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ワールズダスト  作者: Hekuto


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第四十話 冒険者と薬師と

 お久しぶりですHekutoです


 更新スピードがうんと下がりましたがまだ生きてます。そんなこんなでいつの間にか四十話はじまります。





『冒険者と薬師と』



 それは爽やかな朝の空気の中に悠然と佇んでいた。


「この子が私達を運んでくれるストゥラカウのソルイットちゃんです。そー君と呼んであげてください」


「うー・・」


「これは、すごく・・固そうです・・」

 アリーネの説明に思わずネタをこぼしてしまうほどに、今説明されたストゥラカウのそー君はその固く引き締まった体をしていて、こちらを向くとその深い青色の瞳でこちらを見詰め、うーと言う鳴き声を出したのだった。



【ストゥラカウ ♂】

偶蹄目

ラカウ科

ストゥラカウ種

 ラカウとは古代文明の時代から存在すると言われているウシの変異体でその中の一種としてストゥラカウが存在する。


 性質は非常に温厚で草食、仲間と認めたモノと共にいることを好み守ると言った特徴がある、中でも人族を好み古くから人と共に共存した歴史を持っている、しかし何故か彼らはエルフ族を恐れる傾向がありエリエス国にはラカウの仲間が居ない。


 体格は体高約130cm体重は500~700㎏で太い骨格と引き締まった筋肉、3%以下と言う体脂肪率が特徴である。彼らはそのウシとしては小柄な体格からは想像できないほどの走力を持ち最高速度は時速80㎞と言われていて、主に天敵エルフから逃げる時に最高速を出す傾向にあり、又・・・。




 ざっと右目で調べた結果がこれである、大きさ的にはジャージー牛と同じくらいの大きさのようだがそのこげ茶色をした筋肉の塊と言ってよい体からは大きさ以上の威圧感を感じた。


「あはは、よく厳ついと言われるんですけどストゥラカウの中じゃ小さい方なんですよ? それにとても温厚で優しい子なんですから、ねー?」


「・・う?」

 そんな風に俺が感想を漏らしじーっと見つめているとアリーネが笑いながら大丈夫だ、と補足するとそー君を撫でる、そー君はどうした? と言った感じでアリーネを見詰めている、そこで俺は彼と仲良くなるためにばれない様あの魔法を使う事にした。


「そうなのか・・【意思疎通】・・しばらく一緒に行動するユウヒだよろしくなそー君」


「う?ううー!(ほう?任されよ心通じるモノよ!)」


「あわわ、まるで本当に会話しているみたいですね? じゃそー君よろしくね、私が御者をしますのでユウヒさんは後ろに乗ってください」


 【意思疎通】の魔法により俺の言葉が通じ俺が差し出した手に鼻を摺り寄せながら返事をしてくれるそー君、そんな一人と一匹の姿にアリーネは仲良しさんですねと喜びながら荷車に乗るように言ってくる。尚、そー君は思ったより良い声でどこか歴戦の戦士を彷彿とさせる渋い声だった。


「う(さぁ乗るがよい)」


「すまないな索敵はしているから異常があったら伝えるよ」


「はい! よろしくお願いします」

 そんなこんなで学園都市を出発して北へ移動を開始し始めてから3時間、そー君は馬ほどではないがそれなりに早くとても牛の速度には思えない早さであった。


「この辺で少し休憩しましょう、道は残り半分くらいなので休憩後はそのまま目的地まで一気です」


「・・そう言えば目的地について詳しく聞いてなかったのだが、どんなとこなんだ?」

 現在川に沿って街道を走っていたのだがそー君の速度を緩めながらアリーネが休憩を提案する、どうやら川辺で一休みするようだそこで俺は今自分がどこに向かっているのかよく知らないことを思い出し聞いてみる事にした。


「あれ? ・・そういえば話してませんでしたねあははは」


「うー(アリーネはいつもどこか抜けているのだ)」

 あれ?っとアリーネは笑って誤魔化しているようだがそー君はいつもの事だと教えてくれる、この一頭と一人はある程度の付き合いがある様である。


「はぁ、湧水地と言うから水が湧いてるんだろうけど?」


「そうですね、私達が今向かっているのはですねウィルニス湧水地と言う場所です。エリエスと帝国の間にあるウィルニス山脈の雪解け水などが遠くこの辺りに湧き出てきてるんですよ」


 俺の質問に楽しそうに答えるアリーネ、御者をしながらこちらと前を交互に見ながら話しているので明るい茶色の長いポニーテールが揺れその度に髪の甘い香りが風に乗って流れてくる。そんな少しドキドキしてしまいそうな状態を誤魔化すように俺は頭の中で今出てきた地名の位置関係をアミール知恵袋を参照しながら想像するのだった。


「ふーん? それが特殊な水か綺麗な水ってとこか? それもこの樽いっぱいにねー・・そー君帰りは重いががんばってね?」


「う!(私にとってその程度容易い物よ!)」

 俺は背後の大きな樽四つを見ながら帰りの重量を想像し、そー君にエールを送るもそー君には問題にならない程度の事のようだ、いったいどれだけの力があの肉体に詰まっているのか若干考えるのが怖くなってしまう俺だった。


「うーむ本当に話してるみたいです・・あ、あと湧水地はただ水が湧いてるだけじゃないんですよ? 行けばわかるかもですがすごいんです! 着いたらまた説明しますね~」


「ほうなかなか焦らすのがうまいな、それでは楽しみにしていようかな」


 俺とそー君の会話に頭を傾げながらアリーネは続きの説明は着いてからです! と言うと休憩場所に着いたのか荷車を止め降りるとそー君を荷車から外し川辺へと連れて行く、俺も荷車から降りるとその後ろ姿を見ながらアリーネの焦らしテクニックに到着が楽しみだと一人呟くのであった。




「はぁ一息つけます」


 アリーネは大き目の岩に座ると溜息をついてそんな風に呟く、そして右手で何故かお尻の辺りを擦っている。


「そんなとこを擦って・・振動が痛かったのか?」


「はわ!? え、えへへ・・いつもはクッション持ってくるんですけど忘れちゃって」

 どうやら無意識で擦っていたらしく俺の問い掛けに慌てて手を戻し赤くなった顔で照れ隠しなのか笑いながらクッションを忘れたと言うのだった。そんなアリーネを見て痛いのは良くないなと思い俺は鞄の中から例の毛皮取り出すとアリーネに手渡した。


「ふむ、それならこれを代わりに敷くといい」


「うわぁ! 綺麗な毛皮・・これシリアルラットの毛皮ですねしかもこんなに綺麗な、でも良いんですかこんな良いもの敷いちゃって?」


「う、んん・・別にかまわないよ買ったわけじゃないし? まだあるし欲しけりゃまた狩ればいいわけだし・・・」

 手渡された毛皮に目を輝かせるアリーネ、しかしそれをお尻の下に敷いていいのかと頬を赤らめて上目使いで聞いてくるアリーネに少しドキっとしてしまい言葉に若干詰まってしまう、そんな事は置いておき実際タダで手に入れたのと変わらないので特に問題は無い。


「狩る? でもシリアルラットは普段森の奥にいるので見つけるの大変じゃないですか?」


「そういえば学園都市にはまだ暴走ラットの話は来てないのか?」

 そんな俺の狩る発言にアリーネはキョトンとして首を傾げ聞いてくる、どうやらシリアルラットは普段探すのが大変なようだ、しかしその反応を見る限り暴走ラットの件はまだ学園都市にまで連絡が行ってないのだろうか?気になった為聞いてみると。


「はい? 今何と? ・・・・まさか発生してるのですか?」


「ああ、学園都市に来るまでの途中な酷い目にあったよ・・それはその時に狩った毛皮なんだ」

 俺の質問にアリーネはキョトンとした顔をすると先ほどまで羞恥で赤らめていた顔を段々と青くしていき力ない声で逆に俺に尋ねてくる。なので俺は軽く経緯を説明したのだが。


「あわわ!? 私なんてタイミングで採取に出たんでしょう! すいませんそんな事が起きているのなら護衛は頼まず採取は延期にしたのに・・・ぁぁぅぅ・・」


「まぁ俺も言わなかったのも悪かったしな、それに暴走ラットの10や20ならアリーネを守るくらい問題はない最悪俺が囮になってアリーネは学園都市に逃げてくれればいいさ、俺はそう簡単にやられはしないしな」

 どうやら俺の回答は彼女に多大な混乱を与えてしまったようである、先ほどまでよりさらに青い顔で俺への謝罪やら自分のタイミングの悪さやら後悔を一通りした後頭を抱えてしまう、心なしか茶色のポニーテールも先ほどより力なく垂れている気がする。ちょっと居心地が悪くなった俺は元気付ける意味も込めて問題無いと勇気づける。実際にあれだけの数を倒した経験が俺に自信を与えてくれるのか俺は心から大丈夫と言えた、何となくこれが経験値でLVアップした気分なのかなとアホな事を考えていたのは秘密である。


「ユウヒさん・・ありがとうございます、つい取り乱してしまいました。頼りにさせていただきます!」


「ああ、そうしてくれと言っても今の所暴走ラットらしい気配も危険な生物の気配も無いから大丈夫だよ」

 さっきまでの青い顔はどこかに行ってしまい顔色が良くなる、気のせいか妙に血行が良いみたいだが悪くなった反動だろうか。今の所周囲に危険な反応は無いようなので、特に問題は無いだろう。


「ふふ、そっかーだからこんなに緑が鮮やかなんですねぇこれはかなり高級品ですよ」

 元気を取り戻したアリーネがそんな事を言いふかふかの毛皮に頬ずりをしながら説明してくれたのだが、シリアルラットの毛皮は暴走時その緑色を強めるらしくその状態で狩った毛皮はその鮮やかな緑色を残したままになる為特に高値で取引されるそうだ、道理で右目での解析した説明より緑色が濃く感じたのか・・てっきり魔法で洗浄したからかと思ってたぜ。


「ふーん暴走ラットの毛皮にはそんな秘密があったのかぁいい話聞いた! ・・ふふ、よかったらそれあげるよ?」


「え! 良いんですか!? 結構良い値で売れますよ? 今回の報酬より高いですよ確実に」

 至福の表情で頬ずりするアリーネ、その姿が微笑ましく毛皮の秘密を教えてもらえたのでお礼の意味を込めて渡した毛皮をプレゼントすることにしたのだが、報酬・・そこは自信を持って言う所なのだろうか?


「そんなに金に困ってないし言っちゃなんだがタダみたいな物だからな? 疲れたけど・・」


「良いのでしょうか・・それでは何かお困りの事があれば私にできる範囲でお手伝いしますね!」


「そうだな何かあったら頼ることにしよう」


「はい!」

 少しどうしようか悩んでいたようだが俺の説得?が効いたのか貰ってくれるようである、そのかわり困ったことがあれば言ってくれとの事なので何かあれば相談してみようかな。


「うーうー?(賑やかな所申し訳ないがそろそろ出発しないと暗くなるぞ?)」


「そー君がそろそろ行こうだとさ」

 そー君がそろそろ出発しないとと促してくるのでアリーネに伝える、しかし何気にそー君頭良いよね?この世界じゃ当たり前なのかね。


「そうですねそろそろ行かないと暗くなっちゃいますね、ありがとそー君♪」


「うー(気にするないつもの事だ)」

 人の言葉も聞き分けてるみたいだしなんだかそー君とアリーネを見ていると自分もペットを飼いたくなってくるな、かと言って旅をしながらじゃペットは難しいかなぁ。





 休憩のあと私達はそー君の引っ張る荷車に乗り込み再度目的地のウィルニス湧水地へと出発しました。その間もユウヒさんと楽しく会話をしながら行程を消化していたのですが、楽しい時とは進む時間を早くしてしまうようですでに空は夕暮れに染まりつつあります。


「ユウヒさんあと1時間くらいで着きますので楽しみにしていてください」


「ふむ、そんなに期待を持たされては楽しみにしないわけにはいかないな・・ところでアリーネ」

 そんな楽しい会話をしているとユウヒさんが急に私の名前を呼びました、その声に私が振り向くとその顔はどこか真剣な感じがし。


「はい?」


「アリーネって妹とかいる?」


「え? ・・・・なぜそんな事聞くのですか?」

 しかしユウヒさんの口から出た言葉は私の想像の斜め上を行く内容でした、なぜ今そんな話をしだしたのか・・まさかユウヒさんはそっちの趣味なのでしょうか?だからよく見る冒険者の人みたいな視線を向けてこないのではないか、そして私に妹がいたら・・いったい何をするつもりなのですかユウヒさん!?


「・・・何を想像して警戒してるのかは聞かんが、フォフィスンと言う名前になにか引っかかってたんだけど以前そんな名前の女の子に会ったのを思い出してね知り合いかなと」

 一度疑念が広がった私の心はその言葉を素直に信じていいのか解らなくなってしまいました、確かに私には歳の離れた妹が居ますが本当に会っているのでしょうか・・よく私は妄想のしすぎだと言われますが、しかしここで妹の名前を出すのは悪手だと思い少し情報を小出しにし様子を見ることにしました。


「なるほど、何て名前でした?たしかに妹はいますけど?」

 さあどうします!何と答えるでしょうか・・これで間違った名前だったら、昔から学園都市にはそういった趣味の人がよく来るのです! それ故、学園側は細心の注意をしているのですが。


「えーっとなんだっけ? んーエラそうエメラダって言ってたなやけに元気な女の子だったよ?」

 え?当りました・・確かに歳の離れた妹はエメラダと言います。今は幼いながらも高い魔法の才能を買われグノー王都で魔法士見習いとして学んでるはずですが、ほとんど城の外には出てないと聞いていたのですが一体どこで会ったのでしょうか。


「たぶんそれは家の一番下の妹ですね・・どこで会ったんですか?」


「そっかーやっぱりかどことなく似てる気がしたんだよね目の色とかそっくり」

 何故か私の問いをごまかすような感じで話すユウヒさん、なにか聞かれると不味い事でもあるのでしょうか? どうしても気になった私は少し失礼かもしれませんが未だ疑念が晴れない為、少し睨むように聞いてしまいました。


「・・どこで会ったのですか?」


「お、おお? ・・んー実はグノー王城の食事会の時にいきなり目の前に居たんだよね、あの時はびっくりしたよあはは」

 しかしユウヒさんの返答はまたもや斜め上を行く返答だったのです。王城の食事会と言えば王族の方や貴族に騎士やグノーの重鎮などの人達が集う場で、上流階級の人でも早々入ることのできないような場所です。そんな所に入れるなんてまさかユウヒさんは・・。


「王・・食事会・・あ、あの・・ユウヒさんってもしかして偉い人なのですか?」


「いや? 普通の一般冒険者だよ?」


「普通の人は王城で開かれる食事会に出ることは不可能だと思うのですが・・」

 まさかユウヒさんは凄い上流階級の人なのかと、若干尻込みしつつ聞いた私の問いにユウヒさんはキョトンとした顔でそれを否定するのです、その顔は先ほどまでの何かを誤魔化すような顔と違い本心のようでしたが、しかし普通の一般人レベルの冒険者が行けるような場所では無いのですが、その話を聞いていると疑念は別としていけないと思うも私の知的好奇心がいったい何があったのか知りたがってしまいます。


「んーアル、アルディス王子とお友達だからかな?」


「・・あはははまたまたご冗談を・・・本当なんですか?」

 ユウヒさんと話をしているとなんだか一生分の驚きを使い切ってしまいそうな気がしてきます、王家のしかも時期王候補とも言われるアルディス殿下をお友達呼ばわりしかも今愛称で呼びませんでしたかユウヒさん?きっとその時私何か別世界を見るような目で見ていたのでしょう、ユウヒさんは渇いた笑いを上げながら頭を掻いてました。


「あはは・・うん、まぁいろいろとあってねそこでエメラダ・M・フォフィスンって女の子とも少し話したんだよ」


「そうですか、そんな繋がりが・・(今度本人に聞いてみる必要がありそうですね)」


「ちょっと思い出しただけだから気にしないで大丈夫だよ・・ついでに俺はロリとかショタじゃないからね?」

 どうやら今回も私の考えすぎだったのでしょう確かにフォフィスンと言う家名は珍しいですからね、今度エラに聞いてみようと考えているとどうやらユウヒさんは私が頭の中でどんな事を考えていたのか完全に見透かしていたようで的確に私の考え違いを指摘してきて思わず言葉が詰まってしまい、


「え、そ、そンな事思ってませんよ!?」


「・・・・・」


「うー(思ってたな・・)」

 結局誤魔化しきれず、目的地到着少し前までこの微妙な空気は続いたのでした。





 所変わりここは自由騎士団アジト団長室。


「・・・・」


「・・・・はぁ・・そいつは【暴走ラット】だね」

 団長室には三人の人影、黒装束姿の女性は難しい顔をし御頭と呼ばれる女性は間を置き溜息を一つ零すとヒゾウの報せから想像できるとある災害の名前を呟く。


「暴走らっと?」


「そ、あんたらが見たまんま力尽きるまで暴れ回る一種の天災みたいなもんさ、魔物災害の中ではランクが低い方だけど・・」


「ヒゾウ、本当にその数で間違いないのか?」

 ヒゾウのオウム返しに対してお頭は簡単に概要を説明する。しかしその言葉のはどこか含みがあった。その理由はヒゾウ達に御嬢と呼ばれる黒装束の女性がもう一度聞いて来た数にある。


「んー数えるだけ数えてきただけだからなぁもっと多かったかも知れないな」


「ふぅ・・しょうがないね流石にそれだけ多けりゃ被害も洒落にならないだろうしね」

 通常の【暴走ラット】と言う天災はどんなに多くても300匹前後それに対して今回ヒゾウ達が呼び覚ました数は8千と言う途方もない数で、それは災害のランクとして推定でBランクと言うランクを付けられるほどの数である。ちなみにBランクと言うと家屋などに被害を及ぼす程度の台風や地震に匹敵するレベルである、それだけでもこの災害の危険性がわかるだろう。


「では討伐隊を編成します」


「いや、まずは村の救援からだよ分隊単位で小さい村優先に派遣しな、ここに残るのは最低限で良いよ」


「救援だけですか? グノー王家が動くと思いますが?」

 御頭の動きを見て御嬢がすぐに行動を開始しようとするが討伐隊ではなく救援部隊を編成するように言う、その言葉に御嬢は疑問符を浮かべた。


「無理だねこれは時間が命だグノーがどんなに迅速に動けても災害到達までに準備できるのは主要都市だけだろうね、そのうちこっちに依頼が来るさなら先に手を廻していいだろ?」


「ふむやはり我が来る前にそう判断したか・・流石姉御だ!」

 御嬢の疑問に答える御頭すると御嬢が了解の返事をするより早く、音もなく室内に入ってきたジライダがその指示を賞賛する。


「お、ジライダそっちはどうだった?」


「問題無い、姉御の予想通り王直々に小さな村の防衛依頼が来たぞ・・しかしヒゾウおまい少し遅くないか?」


「ドキ! べ、別に途中可愛い野良猫が居たから撫でてたわけじゃないぞ!?」

 ヒゾウがジライダの首尾を聞くとジライダは問題無いと答えるも、今頃報告していることに少し遅くないかとまさか? とヒゾウに冷たい視線を向ける。しかしその答えはなんとも予想外の答えで御嬢もジライダも力が抜け何とも言えない視線をヒゾウに向けるのだったしかし、一人だけその答えを聞いて怒りに震える者が居た・・。


「なんだと・・貴様! それで報告が遅れたというのか!」

 御頭である、予想外の場所からの怒気にヒゾウとジライダは腰が引け御嬢は今にも跳びかかりそうな御頭を止める。


「「あわわわ!?」」


「御頭落ち着いてください!?ヒゾウ謝れ!」

 そこはまさに一触即発の空気で満たされていた次の言葉が出るまでは・・。


「なぜ・・なぜ! そのニャンコを連れてこなかったーー!!!!」


「「「(そっちかー!)」」」

 その予想外の言葉に三人は全く同じ心の声を上げながら力が抜けた体でガクッと地面に伏すのであった。


「・・・ん?どうしたお前たち床に転がって? まったく最近癒しが足りないと言うのに、まぁいいそれよりさっさと防衛準備だ依頼が入ったなら即動く! ほらほら! 急げ」

 そんな三人を後目に正気に戻った御頭は準備を急かす、その前にはがっくりと地面に手を付く三人がボソボソと話している。


「(お頭が猫好きなのわすれてたわ・・)」


「(そうなのか・・じゃ今度から連れてこられそうなら連れてくるか?)」


「(御嬢も疲れてるな無理は良くないぞ?)」

 疲れた声を零す御嬢にヒゾウとジライダが励ましているようだ・・が、どこか行き場の無い怒りを覚えた御嬢はその怒りの矛先を、


「・・・さっさと準備するよ!」


「「ぎゃー!?」」ガシッ!ガシッ!

 二人のモブ忍者に向けると二人の足を片方ずつ掴みそのまま勢いよく引っ張り部屋を後にするのだった。何やら人体の固い部分が壁にぶつかるような音を響かせながら。


「? 仲良いなあいつら・・・良い事だね♪」





 いかがでしたでしょうか?一度二度と見直しをするたび変更点や誤字脱字が出てくる今日この頃・・・。


 そんなわけで何時の間にやら四十話プロローグあわせれば41話目まだ続いていることに自分が一番びっくりデスはっはっは・・・完結するのは何話目になるのか先はまだ続きそうですがお付き合いしてくれると幸いです。


 それでは今日もこの辺でまたここで会いましょう。さようなら~

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