・・」」ぽす・・
なんで危険物のある場所で女子会をやるのか、その上にどうしてそれで無くなるのかと段々と疲れが増していくメディーナは力なく呟く、しかしその疲れは母親の楽しそうな声で一気に増加したのかフラリと隣に居たラビーナの胸に倒れ掛かるメディーナ。
「でーその液体なんだけどちょっと変質してて、降りかけた植物とか生き物を増殖させる効果になってて危ないから管理神に処理をお願いしようと思ってたのー」
「・・・あたしなんだか疲れてきたよ帰るわ」
「え? ちょっと待ってメディーナちゃん!? えっとまた来るねおかーさん!」
「はぁいまたいらっしゃーい♪」
「まって! まっててばーメディーナちゃーん!」
「・・・・・・・・・・・・・」
さらに危険な説明を続けるおかーさんの声にメディーナはストレスが許容量オーバーしたらしく、ラビーナの胸の谷間から顔を抜くとフラフラと元来た道を帰って行く、そんなメディーナに慌ててついて行きながらまた来るとおかーさんに伝えると、どんどん先に行ってしまうメディーナを追いかけるラビーナ、そんな二人の母親たる女神は二人の可愛い娘が見えなくなるまで手を振り続けるのだった。
「あぁあ、いっちゃった・・・うーんそれにしてもアレどこに行ったのかしら?何か騒ぎになってなければ・・いいけど・・すーすー・・」
娘二人を見送り少し寂しそうな顔の女神は、ベッドに向かって歩きながら無くなった危険物についてウンウン唸り考えていたがそのままベッドにボスンと飛び込むと、一分と経たずに心配しながらも寝息を立てて寝てしまうのであった。
いかがでしたでしょうか?
今回のお話はこの異世界の事についてふれるお話などを書いてみました。この精霊と言う存在がユウヒの周りを楽しく彩ってくれるのではと思いこの先を書き進めるのが楽しみです。
それでは今回もこのくらいにまたこの場所で会いましょう。さようならー