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ワールズダスト  作者: Hekuto


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第四十二話 ユウヒと新たなる力(厨二病)

 どうもHekutoです。


 ネタは浮かべど筆は進まず・・はいつもの事ですけどね、と言うわけで四十二話出来ましたので読んでみてください。




『ユウヒと新たなる力(厨二病)』


「うぅ・・う」


(くすくすくす)


 妙な息苦しさに気が付くと辺りは真っ暗でいつの間にか目を瞑ってしまっていたようだ。そんな時どこからともなく笑い声が聞えた気がし目を開けるとそこは暗く何もない場所だった。右も左も上も下も何も無い、しかし真っ暗では無く不思議と自分の体を確認できるだけの仄かな明るさがあった。


「う・・ここはどこだ?」


(ふふふふ)


(くすくすくす)


 そんなわけのわからない状態で現状の把握をしていると、先ほども聞こえた子供のような少女のような少年のような笑い声がどこからともなく聞こえてくる。


「おいおいなんだホラーか?」

 そんな笑い声とわけのわからない現状に昔見たホラームービーを思い出し若干冷や汗を掻く、そういえばあのホラーは夢落ちだったな・・夢・・。


「これは夢か・・!ってことは不寝番中に寝てしまったと言う事かぁまいったなー」


「くすくすくす・・ねぇ見える?」


「見える見える?」

 これが夢だと言う事に気が付いた俺は、護衛中だと言うのに寝てしまったと言う事実に苦い顔をし頭を掻きながら首を捻っていると、今まで何もなかった目の前の空間に20㎝くらいの人影が複数現れ話しかけてくる。


「なんだ? 妖精? 夢に妖精が出てくるとか厨二病再発か?」

 遥か昔に封印した病を思い出し苦笑いを浮かべながら目の前の人影を注視する。大きさはさっき言った通り小さく、体型はスレンダーだが女性を思わせる凹凸があり全体的に濃い青色だが髪や肌そして服にあたる部分で多少の色合いの違いや模様など入っているので人間の目には十分人として映るだろう。


「見えてる! 見えてる!」


「やったやった!」


「あーまあ見えてるが何なんだ?」

 どうやら彼女達にとって見えてる事はとても嬉しい事の様で、何もない空間を楽しそうに飛び跳ねて燥いでいる。


「でもだめ! ここから出たらまた見えなくなる・・」


「こまったそれはこまった・・」


「そーかーこまるのかー俺も不寝番中に寝ちゃってこまってるんだよなー」

 燥いでいたかと思うと急にしょぼんとテンションを下げる妖精達、これはいったいど言う夢なのだろうか? 夢占いとか結構面白くて気にする方だが流石に手元にその手の本が無いのでは妖精が出てくる夢がどんな意味があるのかわからず余計に気になり、適当に相槌をうちながら考えるが、


「あなたもこまったの? こまったね!」


「そうだ! 見えるようにすればいいんだ!」


「なるほどー! あたまいい!」


「どうやるの? どうやるの?」


「こうするの!」バシュン!

 気にはなるもどこかあどけなく無邪気な妖精たちの会話を聞いていると、心が温かくなってきてこんな夢ならきっといい夢なんじゃないかと思いながら俺はその会話を聞いていた。よく会話の内容も夢占いでは重要とか聞いた覚えもある、ところで困った事の打開策は何だろうなと考えた瞬間俺の顔の左側をものすごい勢いで水の塊が通過していく。


「・・うぉわ!? なんだ! 攻撃か!?」


「よけちゃだめ!」ドシュン!

 どうやら当らなかったことがお気に召さなかったのかさらに水の塊を飛ばしてくる妖精、これは直撃コースだと直感した俺は慌てて体を捻り避けると左肩を掠めるように飛んで行く水の塊


「ほわう!? いやいや無茶言うなよ・・」


「だめなの!」ビシュシュシュ!


「まてまてここは平和的に話し合いでっておいー!?」

 一発では当たらないと思ったのか今度は小さな水球を複数放ってくる、水球の軌道事態は違うがどうやら狙っているのは同じ場所らしく避ける事は難しくない、と平和的な交渉をしつつ避けていたのだが、


「「「「「わたしたちがつかまえているうちにわたしたちごと! はやく!」」」」」


「ありがとうみんな! ・・だいじょうぶだからね痛くしないから・・」


「なんだその熱い展開は!? そしてそれは痛く感じる暇も与えないって事ですねわかりま!」

 どこかの熱血ヒーロー物に出てきそうな熱い展開に持ち込む妖精達は、数人がかりで俺の両腕と腰や両足にしがみ付くと自分達ごと俺を討てと言うのだ、このパターンだと俺は悪役側なのだが俺が一体何をしたと言うのか、そんな状態に慌てる俺を後目に水球による攻撃を繰り返していた妖精は不吉な言葉とハイライトの消えた不気味な目で両手を揃えて構えると、エネルギーチャージと言わんばかりに力を溜めだしそして・・・。


「くらえーーー!」キュゥンキュンキュン!・・カッ!


「ぎゃああぁぁぁぁ」

 気合の入った可愛い声と共に間欠泉のごとき水の奔流が放たれ、それは寸分違わず左目・・もとい俺の顔面全体を飲み込んだのであった。




「は! はぁはぁ・・・夢か・・心なしか直撃くらった左目が痛い気がする。まさかこれは厨二病の痛みか? なーんて、はははまさかねー」

 ウッドデッキに寄り掛かるように寝ていた俺は何ともリアルな痛みを感じた夢に跳び起きると、乾いた笑いを浮かべるも幻痛だろうか少し痛みを感じる左目が気になり、調べるため周りの適当な材料を使い合成魔法で即席の鏡を作り出す。


「うんちょっと暗いな、優しく灯れ【光明】」

 周りは暗くまた焚火のひかりでは光量が足りなかったため灯りを灯す新しい妄想魔法も作りだしキーワードを唱えた、こうも簡単に使えるとはだいぶ妄想魔法にも合成魔法にも慣れたモノである。しかしそんな事を考えていた俺は左目を見た瞬間その異常に一瞬だけ言葉と思考を完全に停止させてしまうのだった。


「っ! ・・・これは、いったい何があった、あーとりあえず右目で調べるか」



【精霊の水眼鏡】

 水の精霊の力が宿った魔法の目、眼鏡と言っても物質では無く一種の精神エネルギー体で構成されており、対象の精神体に直接付与される為生きている間に取外すことは困難である。その効果は付与後次第に体と馴染んでいき2時間程度で完全に付与され、主に物質世界以外を見通す力と劣化することのない視力である、またドライアイにならないや目の疲れから来る肩こりや頭痛にならないと言う効果もあったりする。

 よく精霊に好かれたものがお願いして付与してもらうが中には好かれすぎて強制的に付与されるケースもある。代表例:ユウヒ



「おい・・代表例俺かよ! 俺以前にいなかったの!?」

 元の濃い茶色の瞳から深い藍色に変わってしまった俺の左目の、あんまりな解析結果に思わず大声を出してしまいそうになる。しかしまだ夜も明けぬ時間帯であり、アリーネやそー君を起してしまっては可愛そうだと必死に抑え小声で叫ぶと言う器用な事をする。


「はぁ、あーそうかそうなのか夢であって夢じゃなかったと言うことか」


(「ふふ、そこはエルフならではのやり方ね・・精霊は悪い人には寄り付かないもの、あなた相当好かれてるわよ?・・・ちょっと引くくらいに」)


 そんな風に声を押さえながら肩を落としていると、ふと某文房具屋のエルフが言った言葉を思い出し引くほど好かれるの意味の一端を感じ取れた気がするのであった。


「はぁ・・でもまあ親愛の贈り物だとでも思えばいいのかな、すでに片目は厨二だし両目になった程度大したこと・・ないわけないよねー」

 どんどんと悪化する厨二病に俺は頭を抱えたくなった、かと言って特に問題は無いと言えば無いとも思う、これまでもこの世界の人で両目の色が違う人を見かけたし、元の世界に帰っても別に問題があるわけでも無いどころか家の両親なら喜びそうだ、妹は良くわからんが疲れた目で見られそうではある。問題と言えば俺の精神的な疲労だがそれも今では強化され特にそこまできつくは感じない。


「ま・・なるようになるか」

 そんな感じで諦めの境地に至った俺はその後も不寝番を続け朝を迎えたのだった。





「うぅん・・はれ? ここは?・・・」

 朝日が顔を出し始めた頃、ピンク色の丸い大きな天蓋付ベッドの中央で丸くなるように寝ていた女性は目を覚ますと、寝ぼけ眼で上半身を起こしキョトンとした顔で辺りを見回し疑問の声を上げる。


「・・・ああ! そうでした採取に来てそれから・・まさかこんなふかふかベッドで寝れるとは思いませんでした」

 どうやら思い出したようでふかふかのベッドの弾力を手で確かめながら、昨日の寝心地と今日の目覚めの快適さに嬉しそうに微笑むアリーネ、しかしそれも束の間何か思い出したのか顔を上げる。


「は!ユウヒさんは!」

 そう言うな否やバタバタとふかふかのベッドから慌てて出ると、出入口へと小走りで近づき開けようとした瞬間ぴたりと止まり自分の姿を見るアリーネ、そして何かを認識して顔を真っ赤にする。


「わわ!? こんな恰好では出れません! 着替え着替え」

 それもそのはず今のアリーネの姿はまさに生まれたままの姿で、かろうじて今は結われて無くいつもはポニーテールにしている長く明るい茶色の髪が、その女性らしい身体の要所要所を隠しているだけで少しでも悪戯好きな風が吹けばすべてが露わになってしまう恰好である。


「って! あわわ!? <ボフッ>ふかふか~・・・って違います!? 着替えないと」

 慌ててベッドの端に置いてあった着替えを手に取ろうとベッドまで小走りで戻る、しかし寝起きの為か運動音痴の為か自らの足に足を絡めると言う器用なことをしそのままベッドにダイブしたアリーネは、そのままベッドの魔の手にかかり二度寝に移行しそうになるも慌てて起き上がり着替えを始めると言う慌ただしい朝を迎えるのであった。





「ん? アリーネが起きたようだな・・ここでエロゲの主人公ならおはようと言いながらドアを開けわざとらしくラッキースケベを堪能するのだろうが・・うーむ」

 昨日の竈で朝食用にスープを作っていると後方のテント? の中から何やら騒がしい気配がしてくるのを感じ、アリーネの起床に気が付いた俺は何となくこのシチュエーションにあり気なネタが頭を過り思わず呟いてしまう。


「う?(どうかしたのか?)」


「ん? いや、おれは主人公には成れないなと思ってなー」

 俺の呟きに反応したそー君が水を飲むのを止めてこちらに振り向き聞いてくるが、流石に呟いた内容を伝えても分からないだろうと思いぼやかして伝える。


「うー(ふむ、しかし皆自分と言う名の物語の主人公なのだユウヒ殿も成れているさ)」


「なかなか深い事を言うなーそー君は」

 俺のそんなぼやかした話にも真面目に答えてくれるそー君は実にいいおとこだと思う、そしてその渋い声で深い内容の励まし? をしてくれたそー君に感心すると、


「うー・・(そうでもない・・)」

 と言いながら顔をそらすのだった、その顔からは分からないが声からは明らかな照れが読み取れるのだった。


「さてこんなもんかなぁ、とりあえずアリーネが出てきたらご飯にしてそれから水汲みかね」


「お、おはようございます!」

 小鍋で作っていた干し肉と少々の野菜で作った簡単なスープがいい感じになってきたので遺跡の方を見ながら今日の予定を予想していると、ドアの開く音とアリーネの挨拶が後ろから聞こえてくる。しかし振り向いて見たアリーネの顔は何故か若干赤い気がしたのだが、朝からそんなにハードな事でもしたのだろうか? 確かに大声を出していたような気はするが。


「うー(おはようアリーネ)」


「おーおはよう・・朝から大騒ぎしていたみたいだが大丈夫か」


「だ、大丈夫です・・よ?」


「うー(何故疑問形)」

 そんなアリーネと朝の挨拶を交わす俺とそー君、やはり挨拶は良好な関係を築く上で重要な要素だと思う、しかし俺の問いに対して何故かぎこちなく返事をするアリーネはそー君につっこまれるのであった。


「そうか、簡単なスープを作ったからとりあえず朝飯にしよう」


「あ、はいありがとうございます」

 そんな感じで今日もいつも通りの非日常を迎えるのであった・・一部を除いて。


「(しかし馴染むと言っていたが、すでに2時間以上経っているがいつもと変わらないんだよな・・)」





「・・・そうですかそんな事が」

 ここはウィルニス湧水地遺跡内部、そこには多数の小さい人影が自由気ままに飛び交っていて遺跡中央にある泉の上には一人の女性と小さな人影が話をしていた、その小さな人影はユウヒの夢の中に出てきたあの妖精であった。


「うん! だから今みんなを集めてるの! いっぱいいたら喜んでくれるよね?」


「むしろびっくりして逃げ出しそうですが・・しかしそう言った事をするときは事前に相談するように、いいですね?」

 どうも妖精の話から考えるに誰かを喜ばせたいようであるが、誰を喜ばせたいかは説明するまでも無くユウヒであろう、そのどこかズレた発想に女性は疲れたような顔で呟いた後妖精の行動について注意する。どうもユウヒに与えた物の事のようである。


「うーわかったー」


「本当にわかってるのでしょうか・・しかしその人間には一度お詫び申し上げる必要がありますね、あなた達も集まるのは良いですがいきなり出てきてびっくりさせないように良いですね?」

 女性の注意に妖精は渋々と言った感じで返事をする、そんな小さな妖精の様子に女性はまたも疲れた顔で呟くも表情をすぐに戻すとこれからの行動方針を決め始める。その言動などからわかるように彼女もまた妖精と同じく人ならざる者のようである。


「「「はーい♪」」」


「・・・はぁ」

 彼女の注意を聞き楽しげに返事をする多数の妖精達、そんな彼女達に綺麗な青色の足元まで届くような長い髪を揺らしながら、真っ白な肌の頬に細い指を添え溜息を吐く女性、その姿はまるで作り物のように美しくまた、水以外何も無い泉の水面に立ち水面から現れる青く淡い光に照らされる彼女の姿とても幻想的であった、がその疲れた顔には感情があり現実のものであることを証明しているようでもあった。


「人間さんまだかなー」


「はぁ・・その人間さんが理解ある方であることを切に願います・・」


「だぁいじょうぶだよーあははー」

 少なくとも彼女が苦労性であることはこの一連の会話から読み取ることができるであろう。





 俺達は朝飯を摂った後テント? を片付け荷物の番をそー君に任せ、水汲みの為遺跡内部に来ている。


「ふむ・・これは便利だな」ゴロゴロゴロ


「でしょーこれ学園の工兵科の人が作ったらしいですよ?」ゴロゴロゴロゴロ

 このゴロゴロと言う音は樽を転がしている音なのだが、その為にアリーネが取り出した道具が便利だった。樽事態は良くあるワイン樽の様な形でその樽を横倒した後その平べったい両側に何か補助輪のような物が付いた器具を取付けた後ロープを付けるだけで、簡単に持ち運びができるようになったのだ。その姿は手押し式のロードローラーの様であった。


「ふーん工兵科か」


「兵士科の一つなんですけど、まぁ工兵と言ってもちゃんとした兵士になるのは半分くらいで後は技術系に転科したり土木関係に進んだりするらしいですけど?」

 この樽を運ぶ器具、現在は持ってきた樽をすべて連結してまるで電車ごっこのようにして運んでいるが、どうやら学園の生徒が作った物らしい。兵士科や工兵科など聞きなれない学科に異世界っぽさを感じていたが、その進路の行き方はまるで俺の世界の学校と一緒の様だと感じるのであった。


「まぁそんなもんなんだろうな、それより余所見しないで前向かないとこけるぞ?」


「むーそんないつもこけたりしてるわけじゃないですー」

 樽電車を引く俺の前方を歩くアリーネは俺に話をするたびこちらを振り向くのだが、比較的平坦な道であるものの小石や何かが落ちているので足元を注意するように言ったのだが、心外ですと言った感じで反論してくるアリーネ。しかしすでに遺跡入り口の小さな段差で蹴躓いているのだ。


「・・・・まったく信用できないな」


「むぅぅもう! そんな事言うひ・・と・・・」

 つい零れた俺の本音に頬を膨らませると、ぷいっと前を向き不平を言いながらズンズンと前に進んでいくアリーネ、しかし泉のある広間に入った時その不平が止まりまるで石になったかのようにピシリと固まる。


「ん?どうし・・」


「お、お、おば、おばけぇぇ!?」


「・・いやあれは」

 俺は樽を引きながらアリーネの隣まで来るとアリーネの顔を覗き込み声をかけた、その瞬間まさに顔面蒼白と言った感じのアリーネは前方を向いたまま叫び声を上げる、と言っても部屋全体が淡い青色で満たされているのでその顔色を正確に測るのは難しいと、どこかズレた考えをしながらアリーネの視線が固定されている前方を見ると、どこかで見たような気がするちっこい人影と水面に立つ女性の姿が映った。


「きゅ~・・」ドサッ!


「あぁ・・世話の焼ける御嬢さんだ、丁度いいと言えばいいが」

 そんな泉の人影を確認していると俺の隣に立っていた気配がぷつりと途切れ地面に沈んだのであった。しかしこれから起りえそうな展開を考えると意識が無い方がいいのかもしれないと考えながら何が起こっても大丈夫なように気を引き締めて泉の方に目を向けると。


「・・・お化け・・」しょぼん・・


「いやそっちも凹むのかよ」 


「あははは」「くすくすくす」「おばけ?」「おばけって何?」「なんだろねー?」

 泉の水面に立っている謎の女性はとてもショックを受けたのだろう、悲しそうに潤ませた瞳でこちらを見ながらぼそりと呟いている。どうやらお化けと言われたのがよほどショックだったようで、その周りで無邪気に燥ぐちっこい妖精たちの言葉によりさらにその深みに嵌っているようであった。


「人間さん! また会ったね! 見える? 見えてる?」


「あーなんだこのカオスな状況は・・とりあえず見えてるしお前夢で俺に水撃ち込んできた奴だな? まったく、いろいろ言いたいこともあるがとりあえずあそこの人を復活させてくれそして他の奴らも落ち着け」

 一人? の見覚えのある妖精が俺の鼻先近くまで近づいて来るとあの夢の中と同じように話しかけてくる、そう見覚えがある。あの夢の中で俺に水を使い攻撃して来て、左目が厨二病に侵される原因となった妖精である、さらにワラワラと俺の周りに集まり始める妖精達はとんでもない数だった。見た目も大きさもまちまちだが揃って楽しそうに話しかけてくる。別に恐怖も何も感じないがこれでは一向に話が進まない為、一番話が分かりそうな未だに落ち込んでいる女性を復活させて話を聞くべく、目の前の妖精に復活の儀式を頼んだのだった。


「・・・・・私そんなに怖いかしら・・」


「ん~?わかったー!」

 俺の願いを聞き届けてくれた妖精は方向転換をすると意外と速いスピードで女性の所まで飛んで行き周りにいた妖精達も着いて行き女性を励まし始める。だがそれで復活するのであろうか・・時折聞こえてくる声は、


「元気出せ?」「もっと熱くなれよ!」「お前ならやれるって!」「その胸は飾りか!」「ちっさいから元気ないのでは?」バシバシッ!!「ひ!?」「2機も撃墜された!」「ウィルニスのちっさいのはばけっ」ガッ!


 などと言うまるでコントのようなやり取りが繰り広げられ次々と妖精達が泉の中へ叩き落とされていた、落ち込む女性と無言で振られる手と落された妖精がぷかぷかと泉に浮いている姿はどこまでもシュールであった。


「きゅ~・・」


「こっちも駄目だなしばらくは起きなさそうだ、ここは小石とかあるし向こうに寝かせとくか」

 向こうもこっちもいろんな意味で駄目っぽい女性を抱えている状況になんだか疲れを感じつつも、俺はアリーネをお姫様抱っこで抱えると痛くなさそうな端の方に寝かせた。そして事が進みだすまでにそれから数十分の時間を要するのであった。




 いかがでしたでしょうか?


 今回はユウヒ達メインの話でしたが世界の広がりを感じれるような話も書きたいと思っていたり、そしてネタもいろいろと書きたいですね。


 それではこの辺でまたこの場所でお会いしましょう。さようならー

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